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【やりたいことは見えてきた】ラ・リーガ第2節 FCバルセロナ 対 アトレティック・クルブ マッチレビュー【24/25】

ラ・リーガ第2節は因縁の相手、ニコ・ウィリアムス擁するアトレティックとの対戦。普通に取り逃がしただけとも言う。実はキャプテンという立場からフリーで移籍してきたイニゴ・マルティネスの古巣対決でもある。

バルセロナは一応ダニ・オルモを招集してみたものの、登録が完了できずあえなくスタンド観戦と相成った。隣には負傷離脱したクリステンセンも座っている。ギュンドアン、あっちでもう再デビュー済ましたってさ。

対するアトレティックはムニアイン、ダニ・ガルシア、ビジャリブレといった見知ったメンツが退団。去年セルタに貸し出していたウナイ・ヌニェスが完全移籍し、ベンセドールを2部のラシンにレンタルしている。

補強は2選手に留まり、ソシエダ産の右SBゴロサベルを1年いたアラベスからフリーで獲得。レギュラーを無料で引き抜かれたアラベスは大変だね。あとはブラガから左WGのÁlvaro Djalóを買ってきたが、こちらはPSMで負傷してデビューはお預けとなっている。


スターティングメンバー


バルセロナは前節から一人変更。カサドの代わりに怪我が癒えたペドリを中盤に配した。残りの10人は同じ人選、同じ配置である。クリステンセンの負傷により、CBとピボーテの控えをエリック・ガルシアが一手に担う形になっている。

アトレティックは三人の変更。パレデス、ゴロサベル、グルセタに代えてビビアン、レクエ、ニコがスタメンに名を連ねている。ウナイ・シモンとアギレサバラが揃って離脱したGKは20歳のパディーラが開幕戦から務めているらしい。次々生えてくるね、ほんと。


前半

アトレティックはサンセを押し出した442のブロックで守備をする。これは前節のバレンシアと同じ形で、各選手の配置がそこまで変わらないバルサはどうやってこれを崩すかが前半のテーマになった。

まずはブロック強度の確認というところで、バルデとフェラン・トーレスが同時にタッチラインを踏んで構える。大外に2人が縦に並ぶのは普通に考えると禁じ手なのだが、これはおそらく左(アトレティックからすると右)のハーフスペースをどれくらい空けてくれるかを試すためだったように見えた。当然バルベルデのチームがそれを許すことはなく、ペドリが降りて引き出しても対面のプラドスはラインを崩さず対応していた。

左CBのイニゴ・マルティネスは積極的にサイドに開くが、右サイドにボールを出すときにクバルシが出ていくシーンはほぼ見られなかった。テア・シュテーゲンの配球性能を上手く生かし、4枚でボールを動かしながらブロックが広がるのを待つ。

しかし待てど暮らせど規律を守り続けるアトレティック。バルセロナはフェラン・トーレスを内側に入れる形を再トライしていく。前節と違ったのは、ピボーテのベルナルがCB間に降りる形を使わなかったこと。サンセとイニャキ・ウィリアムスをCBから遠ざけ、クバルシが自由に内側を覗けるようサポートしていく。

ペドリは引き続きベルナルの脇でボールを引き出し、中盤ラインを崩そうと試みる。当然ライン間でスッと受けられるならそれが一番だが、相手がいる以上そう簡単にはいかない。プラドスとの我慢比べで、背中にスペースを空けてくれるのを待つ。空けてくれないならこちらもポゼッションを失うことはほぼないので不利になることはない。

ペドリがライン間にいないので、フェラン、レヴァンドフスキ、ハフィーニャの3人が中央で突破口を探る。大外はヤマルとバルデにお任せ。3人組のうち両端の2人がそれぞれSBとCBにアタックをかけ、残った1人がライン間でポストプレーを狙う。ワンタッチでフリックしてもOK、前向きのペドリに渡してもOK。

DFラインが反応せず押し下げられなかった場合は、両脇の2人は戻ってきてライン間で受け直す動きを見せる。中央の一人はすれ違うように裏に走り、これまたライン間と裏に一本の両にらみを狙っていく。

もちろん毎度縦パスが通るわけでもなく、ブロックの外をボールが回る時間もそこそこあった。しかし先制点はその外回りの終着点、バルデがもらったFKが起点となるのだから分からないものである。というかこれはヤマルが凄すぎた。エリア外からの一撃でバルセロナが一歩前に出る。

こうなるとゴールを狙っていくしかないアトレティック。カウンター局面ではウィリアムス兄弟がクンデの背中、クバルシの脇を狙い撃ちして最低CKまで行く威力を見せつけていた。ボール保持ではクンデの前に誰かが立ち、その外側にいる選手をフリーにする形で再現性をもって前進することが可能に。大外に立つのはニコだったりユーリだったりした。

バルセロナは前節に引き続いてWGの外切りプレスを継続し、レヴァンドフスキはピボーテのプラドスをマークしていた。ここは使われない前提でみんな守っているので、たまに離したタイミングでボールが入るとしっかり前進されるのがつらい。

この構造でしんどいのがバルデとハフィーニャの2人。バルデはトランジションのたびに長い距離を戻り、相手の右SBにボールが出ればまた縦にスライドして対応しなければならない。ハフィーニャは単純に、裏抜けを繰り返しつつ非保持ではペドリと同じラインまで戻るという設定が鬼。

失点シーンはその難しさをネガティブ・トランジションできっちり使われ、ゴール前まで一気に進出することを許してしまった。

レヴァンドフスキからペドリの落としがズレて相手ボールに。この時点でフェラン・トーレスはレヴァンドフスキより前に立っており、トランジションに参加できる状態ではない。ちょうどハフィーニャとヤマルが入れ替わっているタイミングで、双方自分の役割を整理できていなかったことも災いした。

イニャキ・ウィリアムスにポストプレーを許した時点の盤面がこちら。ニコが対面のクンデにつっかけ、イニャキがその外を回ることで1対2の状況を作り出した。こうなってはクンデのとれる対応はゴール方向を遮断しながら下がる以外ない。

DFラインの4人と中盤の3人は自陣に戻ることを優先。ニコはヤマルとペドリを引き付けておいて平行のサンセにボールを渡す。べスガがベルナルを引っ張って最終ライン付近まで進出していたため、サンセは完全にフリーで前進することができた。

サイドのべレンゲルにボールが入ると、ベルナルはクロス対応のためにゴール前に。ペドリがポケット対応に走る。2人がDFラインのサポートに向かったため、ペナルティーアーク付近はヤマルが1人で守り切らなければならなかった。現実には2対2になった左サイドを突破され、PA内まで侵入されてPKを献上したわけだが。

ちなみに前に残っているWGとレヴァンドフスキはカウンターに備えていて、この場面でも返す刀であわやPK奪取というところまで行っていた。その後もヤマルが単騎突撃で見せ場を作ったが、同点のまま前半を折り返すことになった。


後半

お互い交代、配置の変更はなく、試合は後半に入っていく。バルセロナはペドリに積極的にボールを入れ、保持の安定を狙っていく。特段アトレティックが彼をフリーにしたわけではないが、ペドリはペドリなので3人に囲まれたくらいではボールを失わない。

インチキみたいなやり口でボールを握るバルセロナに対して、アトレティックはGKから前線へのロングボールが増えていった。空いているSBを最初から動かしたり、地上戦でそこを使って前進するシーンはかなり少なめ。これはGKのパディーラがそこまでキックがうまくない影響なのかもしれない。WGが軸のカウンターも前半にたっぷり見せたことだし。

60分頃にお互い交代カードを切る。バルセロナはフェルミンを投入し、ハフィーニャを左サイドに回す。これは前節と同じ形。アトレティックは両インテリオールを交代させ、4231にチェンジ。SBを押し出しても後ろの枚数を担保する作戦だろうか。

フェラン・トーレスは内側に入っていってコンビネーションを作るが、ハフィーニャはSBがボールを持った時にポケットを取る意識が強い。左サイドだとそのままクロスが上げられておトクである。63分にはその形からレヴァンドフスキに決定機が生まれている。

アトレティックとしてはうまく外回りに誘導したはずだったのだが、ハフィーニャのダイレクトでのクロスの質とフェルミン、レヴァンドフスキの連動した動き出しが上回った。これをストップしたパディーラもお見事。

アトレティックは更にべレンゲルに代えてアドゥ・アレスをピッチに送り込むが、その数分後に右サイドを崩されて失点。バルセロナが勝ち越しに成功した。

前半からアトレティックの右ポケット辺りを執拗に狙っていたバルサ。この場面ではセットプレー崩れでアレスと入れ替わっていたニコ、交代で入ってきたカンテラーノのヤウレギサルが揃ってバルデに引き寄せられ、サイドで3対2なのにボールホルダーは1対1という意味不明な状況を作ってしまった。そこを見逃さずペドリが拡がったポケットに突撃し、クロスにレヴァンドフスキで一丁上がり。

アトレティックはグルセタ、アンデル・エレーラを投入してクロスターゲットを増やしゴールを狙うことにしたようだが、バルセロナはここでボールサイドのWGも守備に戻る442にクラスチェンジし出所を抑えにかかる。そしてベルナルがエリック・ガルシアに代わった。更にジェラール・マルティンとパウ・ビクトルもホームデビューし逃げ切りを図る。デカいって得だな、マルティンくん。

試合はそのまま終わるかと思われたが、最後の最後にアンデル・エレーラがクバルシにレイトタックルをかましてひと波乱。怒ったフェルミンとそこに突っかかってきたヤウレギサルもイエローカードを頂戴したところでタイムアップとなった。


鍵になるのは

試合の趨勢を決したのはヤマル、ペドリ、レヴァンドフスキのスペシャルな活躍だったが、その裏で献身的に働いていたハフィーニャの凄みも見えた試合だった。積極的な裏抜けとネガトラでの帰陣を両立させつつ、90分間ピッチに立ち続けるのは常人には不可能である。

最後にフェルミンがヒートアップした際にはスーッと寄ってきて相手から引き剝がし、試合が終わった後も付きっきりでなだめすかす姿が確認できる。キャプテン陣に入ってきたことも納得できる一幕だった。

バルデに無茶な上下動をやらせておいて、疲れてきたらジェラール・マルティンが登場するのもわりと鉄板の形になっていきそう。周りが見えていて変なロストをしないし、186cmあって放り込みに対応できるのも加点要素になる。エリック・ガルシアと合わせて頑張って頂きたい。


2024/8/25 La Liga Matchday 2
FC Barcelona 2-1 Athletic Club
Stadium : Estadi Olímpic Lluís Companys
Referee : Jesús Gil Manzano

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