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Vol.31 原田隆史の人生クレド⑨「人を育てる三性発揮」(2)(厳しさ、優しさ、楽しさ)(2009/6/23)
「原田隆史の人生クレド」と題して、私の「理念・ミッション」を短い言葉で端的に表している「クレド」を連続でご紹介しています。
ご自身の「クレド=信条」と比べてください。
第9回は、「人を育てる三性発揮」の続編です。今回は実践例から考えてみ
たいと思います。
【人を育てる三性発揮(2)(厳しさ、優しさ、楽しさ)】
人や組織を育てるには、指導者・リーダーが意識をして「組織のムード」を作ることが大切です。
そのキーワードとなるのが「厳しさ・優しさ・楽しさ」でした。
中学校の教師をしていたころ、私はこの3性の大切さに気付きました。
そして、陸上競技部指導や学校経営において実践しました。
たとえば、陸上部指導では、結果・成果を出させる厳しさ発揮が私の役目でした。しかし厳しさだけではムードはギスギスしてしまいます。
ある日私は、記録が伸び悩んでいる陸上部の選手が、次の試合に向けての悩みを保健室のK先生に相談していることを知りました。K先生がこっそり教えてくださったのです。
試合前に弱音を吐いて・・・一瞬はそう考えそうになりました。その反面、生徒の話を優しく聞いてくださった保健室のK先生に感謝の気持ちでいっぱいでした。
「優しく聞いてくださった・・・」
そこに気付きがありました。「そうか、優しさも必要なんや!」
その選手は、K先生にお話を聞いてもらい心の整理がついたようでした。今まで以上に練習に打ち込み、次の試合では素晴らしいベスト記録を更新しました。
この経験から私は、組織活動における「優しさ担当」を重要視するようになりました。私が一人で厳しさと優しさを発揮することもできるのですが、よく考えてみました。
私は学校での生徒指導主事(学校全体の生活指導の代表者)という立場もあり、やはり「厳しさ」の指導を得意とし、全体からも厳しい指導の実践が求められていました。
「得意なことなら頑張れる」、その原理原則に立ち返り、「誰が見ても『優しさ』がその人の長所となっている先生」に、クラブのサポートをお願いしました。
そのベテランの女性の先生には、普段はおとなしい生徒が楽しそうに話をしていました。また、1分でも早く学校を出て遊びにいきたがるやんちゃな生徒たちが、楽しそうに残って放課後に勉強を教えてもらっていました。
その先生には、包み込むような母性の優しさがありました。
クラブ活動のムードが一気に良くなりました。私と、そのベテラン先生とのコンビネーションはばっちりでした。私は得意の父性的厳しさ発揮で生徒を目標達成へと導き、ペアーの先生は、私の思いを理解したうえで優しく生徒を励ましてくださいました。
ある日、陸上部のOBがクラブに顔を出しました。
卒業後、高校でも陸上競技に励む彼は、中学生に交じり一緒に練習をこなし、技術指導や声掛けをしてくれました。その日の活動は、いつもにも増して質の高いものになりました。卒業生が参加することで中学生は張り切り、笑顔で、しかし真剣に練習に取り組んでいるのです。
「楽しそうやなあ・・・。楽しそう?そうか!楽しさや!」
こうして私は、「楽しさ」の大切さに気付きました。そして生徒のさらなる自主的な活動を啓発するために、陸上部のOB達に定期的な技術指導を依頼しました。
自分が中学生の活動を指導する意味と意義、自分の役割をよく理解しているOBに指導に入ってもらうことで、クラブ内にとても楽しいムードが流れるようになりました。厳しさ・優しさ・楽しさがそろいました。
こうして選手たちは、理想の雰囲気の中で、自分の最大パフォーマンスを発揮するようになったのです。
組織に3性をバランスよく配置しようと思ったら、自分がどのパートを担当するかを決め、残りのパートは職場の誰かに依頼します。
そうすることで、職場の人それぞれが持っている「強み」を発揮することにもなります。仕事のスキルだけでなく、性格や性質の強みにおいての「適材適所」を考えることが、職場の活性化にもつながるのです。
さて仮に、3性の役割分担を誰にも依頼できなかったら、どうしますか?
そうです。自分ひとりで3性を発揮するのです。優秀な指導者と呼ばれる人は、実にバランスよく、しかも一人でこの3性を発揮しています。
これが教師、指導者に求められる「厳しい、優しい、楽しい」の演技力とも言えます。
2回にわたって「3性発揮」についてお話させていただきました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
(感謝・原田 隆史)2009年6月23日発行