【超短小説】年雄と新品のサンダル
年雄は新品のサンダルを買った。
サンダルと言っても、すぐ履けてすぐ脱げるタイプのサンダルではない。
足首の紐をキュッと絞めるタイプのオシャレなサンダルだ。
値段も3000円。
1500円以上するサンダルなんて買った事がない年雄からすれば、高級サンダルだ。
このオシャレ高級サンダルは、足首の紐がキュッと絞まっているため、なんと走れる。
走っても脱げない。
さすがオシャレ高級ランニングサンダル。
なぜ年雄はこのオシャレ高級ランニングサンダルを買ったのか?
今これを履いて行く予定があるのは、コンビニかスーパーのみ。
いつものサンダルでいいじゃないか。
いや、違う。
年雄がオシャレ高級ランニングサンダルを買った理由は、未来を変える為だ。
未来。
夏だ。
今年の夏も何の予定もない。
その状況を変えたい。
年雄はそう思った。
このオシャレ高級ランニングサンダルを買う事で、海に行きたくなるかも知れない。
キャンプに行きたくなるかもしれない。
夏フェスだって可能性はある。
未来への投資。
オシャレ高級ランニングフューチャーサンダル。
夏よ。
来い。
浜本年雄40歳。
今年の夏は、やるっしょ。