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【コンサル物語】会計士誕生の歴史②〜19世紀会計士の評判〜

【コンサル物語】会計士誕生の歴史②〜19世紀会計士の評判〜

 19世紀イギリス産業が置かれた状況から必要に迫られて誕生した会計士という職業。今の日本人からすると会計士は立派な職業の一つであることに異を唱える人は少ないでしょう。しかも最難関の一つと言われる国家試験を突破しないと名乗ることができない職業であり、選ばれた人が就けるものです。ところが19世紀の会計士の扱いは必ずしもそうではなかったようです。

 19世紀のイギリスでは会計士に向けられる視線は冷やや

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【コンサル物語】会計士誕生の歴史③〜文学作品に登場する会計士 シャーロック・ホームズ編〜

【コンサル物語】会計士誕生の歴史③〜文学作品に登場する会計士 シャーロック・ホームズ編〜

 19世紀のイギリスで生まれた会計士という職業。産業の発展を支える将来性のある職業ではありましたがまだまだ地位は低く、国のお墨付き(勅許)を得て地位向上を目指そうと当時の会計士達は奮闘していました。前回は歴史書などから会計士の評判をご紹介しましたが、今回は目線をもっと身近にして、当時の文学作品に登場する会計士から世間一般の認識に迫ってみたいと思います。

 最初にご紹介するのは、多くの方がご存じの

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【コンサル物語】会計士誕生の歴史④〜文学作品に見る会計士 『人間の絆』編〜

【コンサル物語】会計士誕生の歴史④〜文学作品に見る会計士 『人間の絆』編〜

 シャーロック・ホームズシリーズに登場する会計士をご紹介しましたが、描写があまりに少なすぎて会計士の様子を知るには想像の域を超えません。そこでもう一作品、20世紀前半のイギリスを代表する作家サマセット・モームの自伝的小説『人間の絆』を紹介します。この作品では19世紀末のロンドンの会計事務所の様子が描かれており、当時の会計士の様子を知ることができる貴重な文学作品です。小説からの引用を行いながらご紹介

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【コンサル物語】Big4の誕生(プライス・ウォーターハウス)と19世紀会計士の年収事情

【コンサル物語】Big4の誕生(プライス・ウォーターハウス)と19世紀会計士の年収事情

 1840年代、50年代には今日のBig4ファームに通じる会計事務所がロンドンにいくつか誕生しています。その中からプライス・ウォーターハウス(後のPWC)誕生の歴史を見ていきたいと思います。

 1849年12月24日(月)サミュエル・ローウェル・プライスは友人のウィリアム・エドワーズとのパートナーシップ※を解消しロンドンで会計事務所を始めることになりました。これがプライス・ウォーターハウス(PW

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【コンサル物語】19世紀Big4の仕事は、破産処理、帳簿管理、監査、少しの経営コンサル

【コンサル物語】19世紀Big4の仕事は、破産処理、帳簿管理、監査、少しの経営コンサル

 19世紀半ばに設立された会計事務所には21世紀にBig4として存続しているところもあります。1880年代に840ヶ所も存在していたロンドンの会計事務所の中からBig4として生き残った会計事務所にはどのような特徴があったのでしょう。1849年に事務所を設立したプライス・ウォーターハウスの仕事内容に迫っていきたいと思います。

 1850年代~60年代に一気に増えた会計士ですが、彼らの仕事の多くは会

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