過敏なのか鈍感なのか

以前noteで「ハラスメントハラスメントってうるさい」
という記事を書きました。

これは1年以上前のハラスメント発言（本人には伝わっていない）を掘り起こしたことにより、本人の耳に入ることになった件についてです。
非を認め謝罪した人を叩きまくり、職を失わせるまでに至ったのですが、これは明らかにやりすぎだと私は思います。
本質を忘れて、なんでもかんでも揚げ足取りで言葉狩りや行動狩りをするのは違うのではないでしょうか。

また、「〇〇ハラスメントが多すぎ。ハラスメントに過敏すぎる！」という声に対しては疑問です。これまでが、鈍感すぎたのだと思います。
まともな状態に戻すための揺り戻しであると考えます。
（その意味では、まともな状態に戻るまでは、先述の揚げ足撮りをする人達が一定数いても仕方ないのかもしれません）

たとえば、

●シングルハラスメント
「なんで結婚できないの」
●子なしハラスメント
「早く子ども作りなよ」「もう子ども出来ないかもね」
●SOJIハラ（性的指向および性自認に関するハラスメント）
「同性同士で結婚するの？ありえない」
●アルコールハラスメント
「酒くらい飲めよ、しらけさせるなよ」
●ソーシャルハラスメント
「上司の申請を断われなくて承認したけど、全投稿に『いいね』してくるよ、監視かよ」

上記のようなハラスメントに対しては、行為者に自覚を持ってもらい、気づいたら注意するのは良いと考えます。デリカシーがないですし、今の時代これをやり続けていたら嫌われます。

私は病気でお酒が飲めないのですが、営業時代に取引先から「病気なんて酒飲めば治るぞ」と飲酒を強要されました。飲む振りをして切り抜けましたが、もし、その飲酒が原因で倒れたり救急車を呼ばれたりしていたら。今思うとゾッとします。

シングルハラスメントや子なしハラスメントはおせっかい・大きなお世話です。家族から向けられることも多いと思いますが、他人には本当に関係のないことです。
結婚しようと努力している人、子どもが欲しいと努力している人にとってはとても嫌なプレッシャーになります。
また、シングルを楽しもうとしていたり夫婦の時間を大事にしたくて子どもをつくらない人にとっては不快な雑音でしかありません。

もし自分がと考えたときに嫌な気持ちになることはやめましょう。

といっても、自分に置き換えられない、そんなこと考えたこともなかったという人も少なくありません。
自覚がないからそのような発言になるので（残念ながら）。

日本では、終身雇用、年功序列、企業内労働組合という長期就労を前提とした雇用慣行がありました。「日本型雇用」というやつです。
多くの人がこのレールに乗って生きてきた時代があります。

みんなが良い学校を出て、良い会社に就職して、結婚して、女は会社を辞めて子を産み、男は働いて自動的に給与が上がり、定年して、しっかり退職金をもらい年金も貰う

みたいな世界です。
今となってはごく一部の世界の話ですが、思考だけはこの当時のままという人が少なくないのです。

ちなみに日本型雇用は「1940年前後の戦時経済下に形成され、高度成長期に普及・定着をみた」とされています。
そして、成長率が大幅に下がった1990年代後半以降に終身雇用比率は大きく低下したという分析があります。

三菱総合研究所「『日本的雇用慣行』の成立と定着」2015.10.26
政策・経済研究センター酒井博司
https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/20151023.html

日本型雇用が数十年に渡り定着していたことで、実態は変わっていても思考はそのままという人は多いのでしょう。

今、令和の時代です。
外国籍の働き手はかなり前から戦力として活躍していますし、中学生が社長になったり、同性カップルのパートナーシップ証（（同性カップルに婚姻したカップルと類似の権限を与えるもの）を認める自治体が増えてきたり、世の中はどんどん変わっています。

時代について行けないと「とんでもない発言をする人」として敬遠されてしまいます。

「〇〇ハラスメント」として個別に考えると
「また～？もういいよ、飽きたよ。うるさいよ。」となると思います。

個別に考えるのではなく、相手がどう感じるかを想像することです。

ハラスメントの多く相手への否定です。
「結婚しないなんて変」「子ども作らないなんて可哀そう」「酒飲まないなんてダサい」など。
なぜ否定するのでしょう。他人が否定する必要がありますか？

否定しそうになったら、いったん言葉を抑えて考えてみる。
「余計な一言かもしれない」
余計な一言、いじりでコミュニケーションをとる時代ではありません。

相手を尊重する気持ちだけあれば良い。

なかなか難しいことかもしれませんが、気持ちよく過ごせる世の中になれば良いと思います。

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