バル・ハラユキ座談会レポートvol.01~「子どもが変わる”伝え方”」(ゲスト・発達支援ファシリテーター宮岡あゆみさん)
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東洋経済オンライン連載「ほしいのはつかれない家族」に連動したオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」。そのオンライン座談会(宴会)の中から、特に興味深かった回をピックアップして紹介するシリーズをスタートすることにしました。
今回のテーマは「子どもが変わる”伝え方”」。
たまたまバルメンバーの中に発達ファシリテーターの方がいたので、その方をゲストに座談会をしたところ、
こんなママパパにぜひ伝えたい内容になりました。私も目から鱗が落ちることがたくさんあったし、バルでも好評だったので、ここでシェアしたいなと。有料コミュニティ内のトークなので途中から有料設定にしていますが、かなりの部分を無料で読めるので、以下の内容に興味ある方はぜひぜひに。ではいきまーす!(本文テキスト担当・中根萌)
「発達支援」ってそもそも何?
ハラユキ(以下ハ):さて、本年1回目のオンライン座談会です。お酒でもなんでも飲みたい方は飲んでねといういつも通りのゆるさでいきましょう。今回のテーマは「子どもへの伝え方」ということで、バルメンバーの宮岡さんをゲストに行います。発達支援ファシリテーターとして活動されてる方です。
宮岡あゆみ(以下宮):はじめまして、バルメンバーの宮岡です。
私はリトミックの先生を7年ほど前から始めました。小さなお子さんとの関わりがある職種なのですが、出会うお子さんの中で気になる方もたくさんいて、その子に何かできることがないかなというところから、また自身の息子のことで気になる部分が出てきたことから、発達支援について学び始めて、現在は「発達支援ファシリテーター」という資格を持っています。(宮岡さんのinstagramはこちら)
「発達支援」って、皆さんはどんなイメージがありますか?もちろん「発達障害のお子さんへのアプローチ」ということもありますが、実は、発達支援とは発達障害の診断の有無とは関係のないものなんです。
子どもたちが何に困っているのか、特性に応じてそれぞれの「困り感」というものがあります。例えば親側の「子どもがいうことを聞かない」「問題ばかり起こす」というようなお悩みは、実は子どもの側からすると、わからなくてできなくて困っているという状態であることも多いです。
発達支援は、そういったお子さんたちに「世の中のルールはこうなんだよ、こういうことが正しい振る舞いなんだよ」ということを伝える伝え方であったり、未熟でできない部分があればそこにアプローチして育てていこう、というような考え方をしています。ですので、最近よく耳にする「HSC(※「Highly Sensitive Child」の略称で、「非常に敏感な子」と紹介されることが多い)」のお子さんにも役立つ考え方だと思います。
ハラユキ:お願いします。宮岡さん以外の方も、チャットや声だけという形でも結構なので、質問などどんどん参加してくださいね。今日は顔出し参加の方は少ないですが、ひとまず、お顔が見えている方は自己紹介をお願いします。
バルメンバーのOさん(以下O):よろしくお願いします。ハラユキさんの『つかれない家族』が本当に大好きで、すごく好きな回の時は子ども達にも「ちょっとこれ読んで」と言って見せています。
私の場合は子育てがほぼ終わっている(上の子が大学1年生の男の子、下の子が高校3年生女の子)ので、もういわゆる子育て世代ではないかもしれませんが、今、子どもが小学生くらいまでの期間中の子育てについて見えてくることがたくさんあります。子どもが高校生くらいになると、小さい時に感じてたことについての答え合わせができる、ということもありますね。
女性の働き方など色々と状況が変わっても、本質的なところで変わらない部分が絶対あると思っていて、そのような部分については私の経験の中からも伝えられることがあるかなと思い、今回参加させていただきました。
ハ:お子さんが大きい「ベテランの先輩」も参加してくれたので、色々な立場から「子どもへの伝え方」について考えていけそうですね。楽しみです。今日は私からも質問をさせてもらいますね。
宮:Oさんのお話もぜひ伺いたいです。私のところもまだ上がまだ10歳(宮岡さん10歳、8歳、6歳児のママ)なので、これからどう育つのかなと思っています。
相談①食事中の姿勢やマナーを直すには?
ハ:それでは、まず私から相談しますね。
子どもの食事についてです。息子(8歳)は、お箸を持っていない方の手がテーブルの下に隠れて体が曲がったままになってしまったり、すぐ立ってしまったり、いわゆる犬食いみたいになってしまったり。見ためにもひどいし、毎回毎回食事のたびにず〜っと言ってるんですけど、一向に直らなくて「あれ?このままいくと直らないのかな?」と思って笑。でも食事中だからあまり怒るのも、楽しくなくなってしまって嫌だな〜と。
宮:まず「発達」ということでは、何歳だから〜とはあまり考えないんです。その子が「できない背景」はなんだろうという風に見るんですね。
まず私たちが行動するには、周りの環境(人や見えているものなど)を身体や感覚で入力して、それを頭の中で整理整頓して、行動に移しているんです。それを瞬時に行ってるので、普段は私たちは全く意識せずに過ごしています。
たぶん息子さんは「勝手に動く」と思っていると思います。勝手に手がだらんとするし、勝手に気がついたらご飯中なのに席を立っているし、本人は真っ直ぐ座っているつもりなのに、斜めになっている。
きっとそれは、子どもの「ボディイメージ」がまだ出来上がってないからなんです。発展途上で完成されてない。例えば、姿勢を真っ直ぐにするには適度な筋肉や、関節の緊張感がいるんです。いわゆる体幹ですね。あとは、目線をまっすぐにする力も必要です。例えば大人でも片足で立った時、目を瞑るとふらふらします。私たちは見えているものを使いながら、まっすぐってこういうことだ、ということを感じることができます。子どもは目の動き方も未熟だし、身体を自分の思ったとおりに動かすという感覚が未熟なんですね。
「8歳」だから、思ったとおりに身体を動かすこともできるだろうと思いがちですが、無意識にでも、このような感覚が苦手だなという子はどうしても視線がうろちょろしてしまうので、体幹が崩れて手が落ちてしまう状態なんです。
だからそこを責めてしまうと「えっ、そんなこと言われても…俺、やろうと思ってやってないよ」っていう感覚だと思うんですよね。
ハ:そう、悪気はない感じなんです。こちらが言うと手は出して、しばらくして気を抜くとまた…という感じです。
宮:本人は本当に無意識なんですよね。ではそこをどうしてあげたら良いかというと、一見関係なさそうに思えるかもしれませんが、「ボディーイメージをつくる遊び」をしてあげるといいと思います。
身体を動かすのが好きなお子さんだと、見ている分には十分足りているくらい動いているようには見えると思いますが、感覚がたくさん入らないと学習できないタイプの子がいます。
たぶん息子さんもそういうタイプなので、例えば重い荷物を持つとかトランポリンを飛ぶとか、筋肉やバランスを使う動きを育ててあげると、だんだんと「自分の身体のまっすぐ」がわかり、姿勢を保つにはどの程度体に緊張感を持たせないといけないのかということがわかっていきます。いますぐに変わるものではないと理解してあげることが大切かなと思います。
遊びや生活の中でバランス感覚を鍛えてみよう
ハ:姿勢に関しては筋肉の問題が大きい、ということは聞きますよね。もう少し研究したいと思っていました。なるほどトランポリンか…。
宮:トランポリンいいですよ。バランス感覚が鍛えられます。
(↑小さい室内用トランポリンはいろんな種類があります)
あと、目の動きも大切なんですよね。例えば何か注目できるようなものを見せて、頭を動かさずに目だけを使って動くものを見るという遊びをしてあげると、だんだんうまく目を動かせるようになり、バランス感覚に良い影響がでることがあります。
ハ:バランス感覚が弱いということなんですね。たまに「ちゃんと座ってる子」いるじゃないですか、ちっちゃくても。うらやましくて。笑
宮:実はうちの子どもも姿勢が悪くて、なんで何度言っても直らないんだろうと思っていたんですけど、結局はやはり自分の身体の使い方がわかっていないから、そうなってしまうということなんですね。
例えば、いますぐできることだったら、背もたれがある椅子であれば、後ろにボールなどをテープでくっつけて、背中に付くようにします。背中に感覚をいれてあげる、というのもいいんですよ。グニャグニャしやすい子って背中の感覚が鈍い子もいるので。
背中に何かが当たってる感触とか、下の座ってる椅子の部分にでこぼこを感じられるようなものや、沈み込むような感触があるものを仕込んでおくと、そこが感じられて意識しやすくなるということがあります。
ハ:息子の場合は、利き手と逆の手がだんだん落ちていって体が傾く、腕が戻ると姿勢も戻る。だから腕の問題だと思っていて、体のバランスの問題とは考えていませんでした!
宮:利き手は使うけど、利き手じゃない方は使わないから、意識が切れてどんどん下がっていってしまうんでしょうかね。左右の協調運動というか、本人としては、利き手が頑張っているから逆の手は意識を切っておかないと利き手がうまく動かないという、無意識的な感覚があるのかもしれません。
子どもって、自分の身体は分かってるように見えて、頭や背中を上手く拭けていなかったりしますよね。ボディイメージの形成ができていないと「見えないものを意識する」ということができないんです。だから、背中が濡れていても気にしないし、少し視線を向けてからじゃないとリュックを背負えなかったり、ということがおきます。
まずは、そういうところがあるんだっていうことを理解してあげるというのが1番大切だと思います。本人は本当に気付ていないので、責めずに気が付けるようなことを言ってあげるといいですね。責めずに正していく。
ハ:悪気がないのはよくわかっているし、それはずっとやっているつもりなんだけどなあ。
宮:一見遊んでいるだけに見えるようなことがトレーニングになったりもします。子どもって楽しいっていう感情がないと学習していけないんですよ。
例えばトランポリンで姿勢を真っ直ぐにしてあげると、子どもが段々と自分の身体の中心軸を捉えられるようになっていきます。勉強する前にちょっとトランポリンで遊ぶ、というのも良いですね。「まっすぐってこういう感じだ」って身体がちょっと覚えていられるので。
ハ:なるほど。勉強前に、って面白いですね。
宮:「動いちゃう」という方は、たぶん色々な刺激を受け取りやすいタイプなんです。なので、環境を整えてあげることも重要ですね。座る場所を工夫するなど、できるだけ刺激が少ないようにしてあげる。何か気になるものが見えてしまうと、動いてしまうんですよね。
相談②食事中に踊り出す子はどうしたらいいの?
ハ:いやいや、先生!きいてください!笑 既に、できるだけ気になりそうなものはよけてあるんですが、うちの息子は周りに何もなくてもですね、いきなり立って踊り出すんですよ。何か刺激があってそこに釣られる…というよりは自ら始めてしまう。それは彼の才能だし、息子のダンスは面白くて大好きなんですけど、進まないんですね〜!食事中も勉強中も立っては踊り…。
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