『青い春を数えて』
平均よりは良いけれど、最高というにはほど遠い。他人よりは優れているという自負を持ちつつも、名も知らぬ誰かに対して劣等感を覚えている。(中略) 凡庸と優秀の境目を漂って、自分の立ち位置をつかみ損ねている。(「赤点と二万」より引用)
武田綾乃さんの『青い春を数えて』を読んだとき、この文章に胸を突かれた。というか刺さった。
高校生のころの自分は、特に秀でた何かがあるわけでは無かったけど、そこまで悪いわけでもない……と思っていた。でも自分はこんなもんじゃない!もっとできる!ともがいていた。誰かと比較して落ち込んだり羨ましく思ったり、逆にあの子よりは出来ると慢心したり。臆病なくせに自尊心だけは高い……なんて時期がありました。
いやぁ~~痛いなぁ~。
『青い春を数えて』を読んでいたら、そんな高校生の頃を思い出しました。
他にも印象に残ってた文章があって、
優しい人間を装うのは、ぶつかり合うよりずっと楽だ。相手に合わせて自分の意見を胸中で握り潰してしまえば、皆が私のことをいい人だと評価する。(「白線と一歩」より引用)
学生の頃の周りの人たちのわたしの評価はだいたいが「優しい」か「真面目」この二つだったと思う。
実際はそんな優しい人間ではないし真面目でもない。本当のことを言って誰かを傷つけたり、言い争うなら本心を隠してその場をやり過ごすほうが当時は良かった。
はみ出すのは怖いからただただそのルールに従う。目立つことは絶対にしない。波風を立てずに過ごす。それがわたしの高校生活だった。
わたしは本当は何がやりたいんだろう?
どこまで行けるんだろう?
本当はこれが言いたいのに!
と、モヤモヤしたやり場のない感情を抱えて過ごしていた。
"青春"って聞くと、爽やかだったり眩しかったり、キラキラしたイメージがあるけど、その裏では一言では表せないくらいドロッとした感情や、誰にも吐き出せない想い。もっと刺々しいものが潜んでいる。そんな感じがした。
『青い春を数えて』は青春のキラキラした部分だけではなくて苦々しい部分もギュッと詰まっていて、読んでいて心がヒリヒリした。
でも、こういう青春もの好きだな。