【超短小説】年雄、自分に驚く
朝、仕事に行く為に家を出た。
出てすぐ年雄は驚いた。
マンションの廊下に、男の人がうつ伏せで倒れている。
年雄は倒れている人に近づいて「どうしました?」と聞いた。
男性は「う、うぅ」と答えた。
年雄は「大丈夫ですか?」と聞いた時、男性の口から血が出ているのに気付いた。
「救急車呼びますね」と言って携帯を取り出した。
その時、女性が現れて「今呼びました」と年雄に言った。
年雄は「知り合いですか?」と尋ねた。
女性は「いいえ」と答えた。
年雄が「救急車呼んだんですよね?」と聞いたら、女性は「はい」と答えた。
年雄は仕事に向かった。
仕事に向かう途中、年雄は自分に驚いた。
興味がない。
自分の部屋の前の廊下に人が倒れていたのに、原因に興味がない。
何故倒れていたのか?
口から血が出てたって事は、事件の可能性もあるはず。
知り合いではない女性。
その女性に任せて仕事に行く自分。
何故か興味がない。
湧かない。
もしかして、何か感情が欠けてるのか?
それともパニックにならないように、冷静にしようとしているのか?
答えは分からない。
浜本年雄40歳。
この歳で、新しい自分に気づく。
いい事だ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?