【超短小説】年雄と火

今では考えられない事だが、年雄が小学生の頃は、家庭ゴミは家庭用焼却炉で燃やしていた。

紙類はもちもろん、生ゴミやプラスチックも燃やしていた。

年雄は焼却炉の担当だった。

ゴミが溜まると、近所の公園から小枝を拾ってきて、焼却炉に火を着ける。

火が強くなったら、焼却炉の中に家庭ゴミを投入。

煙突から火が漏れるほどの火力。

それを見るのが好きだった。

火を眺める。

あっという間に2時間くらい過ぎる。

火が消えそうになると、母親に「他にゴミない?」と聞いた。

母親は「ない。火で遊ぶな」

と必ず返した。

火を眺める心地よさ。

あれはいったいなんなのだろう?

最近は動画サイトに焚き火の映像がある。

ずっと見ていられる。

2時間くらい。

キャンプ行きたい。

虫のいない、ベッドがあって、お風呂に入れる所で。

浜本年雄40歳。

都会でもなく、田舎でもない所を希望する。

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