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小泉淳作著/随想
絵が描けるという能力だけで、これらの傑作が生まれるわけがない。
画家の残した文章を読むのが好きだ。とくに社会の経済活動のなかに組み込まれることを拒もうとする反骨精神から出た画家の言葉は、心を揺さぶる。友人から教わった本書もまた、内側を揺さぶった。
才能がある、運がよい、売れる仕組みをつくる…など、成功するために思いつくようなことは、真の画家にとってどうでも良いのだ。ただただ遠い憧れとの融合にむかっているだけなのである。
もちろん、画家でなくても(人生を通じて…)表現する者にとって深い根っこの部分では、一緒ではないだろうか。
読書とは、現代に流さてしまった自分に容赦なく喝を入れてくれる大事な友である。
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