ユーザーと”一緒につくる”サービスを目指して。
こんにちは、クラウドワークスのデザイナーのハラです。
10月に1週間、新潟県佐渡市(佐渡島)でワーケーションしてきました!
急に何の話?という感じですが、現在クラウドワークスでは新規事業として、多拠点生活で暮らしをシェアするコリビング(Co-living)サービス「circle(サークル)」を立ち上げ中です。私はこの事業で主にクリエイティブ面を担当しています。
今回、サービス本格ローンチ前のPMF(プロダクトマーケットフィット)検証として、10月14日〜11月4日の3週間、佐渡に滞在しながらワーケーションができる先行イベントを実施しました。
3週間滞在プランと1週間滞在プランで販売し、実際にユーザーに多拠点生活を想定してもらいつつ、島でのワーケーション滞在を体験してもらいました。
私は実際に1週間滞在プランを購入し、一(いち)ユーザー、兼運営として参加しました。
なぜ佐渡なのか?
以前メルマガで先行会員を募集したところ、佐渡在住で「相川」という地域のまちづくりをしている方から「何か一緒にできないか」とcircleの運営に連絡をもらいました。
そこで関係人口の創出の一環として、まちづくりのイベントを織り交ぜながら、佐渡相川で企画を組むことになりました。
佐渡に行く前に
佐渡で企画を実施する前に、社内メンバーでUX設計書を作りました。狙いとしては、UX設計書とカスタマージャーニーマップを事前に作成しておき、佐渡の企画後にブラッシュアップするためです。
UX設計書を作成するにあたって、ROLLCAKE株式会社 CXO伊野さんの記事を参考にしました。
体験を設計する際に重要にした点は、この記事に書かれている「ゴールダイレクテッドデザインで考える」ことでした。
正直、今まで関わってきた既存事業では「課題ダイレクテッドデザイン」でサービス改善をやっていました。既存事業はすでにプロダクトがあって、日々の運用などで課題が目につきやすい状況にあります。
その点、新規事業はプロダクト自体がまだ存在していない状態なので「ゴールダイレクテッドデザイン」で考えやすい状況ではありました。
ゴールダイレクテッドデザインでは、ユーザーが到達したい理想の状態を考えます。ユーザーがこのサービスを使って、どういった状態になっていれば幸せなのか、理想なのかを社内メンバーでワークショップをしながら考えました。
UX設計書をつくる前は、ユーザーのゴールは例えば「多拠点生活ができる」みたいなものになるかな、とぼんやり考えていました。
しかし、実際にワークショップをして言語化されたユーザーのゴールは、circleのビジョンに紐づいた独自性のあるものになりました。
circleは多拠点生活や他人と生活をシェアするサービスですが、根本的なビジョンとしては「一人一人が自身の軸を見出すためのサードコミュニティを作っていく」ことにサービスの価値をおいています。
事業のアイディエーションの時点で、このビジョンがすでに確立されていたため、ユーザーのゴールが自然と紐づいたとも言えます。
さらにUX設計書をもとに、カスタマージャーニーマップも作成しました。
また、社内メンバーとワークショップをする中で、「サービスを提供するのではなくユーザーと一緒につくるようなサービスにしたい」という話が出ました。
私は事業会社のデザイナーとして働いてきて、ユーザーが求める機能・サービスを作り、「提供する」ことが当たり前だと思っていたので、「ユーザーと一緒につくる」とは、どういう設計なのか、この時点では想像がつきませんでした。
今までユーザーインタビューという手法以外で、ユーザーと関わったことはありませんでしたが、まずは自分も「ユーザーと同じ体験をする」ことが手がかりになるではないかと思いました。
いざ佐渡へ
1週間滞在プランを購入し、契約の説明を受け、社内の調整を行い、当日新幹線と船を乗り継いで佐渡に行きました。
着いた時点で「お金を払って都内から佐渡までの長い道のりを来た」というのがあって、「絶対にこの1週間を満喫してやる」という感情が生まれました。(すでにカスタマージャーニマップのブラッシュアップができそうな予感)
事件は現場で起こっている
着いて早々、さまざまな思いがけない体験をしました。大きな荷物を持って移動していると、観光客だと一目でわかるからか、地元の方が話しかけてくれて、色々親切にしてくれました。
例えば、港から滞在拠点のある相川に向かうために路線バスに乗った時(私を含め乗客3名)、突然「左手にトキがいますよ」と車内アナウンスが。乗り出してみてみると、なんと外に天然記念物のトキが!
「右にもいます、あ、左の前方にも飛んでる」とバスの運転手さんがトキの位置をどんどん教えてくれて、私が写真を撮る間にスピードダウンしてくれるサービスも笑
到着して早々、トキの撮影することに成功しました。
こういった思いがけないGOOD体験もあれば、思いがけないBAD体験ももちろんありました。
今回、ユーザーの滞在拠点として3ヶ所のゲストハウス、民家を借りており、すべて徒歩圏内だと聞いていました。拠点ごとに設備などが異なるため、行く前は拠点を行き来しようと思っていました。
がしかし、Google map上で見ると近いのですが、実際に行ったら1拠点だけ山の上にあり、行くまでに急階段を登らなくてはいけませんでした。夜は街灯がほぼなく、車がないと頻繁な行き来は難しいと気づきました。
こういった面は行ってみないとわからないことでした。
ユーザーと同じ時間を共有する
参加したユーザーさんと色々お話しをしましたが、ユーザーインタビューと違って何か意図があって質問するわけでもなく、本当にただの日常会話をしました。
朝、一緒にコーヒを飲みながら「昨日は眠れました?」「今日は何するんですか?」のようなおしゃべりをしたり。たまたま出掛けた先で会って「どこそこが良かったですよ」と立ち話をしたり。お酒を飲みながら仕事やプライベートな話を聞いたり話したり。
それがサービスの売上や改善に直接つながるのかと言ったら、別にそういうわけではないんですが、「同じ空間・時間を過ごし、何を思っているのかを共有する」ことは、ここにいなければ知り得ない体験であり、サービスが設計したいものでもありました。
ユーザーと一緒につくるサービス
当たり前ですが、私たちが「ユーザー」と呼ぶ人たちにはそれぞれの人生があり、それぞれに目指すライフスタイルや目標があります。
サービスをつくる私たちは、「ユーザー」がそれぞれの人生のストーリーを持っていることを忘れてはいけないし、今回ユーザーさんと同じ時間を共有することで、そのことをより身近に実感できました。
また、企画終了後に参加いただいたユーザーさんにアンケートを取り、さらには数人のユーザーさんにユーザーインタビューをさせてもらいました。
その中で感じたことは、サービスや滞在した拠点や相川の地域に対して「良くしたい」「今後も関わっていたい」というユーザーさんの思いです。
3週間という短い間で、ユーザー一人ひとりと持続的な関係を築くことができたのではないかと感じました。
まだまだもっと良好な関係性を築くことはできるし、今回の佐渡の企画を通して、改善の余地はたくさんありました。今後もユーザーと関係性を築く努力を怠らず、「ユーザーと一緒につくる」サービスを模索していきたいと思います。