河川工学の人 原田守啓

河川工学やってます|岐阜大学環境社会共生体研究センター専任教員|学生は工学部社会基盤|元土木研究所自然共生研究センター|元建設コンサル技術者|静岡県浜松市出身|岐阜在住・川の人・長良川流域の民 川のこと,流域のこと,源流のこと,大学のこと,日々のもろもろの記事をたまに投下します.

河川工学の人 原田守啓

河川工学やってます|岐阜大学環境社会共生体研究センター専任教員|学生は工学部社会基盤|元土木研究所自然共生研究センター|元建設コンサル技術者|静岡県浜松市出身|岐阜在住・川の人・長良川流域の民 川のこと,流域のこと,源流のこと,大学のこと,日々のもろもろの記事をたまに投下します.

最近の記事

長良川の真の源流?吉田川源流を小嶋智先生とジオツアー

学会続き・出張続きの9月もいよいよ最終週に突入.長良川カンパニーのみなさんからのリクエストにお応えして,この地域の地質研究の第一人者である小嶋智先生をお招きして,長良川支流の吉田川の源流域を一緒に歩いていただきました. タイミング的に,長良川カンパニーが中心となって開催している,今年第3回となる源流遊行祭(9/25-26)のプレイベント的な位置付けとなりました. 吉田川の源流は,鷲ヶ岳・烏帽子岳火山の山麓から始まっています.ちなみに長良川の源流は,鷲ヶ岳の西側にある大日ヶ

    • 応用生態工学第20回日韓セミナー#3 河川を対象とした工学分野と生態学分野の研究者・技術者の交流

      2024年7月25日、26日に韓国ソウル市の延世大学(Yonsee University)で開催された第20回日韓ジョイントセミナーに参加したレポートです。 日韓セミナー(韓国側では韓日セミナー)とは?2005年の応用生態工学会ニュースレターには、第3回のセミナー(名古屋開催)についてこんな紹介がされていました。(太字は筆者による) また、第20回となりソウル開催である今回の会告文は、こんなことが書かれています。(筆者が適当に和訳) 初期の頃から現在まで、一貫して、生態

      • 応用生態工学第20回日韓セミナー#2 ソウルの再開発プロジェクトであった清渓川再生

        前記事はこちら. 今回の訪問で訪れた清渓川(チョンゲチョン)は,ソウルの旧市街の中心を流れていた川を,一度蓋をして暗渠にして高速道路を走らせていたのを,2000年代以降に再び川に戻し,周囲の都市まるごと作り変えてしまった韓国のビッグプロジェクトの一つで,2002年にソウル市長だった李明博(イミョンバク)さんが旗を振って,その後大統領になったという市民の支持も大きく得られたプロジェクトであったようだ. 日本でも河川関係者界隈では有名な事案である. 初めての清渓川清渓川はソウ

        • 応用生態工学第20回日韓セミナー#1 ソウル初訪問記

          応用生態工学日韓セミナーそのものも大変刺激的であったのですが,まずは初ソウル関係の話題を少し。 まず、ソウルの公共交通の利便性はかなり高いです。 鉄道、バス、タクシーで使えるT-moneyカードが大抵のコンビニで売っており、5000ウォンで買えました。無地のは4000ウォンらしい. これを駅にあるチャージャーでチャージ(1000ウォンから)してタッチアンドゴーします。普通の切符は売っておらず、一回乗るだけでもいちいちデポジット制のカードを買って、それを返却してRefund

          岐阜市長良川のニジマス管理釣り場についての論点整理(FB過去記事)

          2024年2月1日に岐阜市中心部を流れる長良川の長良川鵜飼観覧船事務所前にオープンした管理釣り場「アングラーズフィッシングパークNagara」について、2月19日頃の出水で釣り場が冠水したり、河川管理者である国土交通省木曽川上流河川事務所から長良川漁業協同組合に報告と再発防止を求める行政指導が行われたり、とオープン早々様々なことが起こっている。また、ニジマスが実質的に放流されることになることの是非についてもさまざまな意見がある。中立的立場から少し頭を整理してみたい。 1.あ

          岐阜市長良川のニジマス管理釣り場についての論点整理(FB過去記事)

          岐阜の湊町から船旅で行けたところ(FB過去記事)

          輪中研究の第一人者伊藤安男先生(故人)らの「古地図で楽しむ岐阜」という本に、中世から近代にかけての長良川の「川通り(舟運)」についての記載が断片的にあった。最盛期1881年(明治14年)には、岐阜市湊町から一日1便、上流の美濃の上有知(こうずち)湊まで定員20人の旅客船(舟)が出ていたそうである。 夜中の十二時に岐阜市の港町を出て、上流の美濃には午前九時着。(所要時間9時間) 帰りの便は定員40人で午後一時に出て四時には港町に戻ってくるという往復便。(3時間) 月明かりの真

          岐阜の湊町から船旅で行けたところ(FB過去記事)

          内水面漁業関係メモ (FB過去記事)

          漁業法に定められた増殖義務って何だろう?と思い少し調べものしていたところ,ネットでは表面的な記載が多く,きちんと増殖義務のよって立つ理念を明文化しているものはなかなか見つけられない. ChatGPT4.0は,内水面漁業における増殖義務についてこう言っている.(信憑性はチェックしていない) 実質的に再生産に寄与しないような放流も行われているが,これは増殖義務といえるのだろうか.理念と実態がかけはなれているような気がして,結局なんだかわからなかった(皮肉です). 一方,平成

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          川の治水と環境,恵みと災いを考える#2 望まれる日本版河川マイスターの職能とは?(FB過去記事)

          前記事からの続きである. 日本の河川における治水と環境の調和した河道管理のあり方についてほうぼうでしゃべる機会をいただいている.正確には,講演やシンポジウム,学会での発表といった様々な機会に,「自然の営力」とは何か?洪水によって川の形が変わり,植物が生育し,変化していくことが当たり前の河川環境に,人為的な河川管理行為を加えながら,治水と環境の調和を目指すのが河川管理の仕事であり,それはとっても魅力的ではないか?という問いかけをしている.(もちろん,それを実現するための研究開

          川の治水と環境,恵みと災いを考える#2 望まれる日本版河川マイスターの職能とは?(FB過去記事)

          川の治水と環境,恵みと災いを考える#1(FB過去記事)

          この一週間は色々なインプットやディスカッションやプレゼンがあって,いわゆる“忙しい”一週間であったけれども,いろいろな分野の方々を相手に壁打ちさせてもらったおかげで最近考えていたことが多少クリアになったような気がする. 一連のコミュニケーションで自分が感じた違和感や共感を一つ一つ咀嚼しておかないと,また逆戻りしそうなので備忘録としてここに記したい. この一週間でお会いした集団を出てきた順に,大雑把にクラスタリングすると,国土交通大学校の生徒さん(国の河川事務所の技術者,県

          川の治水と環境,恵みと災いを考える#1(FB過去記事)