【超短小説】年雄とWi-Fi
仕事の帰り道、新しくオープンした喫茶店を見つけた。
喫茶店好きの年雄は、直行した。
注目すべきは、お店の広さ、明るさ、コーヒーの味、値段、そしてWi-Fi。
Wi-Fiのある喫茶店は無敵。
年雄はそう思っている。
Wi-Fiがあれば、色々妥協出来る。
多少狭くてもよい。
多少暗くてもよい。
コーヒーの味も多少落ちても大丈夫。
値段は安い方がいい。
高いと行かない。行けない。
Wi-Fiがあっても。
つまり、最初に"注目すべきは"なんて言ってみたが、値段とWi-Fiしか注目していない。
安く長く居座る。
年雄の好きな喫茶店。
でも罪悪感のような感覚はある。
だから、コーヒーはラージサイズにする。
あと、混んできたら帰る。
年雄なりのルール。
年雄は喫茶店好き。
これは本当。
浜本年雄40歳。
新しくオープンした喫茶店。
合格です。
通います。
喫茶店側からしたら、年雄は不合格だったりしてね。
へこ。