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柔軟な働き方と労働生活の平等:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、柔軟な働き方と労働生活の平等についての論文です。
I-deals(idiosyncratic deals)とは:
雇用者と個々の従業員との間で交渉され、両者に利益をもたらす自発的で個別化された非標準的な合意
今日の論文
Making Flexibility More I-Deal: Advancing Work-Life Equality Collectively
柔軟性をより理想的にする:労働生活の平等を集団的に進める
Group & Organization Management, 2023
Ellen Ernst Kossek, Clare Kelliher
サマリ
現在主に高度なスキルを持つ専門職向けに提供されている柔軟な働き方の「I-deals」(個別的取り決め)が労働市場全体で平等に活用される必要性を提唱
COVID-19パンデミックは、労働生活の平等を欠く現状を浮き彫りにした
これに対し、雇用者と従業員の利益だけでなく、社会的利益にも配慮した「集団的柔軟性」の概念を提案
この論文は、柔軟性の新しい枠組みを提示し、職場での不平等の是正に貢献するための研究議題を提示
方法
本研究は、柔軟性I-dealsをより包括的な枠組みで再概念化することを目的としている
既存の研究を批判的に検討し、「集団的柔軟性」の概念を構築
また、新たな交渉プロセスや利害関係者への影響を探求
わかったこと:柔軟性I-dealsを拡張するための4つの主要な戦略
従業員と職業の範囲を拡大:
高度な専門職だけでなく、全ての職業で柔軟性I-dealsを利用可能にする
柔軟性を「特権」ではなく、すべての労働者の権利として認識する
交渉プロセスの標準化と透明化:
個別的で非公開な交渉から、標準化され透明性のあるプロセスへ移行
労働者が公平にアクセスできるシステムを構築し、不平等を緩和
集団的交渉を推進:
個人の交渉から集団的交渉へ移行し、交渉力の非対称性を軽減
法的な「柔軟性のリクエスト権」や集団的労働協約を導入して交渉範囲を拡大
柔軟性I-dealsの内容を多様化:
時間、場所、業務負荷、技術的な利用可能性、境界管理など、柔軟性の選択肢を拡大
仕事と非仕事の境界を管理する新しい柔軟性の形態(例: 「接続を切る権利」)を交渉に含める
論文から得た学び
柔軟なI-dealsを拡張するための4つの主要な戦略が主張されています。これには、柔軟性の集団的交渉を可能にし、従業員の範囲を広げ、技術的な利用可能性や労働生活の境界管理を含めることが示唆されています。