【読書感想】「一ミリの後悔もない、はずがない」
「うしなった人間に対して一ミリの後悔もないということが、ありうるだろうか」
全5編の連絡短編集である本書の1話目、
「西国疾走少女」の桐原のセリフです。
読み始めて数ページで思った感想…
な、なんてセクシーなんだ…!
その人が立てる物音さえも特別で。
気配、匂い‥存在を感じるだけで
痺れるくらい幸福になる。
そんな、人が人に惹かれる様子が生々しく
書かれています。
普段恋愛小説はほとんど読まないので、
何だかそわそわしました(笑)
読み進めていくと‥
人物たちの背景が徐々に明らかに。
日常の中に苛立ちや孤独を
抱えていることが分かっていきます。
貧困に苦しんだり、家族がバラバラになって
しまっていたり‥
結果、一時的な愛に逃げてしまったり…
(不倫はだめですが)
どうしても拭いきれないものを抱えながら、
人生が続いていく。
ただの恋愛小説じゃない、人生の明と暗が
表現されていて期待以上の読みごたえがありました。
皆さんもぜひ読んでみてください。
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