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東京を歩く#8 上野から池袋

歩いて東京副都心の一角である池袋を目指そうと思いルートを検討。上野から西に向かうのが距離や観光スポットの面で良さそうだったので今回はこのルートに決定し、実際に歩いてみることにした。

2024年11月上旬。天気も良く気温も適度で歩くのにほどよいコンディション。今日は上野駅からスタートする。

上野駅の不忍口を出るとすぐに上野公園がある。さらにその西には不忍池が広がり、池の真ん中に弁天堂が建っているのが遠くからも見える。不忍池と弁天堂の関係は、滋賀県にある琵琶湖とそこに浮かぶ小島である竹生島ちくぶじまを模したものらしい。

ハスが群生する不忍池とその中に建つ弁天堂

池をぐるりと回って弁天堂へ近づくと、池と弁天堂を結ぶ道のそばには上野動物園の入り口のひとつがあり、開園前から並ぶ人の列が見える。弁天堂までの道の両脇には縁日で見るような露天も出ていてなんだか賑やか。

不忍池弁天堂

次は近くにある旧岩崎邸庭園に立ち寄る。旧岩崎邸庭園は三菱財閥の創業者・岩崎弥太郎や、その長男・岩崎久弥が暮らしていた邸宅で、洋館、和館、ビリヤード用の建物で構成されている。メインの洋館はジョサイア・コンドル設計の建築であり、重厚で豪華なたたずまい。館内の資料には、津田梅子が岩崎家の家庭教師をしていたという記載もあって、出てくるネームがことごとくビック。
入館料は400円。

旧岩崎邸の洋館

旧岩崎邸庭園を後にし、少し歩くと湯島天満宮(湯島天神)がある。湯島天満宮は学問の神様とされる菅原道真を祀っており、東京へ修学旅行で来ている学生で賑わっていることも多い。
この日はちょうど菊まつりを開催しており、たくさんの菊が飾られていたほか、現在放送中の大河ドラマ「光る君へ」に登場する藤原道長紫式部清少納言の菊人形も展示されていた。清少納言の顔はファーストサマーウイカに似ている気がしたが他はあまり似ていないような。そもそもキャストに似せているわけではないのかな?

左から清少納言、藤原道長、紫式部

初めは「湯島天満宮だから縁のある藤原道長をチョイスしたんだな」と思っていたが、よく考えたらここで祀っているのは菅原道真で全然違う人だった。調べたところ生きた時代も100年くらい違っていた。

湯島天満宮からは春日通りを西に進む。しばらく行くと「本郷も かねやすまでが 江戸の内」の川柳で知られたかねやすビルのある本郷三丁目の交差点に着き、ここで本郷通りと交差する。本郷通りは以前、東京を歩く#6で歩き通している。

かねやすビルの川柳

さらに進むと春日駅のあたりに文京区役所が見えてくる。文京区役所には文京シビックセンターという名前がついた複合施設で、コンサートホールや展望ラウンジなども併設されている。その外観は展望ラウンジ部分が丸く張り出していて、なかなか現代的なデザイン。

文京シビックセンター

展望ラウンジは25階にあり、無料で行くことができる。東・北・西の方角が開けているので、東京スカイツリー、埼玉方面、新宿の高層ビル群などを見ることができる。東京タワーは南にあるので残念ながら見えない。ここは比較的穴場のスポットのようで、自分が訪れたタイミングではほかに10人ほどしかおらず、のびのび鑑賞することができた。

展望ラウンジからのスカイツリー

小石川のエリアに入り伝通院前でんづういんまえという交差点まで来れば、この交差点を右に曲がったところにカラフルな幕のかかった伝通院でんづういんがある。

伝通院

伝通院には徳川家康の生みの母である於大おだいかたや孫の千姫せんひめのお墓がある。伝通院というのは於大の方が生前出家した際の名前であって、これがそのままお寺の名前になっている。
明治の文豪永井荷風はこの辺りの生まれのようで、随筆「伝通院」でこのお寺をたたえている。「巴里パリにノオトル・ダアムがある。浅草に観音堂がある。それと同じように(中略)小石川らしく思わせ(中略)るものはあの伝通院である」だそうだ。

於大の方のお墓

この辺りでは丸ノ内線が春日通りと並走しており、小石川車両基地が近くにあることから地上を走っている部分も多い。小石川車両基地の少し手前で線路を越えると、線路のすぐそばに徳川慶喜 終焉の地の碑がある。徳川慶喜が晩年に過ごした屋敷がここにあったということのようであるが、今は大学の敷地となっていて、遺構らしいものは見当たらなかった。

丸の内線沿いにある徳川慶喜終焉の地

茗荷谷みょうがだにを過ぎ、大塚三丁目の交差点で左折して不忍通りに入る。不忍通りを反対方向に行けば、いくらか大回りするものの今日最初に訪れた不忍池まで繋がっている。

不忍通り沿いにある護国寺を訪れる。護国寺は江戸時代に徳川綱吉が建立を命じたお寺で、いい立地にありながらかなり広い敷地を有している。

護国寺の仁王門

仁王門から入ると、石段がありその上の不老門とまで続いている。不老門を過ぎると右手に大仏がある。この大仏はもともと筑波山にあったものなのだそうだ。今では筑波山神社となっているところにかつてあった大仏が、明治の政策である廃仏毀釈の影響で置くことができなくなったことで、紆余曲折あってここに移設されたそうだ。
奥には堂々とした本堂が構える。

護国寺本堂

護国寺を後にし、近くの雑司ヶ谷霊園へ。雑司ヶ谷霊園には先ほどの永井荷風など有名人のお墓もいくつかある。中でも知られているのは夏目漱石のお墓だろう。雑司ヶ谷霊園は夏目漱石の小説「こころ」に登場する場所でもある。

夏目漱石の墓

ここまで来れば池袋駅まではもうすぐ。最後に池袋大仏を見ていく。
池袋大仏は仙行寺せんぎょうじにある大仏で2018年にできた比較的新しい大仏。仙行寺の本堂は街なかにある8階建てビルで、池袋大仏はその1階にある。この大仏が特徴的なのは雲に乗って浮いていること。どこかで支えているのだろうけれども、照明を落として暗くしているので構造的なものは見えず、ぼわっと浮かんでいる雰囲気がある。他では見れないユニークな大仏様だ。

仙行寺の池袋大仏

この記事の見出し画像のいけふくろうがいる池袋駅まで行って今回の東京歩きを終わりにする。

旅のスタンプ
[訪問:自治体]東京都豊島区

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