リーダーシップ開発の理論と実践としてのDACフレームワーク:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、リーダーシップ開発の理論と実践についてまとめた論文です。
前回に比べてより実践的な内容になっています。
今日の論文
Developing the Theory and Practice of Leadership Development: A Relational View
リーダーシップ開発の理論と実践の発展:関係性の視点
The Leadership Quarterly, 2021年
Cynthia D. McCauley, Charles J. Palus
サマリ
リーダーシップ開発の現行の方法が狭義であるという批判を受け、組織変革を支援するためのより文脈に適応したリーダーシップ開発が求められている
本研究は、リーダーシップの「関係性の視点」がこれらの問題を解決する革新的な手段となりうるかを調査し、リーダーシップ開発専門家の実践に及ぼす影響を明らかにした
また、DAC(Direction-Alignment-Commitment)フレームワークの適用例を用いて、リーダーシップ文化の発展とリーダーシップ開発の民主化における役割について議論している
方法
本研究はケーススタディのアプローチを採用し、リーダーシップ開発機関であるCenter for Creative LeadershipにおけるDACフレームワークの導入と活用を分析
データはスタッフへのアンケート、フォーカスグループ、アーカイブ資料を用いて収集
DACフレームワークの概要
Direction(方向性): 集団が共通の目標に合意し、それに向けて行動する
Alignment(調整): 個々の役割やタスクを調整し、一貫した動きを実現
Commitment(コミットメント): 成功と集団全体の福祉に責任を共有する
わかったこと:
1. フレームワークの使用状況
トレーニングプログラム:
クライアントとの会話やプログラムで頻繁に使用
リーダーシップ文化の発展:
チームや組織全体のリーダーシップ文化の評価・改善で使用
応用範囲:
個人、チーム、組織、社会レベルで利用可能
2. スタッフの受容度:
89%がフレームワークを支持
リーダーシップを集団の成果として捉える視点を提供した点が高評価
3. フレームワークの利点:
簡潔で覚えやすい:
クライアントや参加者に広く受け入れられる
柔軟性:
異なる文化や組織のニーズに適応可能
包括的視点:
他の理論やモデルと組み合わせることでさらに応用が広がる
4. 実践例:
ワークショップ:
方向性、調整、コミットメントを評価し、課題解決に役立てる
リーダーシップ文化の変革:
組織の文化を分析し、より包括的で相互依存的なモデルを目指す支援
教育分野や地域社会での活用:
チームやコミュニティでの協働を促進
5. 制限と課題:
フレームワークの理解と指導方法にばらつきがある
DAC生成のための具体的な手法やガイダンスが不足している
DACと組織成果の関係性を実証するさらなる研究が必要
6. フレームワークの影響:
リーダーシップの評価を個人中心から集団成果中心へ転換
チームやリーダーシップ文化の発展を支援
集団プロセスに基づく新しいリーダーシップの実践を推進
論文から得た学び
DACフレームワークは、リーダーシップ開発における集合的成果(方向性、調整、コミットメント)を強調する点で有効であると主張されています。