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#7 古民家暗中模索中 竹焼き編 その1

DAY 21  5月9日  竹を焼き始める



じつはこの家から10分くらい歩いたところにうちの竹林がある。
そこは季節になると美味しい筍が生える竹林なのだが、いかんせんだだ広い。
端から端までがどこまでなのかあまり誰もわかっていないという恐ろしい竹林。
子どもの頃は柿畑もあって、柿採りもした。
しかし、整備する人がいなくなり、柿もどんどん竹に侵食され、やがては一帯がすべて竹林になってしまったという場所だ。
20年前から1年に2、3回友人たちとわたしが竹林整備をしていたけど、とてもそんなのでは間に合わない。
でも、どうしようもない。
というところで放置に近い状態だった竹林だが、古民家を再生するにあたり、
ここもどうにかしないといけないとセットで思うようになっていた。
まずは20年ただひたすら切って積み上げていたものをなんとかしないといけない。

いろんな人に聞いてみると
一番いいのは焼くということ。
しかし、どこで?
竹はよく燃える。
素人が責任持って焼くのは怖い。
そこで止まっていた。
無煙炭化器を買う?いや〜高いわ〜!

ところが、またもや向かいのおじさんが「岩橋さんのところで竹を何度か焼いた」というのだ。
おじさんも美味しい筍を増やすためには、竹林がこのままではいけないと密かに思っていたらしく、こっそりと焼いてくれていたらしい。
そして、もし、焼くなら手伝うと言ってくれたのだ!!
ええ!うれしい!
何が必要ですか?ときくと、何もいらない、こっちに道具は全部あるから。
ほんまに?それなら!やります!!となった。

5月6日の夜から雨が降り出し、7日は1日大雨が降った。
8日はいろいろな仕事の段取りをして9日から三日間竹林作業に行けるようにした。
おじさんに電話をして、明日から竹を焼きたい旨を告げると、わかった、用意する。とのこと。
朝10時くらいに行こうかと思いますというと
10時?!
あ、早すぎますか、もう少し遅らせましょうかと慌てていうと、
遅すぎる!
とのこと。
あ、そうでしたか。では9時に行きます。と電話を切った。

そして9日。
いよいよだ。
9時に勢いよく行くと、はたしてもう竹焼きは始まっていた。
ありゃ、そうなの?

おじさんはチェーンソーを持ってどんどん切っていく。
よく見ると節も切ってくれている。
ここ切っとかな、ボンっていうやろ?
膝が悪くてびっこをひいているのに、結構な本数が溜まっている。
積み上がっている竹を見て、おそるおそる、あのー、何時からやってたんですか?
と聞くと
朝5時半から
と返ってきた。
とほほほ。すみません。


ちょうど水が流れていくような谷になっているところで燃やしている。
すでに火は炭のような状態。
そりゃー、5時半から3時間もやってたならそうだろう。申し訳ない。

おじさんはお前が来たなら交代して帰るという。

今日焚べるのは13時まで。それから15時に帰るまではくべずに様子を見ること。
周りの葉っぱを掻いておくこと。
夕方にはまたみに来るから。明日は朝は来れないから一人でなんとかしろ。夕方には見にきてやる。



と言われた。
わかりました!がんばります!
と見送った。
ほんとうに頭が下がる。
明日、ビールを持って行こう。

さて、今日はほそばたさんが午前中来てくれるということ

とにかく燃やしたらいいと言われたが
ちょっと怖い。
燃え移ったらと思って周りの笹の葉をとにかく神経質に掻いておく。

帰る前におじさんが、そんなに丁寧にしないでいい、
大きいのをどんどん燃やしたらいい
と言われるがやっぱり怖い。
少しずつ竹を入れて様子を見ることにする。

ほそばたさんが来てくれた。
ほそばたさんも周りの笹の葉に燃え移らないように丁寧に掻いてくれる。
軍手を忘れたということで、素手でいろんなことをしてくれている。
考えてみたら彼女はその竹林に手を入れ出した時からなんだかんだと来てくれている。
ありがたいなあ。

火を見るとずーと見ていられるが今日から3日間燃やし続けるので
燃やす竹の準備をする。
具体的には、竹を識別しておくことだ。

まずは古い竹
板のように割れた状態になっている竹
竹の形状を保っているが虫に食われたりちょっと割れたりしているもの
竹の形状をそのまま保っているもの。
最後のこれに関しては、おじさんにチェーンソーで節を切ってもらわねばならない。


おじさんが丁寧に節を切ってくれている


古くなった竹をバキバキに折ってすぐ燃やせるようにしておく。
バキバキに折れる竹は、バットのスイングして他の竹に叩きつける。
バキッと折れるのが気持ちいい。

ほそばたさん ありがとう。

ほそばたさんが午前中で帰り、あとは一人で積んでいた竹を選別する、周りの枝を切る、という作業をひたすらする。

気がついたらあっという間に15時が過ぎていた。
おじさんが来る。
全然燃やしてないじゃないか!と言われ、
怖くてガンガンに燃やせませんでしたと言った。


怖くてあまり燃やせない


帰り道、奥さんはパッチワークが趣味だということで家へ見に来るかと誘われる。
初めてお家に伺う。きれいにしているお家。
奥さんのパッチワークの作品も素敵だ。
じいちゃんの時代からのおつきあい。
おじさんの口癖は、
村でテレビはあんたのところしかなくて、よく「ポパイ」を見に行った。
村の子どもがみんな見に行って、その時におおおばあさんがお茶を出してくれた。
という話。
何度も何度も伺う。
すごく記憶に残っているんだろうな。

帰り、火を見てアドレナリンが出たせいか、駐車場にしているところの草も刈る。
17時の村の放送と共に右腕が重だるくなって終了。


天気がよくて気持ちいい


その日も気絶するように寝た。