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イケメンは裏表がない

先日、恵比寿横丁で友人と飲んでいた。

恵比寿横丁というのは、その名の通り恵比寿にある飲み屋が連なった横丁である。様々なジャンルのリーズナブルな飲み屋が軒を連ねているが、特徴的なのはここが都内屈指の出会いスポットであるということ。
道端でナンパは当たり前、席が隣同士になったらとりあえず乾杯して盛り上がる。男性も女性も”あわよくば良い出会い”を求めて、特に週末は熱気で大変なことになっているスポットだ。

とにかく、恵比寿横丁で友達と飲んでいた。金曜日の夜で、人でごった返し、熱気がすごかった。
空調もロクに効いておらず汗が止まらない。

私達の隣には女性が座り、さらにその隣には男性2人組が座った。そしてその男性2人組はイケメンだった。今どき流行りの塩顔男子センターパート。シンプルなのにサイズ感が絶妙なファッション。アラサー世代には”Tinderにいそう”といえばわかりやすいだろうか?(disる意図は無いです。念のため)

その片方の男性が曰く。
最近彼女に振られたそうだ。ただ、その彼女がどうしても好きで忘れられず、しつこく何度かすがりついたけどまた振られ、思いの丈を込めた手紙を投函したが無視され、絶体絶命というか、もうとっくに息絶えているけどまだ奇跡を信じている、みたいな状況だと。

ちょっと意外だったのは、その男性はイケメンだった。イケメンはよりどりみどりの酒池肉林だと思っていたため、フラれてもあっさりしているイメージがあった。もっと言えば常に予備の女性がいるくらいのイメージもあった。さらに言えば浮気性なイメージもあった。ワンチャン金とか借りてるイメージもあった。

また、私がびっくりしたのはそんな話を初対面の女性にするあけすけさだ。
さらに、女性に「じゃあ出会い探してる訳では無いんですか?」と聞かれ、「はい!今日は、可愛い女の子と遊びに来ました!」と笑顔で言い放ち、女性の顔を強ばらせる裏表のNASA。
なんかもっとこう、適当に誤魔化せばいいのに、全部言ってるこの人。裏表無さすぎるよ、口と脳が直結してるよと思いながら、私は隣の話を聞いていた。

「なんでわざわざ全部言うのかな?好感度下がるんじゃないの」と、私は友達に聞いてみた。
「よくわかんないけど、そういうとこが嫌で振られたのかもね」と、友達は笑った。

その後は私達が先に店を出たので、その男女がどうなったかはわからない。
ただ、デリカシーと素直の紙一重さを、目の当たりにできた有意義な恵比寿での一夜だった。

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