2022年2月8日(火) Hakuju サロン・コンサート vol.11近藤嘉宏&外山啓介
ここ5年以上、毎年12月にベートーヴェンの第九(リスト編曲・2台ピアノ版)の演奏会をハクジュホールで行っています。
1、それでイメージが湧いていた
2、ピアニスト同士が意外と一緒に時間を過ごす事がなく、有名人同士でも親交がないことが多いので、ハクジュから縁を広げたいという思いがある
3、私はオーケストラが好きなので、ハクジュホールに形を変えてオーケストラサウンドを持ってくる、「ハクジュホールにオーケストラがやって来た!」というテーマが私の中に常にある
という理由からハクジュの2台ピアノでの公演が出来ないかという構想がある中で、今回の主役の1人である近藤嘉宏さんにどんな曲がよいか、どんな方と共演したいかという相談をしていました。
そんな折に制作責任者から外山啓介さんのお名前があがり、スタッフの提案は積極的に受けたいと思いご相談したところ、お互い大喜びでお引き受けいただきました。
ご出演者の1人を支配人、1人を制作責任者が提案し、さらにテレビ収録まで入るという最高の決まり方と結果になりました。そして事前取材も多かったです。
近藤さんも外山さんも有名ですのでお互いの事はご存知でしたが、実はお二人は面識がなく、今回初対面というのが驚き!ピアニスト同士はこういう企画がないと、或いは地方の音楽祭やピアノコンクール審査などがないと縁が本当に出来ないんですね。
曲決めでお集まり頂いた時に、近藤さんからブラームス自身の編曲による「交響曲 第4番」の2台ピアノ版があるというお話であっさり決まり、そしてドビュッシー「月の光」の2台ピアノ版があるという話であっさり決まり、さらにラフマニノフ「タランテラ」もあっさり決まり。
すべてが物凄くスムーズに決まりました。
後はそれぞれがソロの曲を1、2曲程度持ち込みましょうという話をしたところ、外山さんがリスト、近藤さんがラヴェルとショパンを持って来られて、美しいばかりのピアノコンサートになりました。
ピアニストブラームスによる交響曲の前にソロと2台ピアノでドビュッシー、リスト、ラヴェル、ショパン、ラフマニノフ。
ザ・ピアノコンサートという設えになりました。
「Hakuju サロン・コンサート」シリーズはアーティストがお客様を自宅にお招きするというコンセプトのため、トークも行いました。
初共演のお二人でしたが、演奏だけでなくトークも息ピッタリでした。
集中力の高い名曲演奏、「月の光」も美しく、前半最後のラフマニノフに向かいスピード、勢いがどんどん上がって行きました。
ブラームス「交響曲 第4番」のブラームス自身の編曲による2台ピアノ版は演奏機会がすごく少ないようです。
“編曲というよりブラームスがピアノ用に作り直したような”
という近藤さんの表現がありましたが、正にという感じで、交響曲の場合は管楽器や弦楽器など、音色(ねいろ)の違う楽器が違う音色(おんしょく)を出して行きますが、今回は主旋律・対旋律全てがピアノの音。
ロマン派ですが、構造音楽のブラームスの主旋律と対旋律が同じピアノの音色で溶け合いながらメロディーが聴こえてくるという不思議な体験が出来ました。
ブラームスはベートーヴェンと同じように音数の多いところがあり得ないほど多く、超絶技巧だったと思います。
2楽章のフリギア旋法のところや、4楽章のテンポが遅いところ、つまり音数の少ないところは管楽器や弦楽器だと音が減衰せずロングトーン出来ますが、それが出来ないピアノで、音が減衰してしまうのを待てずに次の音に行かないよう耐えながら弾く集中力が半端ではなかったです。
アンコールは1台のピアノでの連弾でブラームス「ハンガリー舞曲」。
低音を外山さんが支えて高音を近藤さんが踊るような感じでした。
王子のようなお二方の演奏は、本当にお客様の満足度が高く、
カーテンコールも多かったです。
主催公演の企画者冥利に尽きるコンサートでした。