配信者が陥りがちな罠
さっそくだけど一つ気になったことを見かけたので…
これはとある女性配信者の話だけど、特に超大手というわけでもないのだが、その方がどうやら配信を引退するらしい。理由は詳しく探っていないが、ざっと見たところリスナーに私的な詮索をされ続け、それがだんだんストーカーっぽくなってきたと…そして恐怖を覚えて引退を決意した様子。本来は配信を通じて純粋な友達を作って交流したかった…と最後に想いをTwitterで綴っていた。
この状況を見て自分は2つの感想を抱いた。一つ目はやはり当然というべきなんですが「かわいそうに」だった。これはまあ配信に携わる者であれば当然の反応なので割愛。
そしてもう一つ思ったことは「この配信者は隠れ強欲だなあ」という事だった。いや、勘違いしないで欲しいのは、もちろんこの方を責めるつもりは毛頭ない。
ただこれはマジメな配信者が陥りやすい罠の一つだと最近気づきました。この「隠れ強欲」が何なのかを追って説明しつつ、みんなが罠に陥らないために久しぶりにNOTEに記しておきます。
- ゲーム配信とは何か? -
自分もずっと関わっているのでアレなのですが、つまりゲーム配信をは何か?という根源的なところから問うてみましょうか。
ずばりゲーム配信は何かと言うと「ゲームしている状態をネット中継する」 …です。
ハァ?と思った方、当然の反応です!が、ここを忘れている人が多いように思いますので…ゲーム配信とはゲーム配信以上でも以下でもない…と言いたいわけですね。
実はその昔、ニコ生時代などでは希少な行為だったので、ゲーム配信自体に価値はあったんですが、これが今の時代はだんだんメジャーになってきて、そもそもゲーム配信画面そのものに価値は殆どないと言っていいでしょう。
そんなことない!と否定する配信者の方がいるかもしれませんが…
例えば、配信画面は見ずに音だけは流す…これはむしろよくある配信や動画の視聴スタイルの一つですよね?ラジオ代わりと言う感覚ですね。
でも、その逆はどうでしょう?
誰かの配信画面の音声を切った状態で眺めてください。何分眺められますか?…これが現実です。
- 視聴者は何を見てる? -
結局、価値のないモノにあえて価値を見出すとしたら「異性である」とか「声がいい」とか、そういう下卑た理由に繋がりそうな要素が占める割合が大きくなり、そこに目をつける連中も少なくないわけです。
つまるところ、ゲーム配信とは「プロゲーマー」とか「RTA走者」といった一部の曲芸師の類でもない限り、配信画面には価値がほとんどなくて、その場合において価値を構成してるのは「配信者がどういう人であるか?」というキャラクター性によるものなのです。
そうでも無ければ配信なんて見ないし、見るよりプレイしたほうが時間の有効活用になる…というのが厳しいですが本音だと思います。
自分にその気は無くても、女性でありかつ可愛らしい声をしていれば、それを目的に近寄ってくることは大いにあり得ます。というより、現状そっちの要素を評価する人のほうが絶対的に多いでしょうね…
- その崇高な目的は免罪符? -
配信者は往々にして心地の良い目標や思想を掲げがちです。
例えば…「皆さんが安心して楽しめるような配信にしていきたいです」とか、「ちょっとでもゲームの面白さを伝えれるような配信を心掛けたいです」などなど…
断っておきますが、決してバカにしてるつもりはないです。ちょっときつい言い方になったかもしれませんが、自分はこの配信の目標みたいなのを掲げる事はとてもいいと思っていますし全面的に賛同できることは確かです。
ただ先ほど説明したように、視聴者側がそのような考えに共感して配信者に近づいてきているか?というと、かなり怪しいラインではないかなと思います。
ゲーム配信に何か想いを乗っけるのは結構なのですが、そもそもゲーム配信はそんな万能な船じゃないと思っているんですよ。だからこそ、聞こえの良い目標や思想を免罪符にして、勘違いして寄ってくる人が完全に悪い!とする風潮にも疑問を呈したいところではあります。
もちろん悪意があって寄ってくる人々はそれはそれで擁護できませんので、そこは厳しく処すべきですが。
しかしそれとは別に、何かこう「ゲーム配信」をする事で何でもかんでも叶うっていう思考は考えモノです。どうにもゲーム配信というものに高望みしすぎな配信者も多いのではないか?という気がしています。
冒頭の女性の件で言うならば、きっと彼女の望んでいたであろう理想の配信とはこういうモノなのでしょう。
・ゲームを配信したい!
・ゲームを純粋に楽しみたい!
・ゲーム友達も作りたい!
・自分の理想の配信を作りあげたい!
・私が思う素敵なリスナーがついてほしい!
・沢山の人と交流したい!
・沢山の人に見られたい!
・お金も貰えるならちょっと欲しいし、支援もしてほしい!
これはあまりにも都合が良すぎませんか?
こう思う事自体が悪いっていうわけではないんですが、ゲーム配信とはそんな楽園が手に入るツールでは無いんですよと言いたい。
「立派な気持ちさえあれば必ず共感され、理解される世界」などでは無いんです。だから、それを理由にあれもこれもと望んでしまうのは危険だと警鐘を鳴らしてるわけです。
これが隠れ強欲と称した理由なのですよ。
恐らくゲーム配信というものに、知らず知らずのうちに「大きな期待」あるいは「自分にとっての何かを達成、あるいは解消」を見出しているのでしょうが…
それら全てがどうなるのか?というのは配信者のやり方に委ねられているわけで、どこからともなく天使リスナーがわざわざ向こうからやってきて解決してくれるわけじゃないんです。
- それでも配信をやる理由は? -
厳しい話かもしれませんが、このお題に挙がった女性配信者が「ゲーム友達が欲しかった」というのであれば、そもそも配信なんかせずに別の方法で純粋にゲーム仲間を作ればよかったわけです。
ゲームを純粋に楽しめないという意見とかもそうで、そもそも配信付けるってことは他人にある意味邪魔されるってことなので、配信しなければ解決します。
ゲーム配信して支援を得たい、あるいはお金を稼ぎたいという人もまた、それを達成するのはゲーム配信でやるよりは、普通に労働するほうがもっと楽に時間効率よく多くの稼ぎが得られるというのが現状です。
「ゲームの面白さを伝えたい」っていう場合も、貴方よりもっと有名な人が配信してるはずだし、作品を沢山購入して売り上げに貢献したほうが結果として面白さを伝える方法として良いはずで、わざわざ自分が配信してまでやらなくても良いんですよ。悲しいですけどね…
ゲーム配信を通じて出来る事は、ゲーム配信を通じなくても達成可能な事ばかりであるというのは重々承知しておくべきです。
それでもなお、ゲーム配信を絡めて何かの達成を望むというのであれば、ちゃんと現状把握をして目的達成のために何が必要か?とか、準備と対策、リスクマネジメントして臨むべきであると思います。
ただ単にとりあえずお得だから配信つけておこう、あわよくばホニャララ…という感覚でやってる人は多いのかもしれませんが、それはそのあわよくばの期待と、あわよくば行ってしまった場合を含めて、対価を支払っているという認識は持っておいたほうがよろしいのかと思っています。
何かを得ようとするのであれば何かを失うのは当たり前の事です。
冒頭の女性はきっとある程度承認欲求は満たせたであろうし、ゲーム配信という楽しい時間も過ごせたハズです。同時に変なのに必要以上に絡まれ続けるというリスクをも取っていただけのこと…その結果に過ぎないのです。
だけどこのリスクを全く認識していなかったため、想定してなかったからこそ幻想の楽園崩壊が恐怖に変わり、結局引退に追い込まれてしまったという事です。
でも、最初からここが楽園ではないと考えているならどうでしょう?きっちりと分水嶺を理解した上でコトを進めていくならば、話は変わっていたかもしれません。ありもしない楽園などに期待もしませんからね。
自分は常々「配信者こそ人の配信を見るべき」と言ってます。これは配信者がどんな人や欲望が渦巻いてる世界に身を置いてるのかがわかりやすいのと、配信をしている人と見ている人の感情の差、欲求の差を肌感で理解できるからです。
ゲーム配信は楽しいです。これからも伸びしろのある分野の一つだと感じています。だからこそ、どういう世界なのか?という正しい視点をもって配信に挑む事が大切です。
配信を含めあらゆるコンテンツで身を持ち崩さない…それが生き残る術なんじゃないかなあと。
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