パフォーマンス管理システムの活用:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、パフォーマンス管理システムの活用に関する論文です。
この論文の中の「強みを重視したフィードバック」(strengths-based feedback)を取り上げたため、まとめます!
今日の論文
Using Performance Management to Win the Talent War
「タレント戦争に勝つためのパフォーマンス管理の活用」
Business Horizons, 2012年
Herman Aguinis, Ryan K. Gottfredson, Harry Joo
サマリ
本論文では、21世紀における組織間の「タレント戦争」の現実と、それに勝利するためのパフォーマンス管理システムの活用について論じている
主要な提言として、個別の成長計画の策定、挑戦的で興味深く意味のある仕事の提供、明確な昇進の機会の確保、および成果連動型報酬の実施が挙げられる
これらの戦略が、優秀な人材を維持し、競合他社に奪われることを防ぐ効果的な手段であることを説明してる
方法
パフォーマンス管理システムのサイクル(目標設定、計画、評価、レビュー、更新)を利用し、トップタレントの維持と育成を図る方法を提案
文献レビューやケーススタディを通じて、具体的な推奨事項が挙げられている
わかったこと①:
パフォーマンス管理システムのサイクル
事前準備(Prerequisites)
組織の使命や戦略目標、および職務内容を明確化パフォーマンス計画(Performance Planning)
管理者と従業員が共同で業務目標と達成手段を設定パフォーマンス実行(Performance Execution)
従業員が計画された行動や結果を達成するための活動を実施パフォーマンス評価(Performance Assessment)
行動や成果を測定・評価し、報酬や改善点を判断パフォーマンスレビュー(Performance Review)
評価結果に基づく面談を行い、将来の目標や成長計画を設定再契約・更新(Performance Renewal and Recontracting)
学んだ教訓を反映し、新たな目標や計画を再設定
わかったこと②:
「強みを重視したフィードバック」(strengths-based feedback)
パフォーマンス管理の一環として、強みを重視したフィードバックの提供が推奨されている。このアプローチは、従業員の既存の能力や特性をさらに伸ばし、モチベーションを高めることを目的としている。
具体的には、フィードバックを通じて以下の点が達成されるとされてる。
従業員の強みを特定し、それを日々の業務に活かす方法を明確にする
従業員が感じる価値や貢献感を高めることで、組織へのエンゲージメントを促進する
強みを活かす機会を提供し、さらなるスキルの向上を支援する
このアプローチの利点として、従業員のパフォーマンスが向上するだけでなく、離職率の低下にも寄与するとされている。また、単に不足点を補うための指摘だけではなく、ポジティブな側面に焦点を当てることで、心理的安全性や自己効力感を高める効果も期待されている。
この記述は、パフォーマンス管理のレビュー段階(performance review)において特に重要であり、組織と従業員の双方が継続的な成長を目指す基盤となると強調されている。
考察まとめ
個別の成長計画(Individualized Developmental Plans, IDPs)の効果
トップタレントの期待に応え、スキル向上とキャリア成長を支援
競合他社による引き抜きを防ぐ組織固有のスキル形成を促進
挑戦的で興味深く、意味のある仕事の提供
トップタレントのコミットメントを高め、離職意欲を低下させる
個人の価値観や関心に合った仕事設計(ジョブスカルプティング)の重要性を確認
昇進の機会の明示化と計画的な能力開発
トップタレントのキャリア志向に応じた明確な昇進ルートを提示
必要なスキルや行動目標を具体的に設定し、定期的なフォローアップを実施
成果連動型報酬の導入
トップタレントの高い期待に応える報酬体系を構築
パフォーマンスに応じた適切な報酬が離職防止に寄与
パフォーマンス管理システムの循環的利用
計画、実行、評価、レビュー、再契約のプロセスを通じて、継続的な改善を実現
トップタレントの能力開発と組織目標の整合性を強化