【超短小説】年雄の運転
年雄は車の運転が得意ではない。
だから安全運転だ。
飛ばさない。
飛ばせない。
理由がある。
年雄は仮免を11回落ちた。
12回目の合格も「ギリギリだな」と言われた。
免許を取ってすぐ、親父の車で事故った。
親父は年雄がぶつけて凹んだ車で、しばらく会社に行っていた。
年雄は運転が得意ではない。
でも、仕事で乗らなくてはいけない。
だから安全運転。
それ以外に車に乗る方法がない。
ゆっくり走る。
焦らず。
飲酒運転なんて考えた事もない。
お酒も得意ではないし。
年雄にとって、車ってそんな役割。
浜本年雄40歳。
たまにはレンタカーで遠出でもするか。
夏ってそんな役割。