「戸田塩」から読み解く歴史と現在。
西伊豆戸田。ここには「戸田塩」という有名なお塩があります。
甘く、コクがあり、単体でも味わいたくなるような美味しさ。今では多くの人が戸田を訪れた際、お土産として持ち帰っています。
地元の熱き女性たちの想いから0→1で立ち上げた「戸田塩の会」
この「戸田塩」、実は地元の女性たちが立ち上げた「戸田塩の会」によって作られている。古くは港町としてはもちろん、観光の街としても栄えていた戸田。しかし、都市化による人口減少、近隣の開発などの影響をうけ、街の産業衰退が進み、地域の活気が失われていきた。それを受け、平成7年、地元で主婦をしていた方が「何とかしたい!」と動き出し、街の未来を築く、人間にとって必要なものを作りたいと考え出した。
戸田の歴史を紐解くと、約1500年前に戸田で作られた塩が安康天皇の病気を治療するために献上されていた事実があり、「塩作り」が新しい街の産業になるのでないかと、地元の有志メンバーで動き出したのがすべてのはじまり!
平成13年にはNPO法人化され、今も地元の女性たちにより熱い夏も寒い冬も休まず、手作りをされている。
今では「戸田塩」の愛称で親しまれ、多くの飲食店でも取り扱われている。
伝統製法によって作られる「戸田塩」、まろやかな味の秘密はクラシック?!
「戸田塩」の製造には伝統製法が使われている。
海水は戸田塩の会のメンバーが戸田港沖合1km、駿河湾黒潮本流水深20mから海水を汲み上げてくる。そして、御浜海岸近くにある小屋、そこにある大きな釜を使用し、13時間炊き続け、底にたまった塩を網で何度も繰り返しすくいあげ、水を切る製塩工程を採用している。
そして、この後の工程が一味違って面白い。
塩の苦味を取るため、一ヶ月寝かせる工程があるのだが、なんと塩にクラシックミュージックを聴かせているそう。選曲はヴィヴァルディ。ヴァイオリン協奏曲集「四季」は、日本でもよく知られた名曲だ。
塩も生き物、穏やかな音楽を聞かせることによってまろやかで、優しい味わいを生み出すらしく、「戸田塩」独自の味わいを生み出すためとして欠かせない工程となっている。
「戸田塩」は、その美味しさだけでなく、地元の女性たちの情熱と努力が詰まった産物。伝統製法にこだわり、クラシックミュージックまでが結びつくその製造プロセスは、まさに「戸田塩」のアイディンティティを生み出す重要な一翼を担っている。これからも多くの人に愛され、戸田の誇りとして広く知られ続けることだと感じる。
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