衆院選を経て考えたこと(ネット戦、少数与党、投票率、在外投票)
日本では衆議院選挙の結果が出ましたね。与党の過半数割れということで、今後の政局がどうなるのか、という状況です。
さて、Xにも投稿しましたが、今回の選挙を経ていろいろと考えたことがあるのでまとめておきたいと思います。
①ネットが主戦場の時代は近い
今回の選挙では、国民民主党やれいわ新選組等、切り抜き動画を量産する政党が若者中心に議席を増やしました。
(ここには公式の動画を載せましたが、実際に伸びているのは一般人が党首討論や街宣を切り取った動画ですよね。)
このような動きを見ると、ネットで党勢が占える時代も遠くないなと思います。そしてそれは、短くはっきり、時に突飛なことを言う”切り抜き向き”な政治家が強い時代でもあります。
これは、都知事選の際の石丸さんにも感じたところでした(長くなるので割愛します)。
②国会は面白くなりそう
今回はどこの政党も過半数を取らないハングパーラメント(宙ぶらりん国会)になりました。
もし今後自公による少数与党となれば、政権は不安定になる反面、交渉や議論が盛り上がる面白い国会になり得ると思っています。
結局野党といっても一枚岩ではありません。れいわから日本保守党まで様々な政党がいます。少数与党とはいえ全て野党に支配されるわけではありません。
日本では珍しく交渉力がものを言う、形式的でない国会になるかどうか、注視したいと思います。
ちなみに、世界的に少数与党が長らく続いた事例は多くありません
(政権が崩壊したパターンや、単純に次の選挙が来て与党が過半数を取ったパターンなどが多いため)。
ただ、スコットランドで2年半続いた時の傾向としては、
①各党色んな交渉材料を絞り出す
②議論は増える一方通る法案数は減る
③国民に嫌われそうな法案は極端に減る(支持率が下がると選挙で簡単に負けるので)
などが挙げられています。
③投票率って上がるもの...?
自分は在米なので日本にはいませんが、今回は特に友人やネットの間では選挙の話題はかなり大きく、事実自公過半数割れなどat-stakeな点も多かったので、投票率が伸びるかと期待していました。
ただ、実際は戦後3番目の低調さ。 結局、自分が付き合うコミュニティが歳とキャリアとともに変わっただけだったということを改めて実感します。
これを経て生じるのは、そもそも投票率ってこれ以上上がるものなの?というシニカルな問いです。
つまり投票率の低下は、先進国の出生率が移民を受け入れない限りほぼ下がるor横ばい、というのに似ていて、ほぼ避けることができないものなのではないか、ということです。
(なお、もし投票率に”移民”的な大きな変化があるとすれば、それはネット投票の導入かな、と思います。)
と思い調べてみると、実際に民主主義では投票率低下がみられることがわかります。
その有力要因としては、
A: 経済的に裕福な時代に生まれると投票に行かなくなる
B: 選挙が増えると投票に行かなくなる
の2点が指摘されています(Kostelka et al. 2021, 631)。
日本がこれに当てはまるかは議論があるでしょうが、どちらにせよあまり投票率に期待はしないようにしようと思います。
おまけ:在外投票
私は今回は初めての在外投票選挙ということで、勝手にワクワク投票をしにボストン総領事館に足を運びました。
在外選挙はかなり面倒で、大使館や総領事館に行けばすぐに投票できるわけではなく、事前に行う選挙人登録という手続きにかなり時間がかかります。
ただ今年からかなり短くなりました。もともとは3か月かかったという話も聞いていましたが、私の場合は選挙前ということもあり、2週間で完了しました。
この煩雑さに加えて、もう一つの問題点は投票の締め切りが早いことです。だいたい1週間早く締め切られてしまいます。
今回私は移民政策のアンケートでその問題点を認識しました。
これの対策としては、①メディアが早めにアンケートを取り結果を公表する、②ネット選挙などを導入し、締め切りを早めずに済むようにする、③そもそもの選挙期間を伸ばす、などがありますが、今回はどれも難しかったように思います。
また、その他の問題点については私の知人がXで語ってくれたのでそちらを載せておきます。
これに加えて、都民である私は都知事選に投票したかったという思いもあります(地方選は在外投票の対象外)。
ということで、個別では不満な結果も多々ありましたが、全体としてみれば学びや気づきが多く、よい選挙になったのではと、勝手に個人的総括をしたところでした。
ではまた。