約6年ぶりの新作「BEACON」を聴いて思うこと
平沢進名義では前作「ホログラムを登る男」(2015年)から約6年ぶりの新作「BEACON」がついにリリースされました、ようやく初夏ですね。(フジロックの平沢進+会人紹介ページ参照)
その間にも核P-MODEL名義でのアルバム「回=回」(2018年)を挟んでる上、アルバム出そうが出さまいが関係なくライブやってたから(2019年フジロック出演とBATTLES日本ツアーのオープニングアクト、2020年の2K20ツアー、2021年の大阪のみで行われた24曼荼羅)6年近く待たされた感じが一切しないんですよねぇ不思議なことに。
それもこれも60代後半であるにもかかわらず音楽に対して貪欲なバイタリティとまず第一にファンのことを考える姿勢が彼を突き動かしてるかと思うと本当に頭が下がる思いです。
一時期はTwitterで陰○論めいたことを書いて(古いご贔屓さんは「あーまたか」で済ませてしまうやつ)最近ファンになった人たちを篩にかけたりとなかなかアバンギャルドな人なので戸惑われたでしょうが、やはり根底には「言葉で言いたいことを表現できるなら音楽やってない(要約)」に尽きるところでしょう。
はい、前置きはここまでにしてBEACONについて語りますか。
まず今までの作品と違うのは「のびのびと歌う1曲目(タイトル曲「BEACON)」の存在。
これでスっとご新規さんが入りやすくなったなと思ったら2曲目の「論理的同人の認知的別世界」でいつものヒラサワ節からの突然の語り(イヤホンで聴くと耳が幸せになるやつ)でこれで沼に引きずり込もうとする気マンマンだなと思う。
いつぞやのBSPでも言ってたが「来るものは拒まず、そして逃がさない(要約)」が見事に凝縮された感じが。
全体を聴いて「相変わらず60代後半の声とは思えないし、前作と比較してストリングス(弦楽器)よりブラス(管楽器)の音色の方が比率が増えてるかもしれない」と思った。
確かに最近ブラスの音に興味津々で吹奏楽の動画を見たりして参考にした結果24曼荼羅で歌われた「遮眼大師」のInsta360(360度カメラ)に長い棒をつけて頭上でバトンを回す動きをした67歳…(文字にするとわけがわからないが本当にやったんだよ、60代後半にしてはとんでもない運動能力だ!)
あと歌詞がまたディストピア方面に行ってしまったかと心配してる人もいるかと思いますが、今回はこんな腐りかけた世界に対しての希望に向けた歌ばかりだと思ってます。(個人の感想です)
ヒラサワの歌詞はとにかく難解ですからそこは勘違いしてほしくない。
核Pがソロ寄りになったのと対になるようにソロが核Pに寄ってきてる=ソロと核Pの境界線が曖昧になってきてることの証左であろう。(個人の感想略)
そして今回「COLD SONG」というアーサー王物語のオペラで使われる曲のカバー(ベースにしたのはクラウス・ノミが歌ったものと思われる)が収録されてることにも注目したい。
アーサー王といえば最近じゃアルトリア(Fate/SN)もしくはプロトアーサー(FGO)しか思い浮かばない若者も多いであろう。あと大量のアーサー王が戦うゲームもあったねw(ミリオンアーサーシリーズ)
日本人はアーサー王物語に惹かれるものがあるんだよね不思議と。
最後の3曲の流れ(TIMELINEの終わり→ZCONITE→記憶のBEACON)で光と影の陰影がハッキリして「あぁ、これがヒラサワだ」という安堵感を感じられる、そんな懐かしいのに新しいヒラサワという存在を感じられるアルバムでした。
しかし今回驚いたのは、タワレコ店舗での扱いの大きさでした。今やダウンロードで好きな曲しか買わない人も多いであろうこんな時代、CDはもはやコレクターズアイテムとしての側面しか持ち合わせてないのです。(店舗別特典、DVDつきのCD(収録曲が違うものが何種類もあることが多い)、握手会参加券付きなどつくづくひどい商売だと思う)
そんな中、特典なんか付けずに音楽だけで勝負して札幌ではピヴォ店が特設コーナーを作り、普段平P作品ほとんど置いてないアリオ札幌店でさえ入荷していることに驚きを隠せない我がいます。
昔話になりますが、私が平沢進を知った1995年は本当にマイナーで、10代半ばでP-MODELが好きと言えば「誰?」、もう少し大人の人(レコード屋の店主など)には「ずいぶんマニアックなだね」とよく言われたものです。
それがずいぶん大きくなっちゃって…(咽び泣く絵文字)
やはりフジロック効果は相当なものだったんだなと今更ながら思うわけで、今年はホワイトステージのトリでしかも1時間半という長丁場(しかしグリーンステージの電グルとドン被り…人流を分散させたいという思惑もあるでしょうね)ですから期待も膨らむが今年はどうやら生配信はできそうにないっぽいが(今まで技術提供してたSoftBankが今回協賛企業に名を連ねてない)2019年の時の生配信での裏側はほぼ密オブ密だったからこればかりはこんなご時世だし無理だろうなと諦めをつけてたがなんと土壇場でフジロック公式チャンネル3つ用意しての配信が後に決まり、8月22日(日)21時から公式チャンネル2で生配信というミラクルが起きてめちゃくちゃ期待してる我がいる。
あと、まだまだ若者へのワクチン接種が間に合ってない現状も鑑みると本当にやれるのだろうかという気持ちしか湧かなかったが、これからの新しい生活様式における音楽フェスの在り方を示していただきたいとSMASHさんやホットスタッフプロモーションさんには頑張っていただきたいのです。
※2021.8.21 フジロック公式チャンネル開設と生配信が決まったため後半部分を大幅に改稿しました
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