革新的な職務行動の測定:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、革新的な職務行動の測定に関する論文です。
革新的な職務行動(IWB)の定義:
IWBとは、個人が新しいアイデア、プロセス、製品、または手順を職務上で意図的に導入し、組織やグループにとって有益となるようにする行動を指します。これには、アイデアの生成だけでなく、それを推進し実現する行動も含まれます(Farr & Ford, 1990)
Farr & Ford (1990): IWBは新しいアイデアや手法を導入し、組織に利益をもたらす行動と定義
Janssen (2000): 職務要求、公平性認識とIWBの関係を分析
Scott & Bruce (1994): IWBの決定要因と職場での個人革新行動のモデルを提示
Kanter (1988): 革新の構造的・社会的条件を論じ、アイデアの生成と実装の重要性を強調
今日の論文
Measuring Innovative Work Behaviour
革新的な職務行動の測定
Creativity and Innovation Management, 2010年
Jeroen de Jong, Deanne den Hartog
サマリ
個々の従業員の革新的な職務行動(IWB)は、組織の成功に不可欠とされている。本研究では、IWBを測定するための新しい多次元的な指標を開発し、その有効性を検証した
探索、生成、推進、実装の4つの潜在的次元に基づいて、10項目の指標を作成した
703組の知識労働者とその上司のデータに基づく分析では、指標の信頼性と基準妥当性が確認されたが、4次元の独立性の証拠は弱かった
方法
1つの予備調査と1つの本調査を実施。予備調査では、オランダの研究機関で働く81人の知識労働者とその上司を対象にIWB項目を探索
続いて、94の知識集約型サービス企業に属する703人の労働者とその上司を対象に、測定の妥当性を検証した
わかったこと:
探索的因子分析による革新的な職務行動(IWB)の設問
(上司に部下の評価を行ってもらう設問)
探索的因子分析と確認的因子分析を用いて測定の次元を分析したところ、4次元モデルが提案されたが、次元間の相関が高いためIWBは一元的とみなすべきとの結果が得られた。
この従業員は、日常業務に含まれない問題に注意を払いますか?
この従業員は、物事をどのように改善できるか考えますか?
この従業員は、新しい作業方法、技術、または道具を探しますか?
この従業員は、問題に対して独創的な解決策を生み出しますか?
この従業員は、タスクを実行するための新しいアプローチを見つけますか?
この従業員は、革新的なアイデアに対して重要な組織メンバーを熱心にさせますか?
この従業員は、革新的なアイデアを支持するように人々を説得しますか?
この従業員は、革新的なアイデアを業務プロセスに体系的に導入しますか?
この従業員は、新しいアイデアの実装に貢献しますか?
この従業員は、新しい取り組みを開発するために努力しますか?
論文から得た学び
IWBの測定指標は実践的に有用であり、従業員の革新成果の向上に寄与すると考えられると主張されています。