「問題を解決すること」と「創造すること」の違いとは
「問題を解決すること」と「創造すること」はどう違うのでしょうか?
「学習する組織」著者ピーター・センゲはこう言っています。
「創造すること」と「問題を解決すること」の根本的な違いは簡単である。問題を解決する場合、私たちは望んでいないことを取り除こうとする。一方、創造する場合は、本当に大切にしていることを存在させようとする。これ以上に根本的な違いはほとんどない。もちろん多くの人は、仕事でも私生活でも、真に大切なことを創造することに力を注ぐより、問題解決とさまざまな状況への対応にはるかに多くの時間を費やす。実際、私たちは問題への対応で頭がいっぱいで、「自分が本当は何を望んでいるか」ということはすぐにどこかへ行ってしまう。出典:チェンジ・エージェント ウエブサイト
ついつい私たちは、目の前の課題、問題、やっかいごとを取り除くことに注力してしまいます。
実は、現在ご支援している歯科医院から、今からちょうど一年前にご依頼がありました。その内容は、「接遇が悪くて患者クレームがある、患者が減っている」ということでした。
「スタッフが患者さんの前で堂々と私語をする。リーダーたちは指導ができていない。そのため、患者が減り、売り上げが下がっている」と言われるのです。そのクレームのある状態を取り除きたい、売り上げが上がるようにしていきたい。ということでした。
そう、「目の前の課題を取り除きたい」まさにそういうご依頼です。
院長の仕事は超多忙。日々、自身も診療で忙しい仕事のなか、日々起きる問題への対処で手一杯でした。
とても「本当に望んでいること」への仕事ができる状態ではありません。
そこで、何度も院長とお話しました。院長のビジョンを伺ったのです。しかし、当初はなかなか通じませんでした。
何度となくコーチング&ミーティングを実施し、院長の「本当に創り出したいこと」をお聞きしました。院長は「まずは何より患者さんの幸せが第一。だけどそれだけじゃない。スタッフも医院も本質的に豊かにならないといけない」と言われたため、その状況を詳しくお聞きしました。
私は接遇の専門家ではないので、特別な接遇指導はしません。組織の基盤づくりと関係性づくりを実施したのです。
そして、1年経った今、その医院の関係性が変わり、接遇の質は上がり、その結果としての売り上げも上がりました。
先日そのクリニックで、院長が言われました。
歯科の仕事の本質は「虫歯を治療すること」ではなく、「患者さまの笑顔を増やすこと」
実はいま、歯並びが悪く、笑顔になれない子どもたちが多いという。
それがもとで積極的になれず、人間関係がうまくいかないこともあるそう。
みんなが気兼ねなく大きな口を開けて「わははっ❣️」と笑えたら、幸せですね。
そして、口腔内の健康は身体の健康につながっていて、生涯の、健康寿命にもつながります。
先日の院長のご発言、それは、まさに「問題解決思考」から「創造思考」への転換をされた、ということなのでは?と思い、嬉しくなってしまいます。
歯科のお仕事は、人々が生涯、美味しく食べられ、楽しい人生を創り出す仕事、アメリカではSmile Creator とも言われるそうです。笑顔を創り出すこと、とっても楽しくワクワクお仕事ができそうです。
「学習する組織」をつくることは、一歩一歩、きっと実現できると思っています。けれど、つくづく簡単ではないなぁ、と、身に染みて実感しています(笑)
院長とゆっこの奮闘はつづくよ~~。