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リーダーシップ開発のレビュー論文(1990~2000年):論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、1990~2000年のリーダーシップ開発のレビュー論文です。
リーダーシップ開発とは:
組織のメンバーがリーダーシップの役割とプロセスに効果的に関与するための集合的な能力を拡大すること。この概念は、正式な権限を伴う役割だけでなく、非公式な役割にも適用される。また、リーダーシッププロセスは、グループが協調して活動できるようにするもので、位置や組織特有の管理プロセスとは異なる。リーダーシップ開発は、予測不能な問題に対処するための能力を構築することを目的としている(McCauley et al., 1998)。
今日の論文
Leadership Development: A Review in Context
リーダーシップ開発:文脈でのレビュー
Leadership Quarterly, 2000年
David V. Day
サマリ
本研究は、リーダーとリーダーシップの開発の違いを明確化し、組織内での実践的取り組みと科学的基盤を繋ぐことを目的としたレビューである
リーダー開発は主に人的資本の向上に焦点を当て、リーダーシップ開発は社会資本の構築を強調する
360度フィードバック、エグゼクティブコーチング、メンタリング、ネットワーキング、ジョブアサインメント、アクションラーニングといった実践がレビューされ、それぞれの発展性と研究的観点について議論されている
方法
リーダーとリーダーシップ開発を比較するために、過去5~10年間の研究と実践をレビューし、以下の3つの文脈で議論。
①概念的文脈
②実践的文脈
③研究的文脈
わかったこと:
リーダー開発とリーダーシップ開発の違い
リーダー開発は個々の人的資本(自己認識、自己調整、自己動機付けなど)を強化することに焦点を当てる
リーダーシップ開発は、信頼、尊重、相互義務を基盤とした社会資本を強化する
リーダーシップ開発の重要な実践
360度フィードバック
主に自己認識向上に寄与するが、社会資本の構築には限界がある
エグゼクティブコーチング
個人の行動変容を促進し、人的資本の向上をサポートする
メンタリング
組織内外での経験豊富なメンターによる支援が、戦略的な視点の獲得に寄与する
ネットワーキング
社会資本を拡大し、問題解決や新たな情報の入手を支援する
ジョブアサインメント
新しい責任や課題を通じて実践的な学びを提供する
アクションラーニング
実際の組織課題に取り組むことで、チームワークや戦略的思考を強化する
社会資本と人的資本の統合
個人レベルでの能力開発と、グループ間での関係構築の両方がリーダーシップ開発において必要不可欠である
これらを組み合わせることで、より持続的で効果的なリーダーシップを育成できる
リーダーシップ開発の課題
実践が「ハプハザード(場当たり的)」に行われる傾向があり、意図性、評価、アカウンタビリティが不足している
組織的戦略と整合した開発の設計が必要である
論文から得た学び
リーダー開発は主に自己認識や自己調整などの個人能力を高めるものであり、一方でリーダーシップ開発は信頼と尊重に基づく社会資本を強化することが主張されています。さらに、リーダーシップ開発の一環として、360度フィードバックやメンタリングなどの実践が有効性が示されていますが、それぞれに課題もあるとされています。