「M愛すべき人がいて」に見るドラマというエンタメ
今最も注目を集め、多方面で話題のドラマといえば『M愛すべき人がいて』に尽きるだろう。コロナの影響で軒並み新作ドラマが撮影中止になり、放送見合わせが続く中、なんとか3話まで放送したドラマなので、まぁ注目するとは思うが、それ以上にこのドラマはかつてのテレビ黄金期にあった、テレビの中は夢の国感がワクワクさせてくれているのではなかろうか。
昨今のドラマと言えば、リアリティを追求するあまり、現実との境界線が薄れ、ともすれば、ドラマなのに、演出なのにやりすぎだ、かわいそうなんてトンチンカンなイチャモンが付く。リアルを追求し過ぎた弊害と言えるだろう。
半沢直樹なども、誇張した演出で現実世界との差別化を図っているから、あの土下座が効いてくるんだろう。大河ドラマの「麒麟が来る」に付いたイチャモンは『そんな座り方しない』というものだったが、これもリアルを追求する余り、当時の文献をあたり、膝を立てた座り方をしていたので、そうしたら逆にイチャモンが付いてしまった。
ドラマはファンタジーなんで、リアルを追求しなくても、いわゆるパブリックイメージ、ともすればステレオタイプなものの捉え方で書かれていてもいいんだが、そうなると、やれ職業差別だなんだと騒ぎ出す。ドラマに何を見ようとしているのか。
そんな中登場した『M愛すべき人がいて』のこの演出。誰の目から見ても演出だと分かるやりすぎ感。これですよ、ここまできたら笑うしか無い、そこまでしなきゃドラマと現実を見分けられないんだから、まぁそれでこんなに面白いドラマができたということなら嬉しい限り。
エンターテイメントは、時代と寄り添いながらこうして時折突然変異の様なバカげたものが登場する。すると他でも似たようなのが氾濫し、そしてまたと繰り返す。このドラマもその昔、スチュワーデス物語(今ならCA物語?)や、ヤヌスの鏡、噂のトミーとマツなどの大映テレビのドラマっぽいオーバーな、ザコシ風に言えば誇張し過ぎた演出の令和版なのではなかろうか。つまり、2016年に世間に広めたハリウッド・ザコシショウの『誇張し過ぎた』が、2020年にドラマにまで波及し、この後はおそらく音楽業界、映画界、ゲーム業界とあらゆるエンターテイメントが誇張し過ぎた時代に突入するであろう。
そうそう、ゲームで言えば今ボクが猛烈にハマってるMORTL KOMBAT11これもまた、誇張し過ぎたトドメ、FATALITYがたまらなく面白いので是非プレイ動画を見てほしい。