【超短小説】年雄ならこうする③
深夜の公園で、年雄はブランコに乗っていた。
風が気持ち良かったからだ。
ギーコギーコとブランコを漕いでいるうちに、年雄の想像が膨らむ。
年雄ならこうする。
年雄が正義のヒーローなら、悪と戦うだろう。
正義の勇気を武器に、悪と戦う。
目の前に悪が現れたら、正義のパンチで悪の顔面をゴチンゴチンに殴り、正義のレーザービームでビビビーーーとやってボカーンとやるだろう。
悪に勝ってこその正義のヒーロー。
悪が何故悪なのかは議論しない。
興味ないから。
何故悪になったかのプロセスも興味ない。
だから、悪となれば即座に正義のパンチで悪の顔面をゴチンゴチンに殴り、正義のレーザービームでビビビーーーとやってボカーンだ。
では、悪と決める基準は何か?
それは、年雄の正義。
年雄の正義が悪を決める。
だから年雄の正義以外はすべて悪。
年雄の正義の否定はなし。
否定する者は、正義のパンチで悪の顔面をゴチンゴチンに殴り、正義のレーザービームでビビビーーーとやってボカーンだ。
正義のヒーローは悪を探す。
自ら探し、見つけ出す。
そしてすぐさま、正義のパンチで悪の顔面をゴチンゴチンに殴り、正義のレーザービームでビビビーーーとやってボカーンだ。
年雄が正義ヒーローじゃないおかげで、新しい悪が、一つ生まれないのかもしれない。
浜本年雄40歳。
明日も仕事だ。帰って寝よう。