査定事例 ~在宅自己注射における導入初期加算~
こんにちは、原嶋企画です。
今回は実際にあった査定事例についてお話させていただきます。
◇査定項目 事由D 導入初期加算(在宅自己注射指導管理料)△580点
当該レセプトでは、在宅自己注射指導管理料を算定している糖尿病患者において、オゼンピックからトルリシティに処方変更したため、導入初期加算を算定しましたが、本件の導入初期加算の算定は認められず査定になりました。
何故、査定されたのか理由を確認していきましょう。
早見表に記載されている文言は以下のとおりです。
◇算定要件
注3 処方の内容に変更があった場合には、(中略)当該指導を行った日の属する月から起算して1月を限度として、1回に限り導入初期加算を算定できる。
(10)「注3」に規定する「処方の内容に変更があった場合」とは、処方された特掲診療料の施設基準等の別表第9に掲げる注射薬に変更があった場合をいう。また、先発バイオ医薬品とバイオ後続品の変更を行った場合及びバイオ後続品から先発バイオ医薬品が同一であるバイオ後続品に変更した場合には算定できない。なお、過去1年以内に処方されたことがある特掲診療料の施設基準等の別表第9に掲げる注射薬に変更した場合は、算定できない。
今回のオゼンピック(セマグルチド)とトルリシティ(デュラグルチド)は、ともにGLP-1受容体作動薬になります。別表第9には「グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト」と記載されています。GLP-1受容体作動薬から別のGLP-1受容体作動薬への変更であり、「別表第9にある注射薬に変更があった場合」には該当しないために査定されたことがわかりました。
◇査定理由
オゼンピックとトルリシティは両方ともGLP-1受容体作動薬のため、処方内容の変更には該当しない。
糖尿病患者の在宅自己注射で処方内容に変更があった場合により算定できるのはインスリン製剤からGLP-1受容体作動薬へ変更となった場合、またはその逆の場合のみとなる。
◇対応策
処方内容の変更で導入初期加算を算定する場合は、別表第9に掲げる注射薬の確認を行うことが必要である。
※過去1年以内に処方されたことがある特掲診療料の施設基準等の別表第9に掲げる注射薬に変更した場合は、算定できないので注意すること。
今回の事例は、製造元での供給停止により注射薬の変更が必要になった為、発生しました。今後も同じような事例で注射薬が変更になることがあるでしょう。同じような査定を防ぐ為にも、インスリン製剤なのか、また算定要件にあてはまっているのか確認したうえで算定を行うようにしましょう。
医療事務の方は、広い知識と読解力が求められ大変かと思いますが、ともに頑張っていきましょう。