最近読んだ本のこと。
元来、美術館が好き。
芸術家たちのありとあらゆるエネルギーが詰まっている。
先入観をもって作品を見るのがあまり好きじゃないので、音声ガイドはあまり借りない派。
さて。
ゴッホの生き様については略歴は知っていたけど、年を重ね私ももはやゴッホがこの世を去った年齢(37歳)に近づいてきたことで、いろいろ考えることが多々あって最近また彼のことを書いた本と映画を鑑賞したので書き留めようと思う。
書籍「ゴッホの耳ー天才画家最大の謎ー」
映画「永遠の門ーゴッホの見た未来ー」
どちらもフィンセント・ファン・ゴッホが画商の弟テオと少しの間暮らしたパリを出て南フランスのアルルへ向かったあとからの数年をメインに描いた作品。
映画の方は本当に映像が美しく、哀しいお話なんだけど
ほんの少しの間だけだったけどゴッホが「幸せ」を感じたであろう「アルルの美しい自然」を体感できるようでそこが素敵だ。
あと主演のウィレム・デフォーの演技が素晴らしい。(30代のゴッホ役にしてはちょっと年取りすぎてる感じするけど、19世紀の30代はきっと現代の30代の捉えられ方とは違うんだろう。ってことでそれを差し置いても台詞が少ないにもかかわらず素晴らしい演技・表現力!)
「精神に異常を来し耳を切った事件」
「わずか37歳の若さで、精神病の末にピストルで自殺した」
というのがゴッホの最期に関する通説だけど・・・
そこに至るまでの彼の苦悩や孤独、突き抜けた信仰心、周りの人への不自然なまでの共感性の高さ(彼なりの愛情)・・・「病気」と片付けてしまえばそれまでなんだけど。そうではないんだと思う。
19世紀の外国人(よそ者)に対する風当たりの強さ、芸術家ならではの神経質さもあり誰からでも手放しに好かれる、という人ではなかったのかもしれない(でも、それって誰だってそうだと思う)
医学的見解から、精神を病んでいたことは確かなんだと思うけど
本当に繊細でやさしく、だけど時に冷静に自分の才能には正直。
「愛」に飢えた、「普通」の30代の独り身の男性だったんじゃないかと人間味をとても感じた。(テオへの手紙から見て取れるように「結婚」や「家庭」に憧れを抱いていたようだ)
歴史も好きなんだけど、何が好きって「その人物が人間として存在した証拠」が遺跡であり、書籍であり、芸術作品なんだよね。
誰だって言葉や態度に出さないだけで、人間は「孤独」だ。
だれが周りにいても、「孤独」だと感じることが多分誰にでもある。
それを表面に出すか(出せるか)出さないか、だけ。
なんと人間らしいんだろう。
ゴッホは精神疾患の「おかげ」であのような、唯一無二な色彩や独特筆致の絵を描けたという説があるけど、それも違うとおもう。(本人も「正気」の時にしか絵は描けないと言っている)
懸命に病や孤独と向き合い、打ち勝とうとする葛藤の中で
失われていく「自我」を自覚しながらも、懸命に絵を描いた。
その命をすり減らすほどの「葛藤」が誰しもの心を動かす絵を生んだんだと思う。
「黄色い家」でポールゴーギャンの寝室を飾るために描いたとされる≪ひまわり≫
ゴッホにとってひまわりは幸せや光の象徴といわれている。
追い求めた「幸せ」の形なんじゃないかな。ひまわりだいすきだ。
あーまた作品に会いに行きたくなったな~。
テオの息子に送ったとされる≪花咲くアーモンドの木の枝≫
こちらはまだ見たことがない。いつか本物を見たい。