【超短小説】年雄、ピアノを買う

衝動的に、何か新しい事を始めたくなる時がある。

今がその時だ。

年雄は近所の中古品店で思った。

中古の電子ピアノが安売りしてある。

12000円。

安いのか高いのか全く分からない。

音楽の知識ゼロ。

楽譜?・・・読めません。

でも欲しい。無性に欲しい。

中学の頃、クラスの合唱コンクールで指揮者をやった。

音痴という理由で。

それ以来、音楽はあまり好きではない。

でも今、欲しい。無性に欲しい。

昔、この感覚でギターを買った。

何となく一曲弾けるくらいまで練習した。

もう触ってない。

今度もそうかもしれない。

でも欲しい。無性に欲しい。

年雄、電子ピアノを買います!

浜本年雄40歳。

買ってそのまま持ち帰ってきた電子ピアノをテーブルにセットして思う。

"ド"ってどこだっけ?

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