【超短小説】年雄と流れ

世の中には"流れ"というものがある。

・・・あるらしい。

その"流れ"はとても大きくて力強いが、緩やかに感じる。

そのせいで、気が付いたら"流れ"に乗っている。

逆らう事は大変な事だ。

年雄が若い頃は、「俺は流れに逆らう」なんて言う事がかっこよく感じていた。

感じていただけ。

実際はかっこよくなかった。

何故か?

逆らえてないからだ。

「俺はこの流れには乗らない!俺は俺だ!」

と言うだけ。

居酒屋の酒のつまみになって消えるような決意。

行動は変わらない。

流れに乗る。

流れを作ったのは誰だろう?

作った人に都合の良い流れ。

それ以外の人には、不都合な流れ。

今日も流れる。

流される。

でも年雄の決意は変わらない。

「逆らってやる!」

浜本年雄40歳。

今夜もいい酒が呑めそうだ。

ラッキー。

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