Job EngagementとBurnoutの分類と影響:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、Job EngagementとBurnoutの分類と影響に関する論文です。
今日の論文
A Multilevel Person-Centered Perspective on the Role of Job Demands and Resources for Employees’ Job Engagement and Burnout Profiles
職務要求と資源が従業員の仕事への関与と燃え尽きプロファイルに及ぼす影響に関する多層的なパーソンセンタード・アプローチ
Group & Organization Management, 2024年, Vol. 49(3), pp. 621–672
Nicolas Gillet, Alexandre J. S. Morin, Ann-Renée Blais
サマリ
カナダ国防省の従業員(n = 13,088, 65の職場単位に所属)を対象に、仕事への関与(Job Engagement)と燃え尽き(Burnout)のプロファイルを多層的な視点で分析した
潜在プロファイル分析(LPA)の結果、従業員は以下の5つのプロファイルに分類された
燃え尽き・無関心型のプロファイルでは離職意向が最も高く、関与型のプロファイルでは最も低かった
仕事の要求(ワークオーバーロードや役割のあいまいさ)や、個人・チーム・管理者・組織レベルの資源がプロファイルの所属に影響を与えた
特に心理的エンパワーメントの影響が強かった
方法
サンプル: カナダ国防省・軍関係者(CAF/DND)の非配属職員を対象とした無作為抽出調査(n = 13,088, 65の職場単位)
測定項目:
燃え尽き(Burnout): 感情的消耗・無関心(Oldenburg Burnout Inventory)
仕事への関与(Job Engagement): 身体的・認知的・感情的関与(Rich et al., 2010)
仕事の要求(Job Demands): ワークオーバーロード・役割のあいまいさ
資源(Resources): 心理的エンパワーメント、インターパソナルジャスティス(公正さ)、トランスフォーメーショナルリーダーシップ(変革型リーダーシップ)、組織支援
アウトカム: 離職意向
分析手法: 潜在プロファイル分析(LPA)、マルチレベル分析(MLA)
わかったこと:
プロファイル分類
燃え尽き・無関心型(7.13%): 仕事への関与が低く、燃え尽きが高い
燃え尽き・関与型(12.13%): 燃え尽きているが仕事には積極的に関与している
関与型(18.14%): 燃え尽きが低く、仕事への関与が高い
関与・疲弊型(15.50%): 仕事には積極的だが、感情的に消耗している
標準型(47.10%): いずれの尺度も平均的なスコア
プロファイルごとの離職意向
燃え尽き・無関心型が最も高く(約60%)、関与型が最も低かった(約10%)
燃え尽き・関与型は、燃え尽き・無関心型よりも離職意向が低いが、関与型よりは高い
プロファイルの予測因子
心理的エンパワーメントの影響が最も大きい(関与型への所属を促進)
ワークオーバーロードや役割のあいまいさが燃え尽き・無関心型への所属を強める
職場資源(公正さ・リーダーシップ・組織支援)は関与型の所属確率を高める
職場単位での仕事の要求・資源も影響を及ぼしたが、個人レベルの影響がより顕著
論文から得た学び
関与と燃え尽きは相互に影響し合い、単純な二分法では説明できないと主張されています。心理的エンパワーメントが最も強い影響を持ち、個人レベルの認識がプロファイル所属を決定する主要因となっていました。職場単位での資源・要求の共有認識もプロファイルに影響を与えるが、その効果は個人レベルよりも弱いと示唆されています。