【超短小説】年雄、燃える。

年雄の正義が燃えている。

それは、みぞおちの辺りから燃え広がり、頭のてっぺんまで燃え広がっている。

そして叫ぶ。

「ファイヤー!!!」

心の中で。

目の前のおじさんの、タバコのポイ捨て。

年雄の正義の炎がおじさんに放たれる。

予定。

正義の説教をおじさんに浴びせる。

「おい!こら!おじさん!いい歳こいてポイ捨てしてんじゃねーよ!」

まだ心の中の叫び。

説教を浴びせる予定。

年雄の正義の炎は燃え盛る。

ポイ捨ておじさんは、まだ年雄の炎に気付いていない。

気付いた時には正義の炎で焼かれるぞ!

この野郎!

早く気づけ!

この炎に!

年雄は正義の睨みを見せる。

気づけ!

気付いた時には、正義の炎で焼かれるぞ!

「ファイヤー!」

正義の心の中での叫び。

浜本年雄40歳。

ポイ捨てされたタバコをティッシュに包んでゴミ箱にポイだ。

次はないぞ!

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