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Vol.200 2012年を振り返る(2012/12/6)
今日は、連載の「いじめと理想の学級づくり」から少し離れ、2012年の私たちの活動を振り返ってみたいと思う。
年頭にお伝えしている【原田教育研究所 アクションプラン】、2012年の私たちの行動計画・目的・目標は、以下の通りだった。
理想の職場づくりシステム【ICM, ECM】の加速的普及
アメリカ英語本出版を皮切りに、グローバル市場への参入
原田メソッドWebシステムのリリース、人々に自立の力を.
自立型人間育成教育【原田メソッド】認定パートナー養成塾、塾生300名達成
教師塾塾生、のべ2600人達成(大阪、東京、京都、高知、北海道)
生きる力と社会人基礎力を育成する「スポーツ事業」の確立。ランニング、バスケットボールで、自立した人と組織を育てる。
世界の教育現場を視察し、広く高い視野から教育活動に取り組む。
お陰さまで、上記のほとんどを達成することができた。お客様、関係者の皆様に感謝するのみである。
特に、2)の英語本出版では、途中に大震災を挟んだこともあり、実に完成まで2年間に及ぶ取り組みであっただけに喜びも一入である。お陰さまでアメリカではすでに世界に名だたる企業のマネージャーたちが、社員教育のために10冊、20冊と購入してくださっている。インドでの出版依頼も来ており、共著者であるNorman Bodek氏とは第2弾、第3弾のアイデアについても話し合っている。
4)の原田メソッド認定パートナー養成塾(原田メソッドを指導できる人材を育成するセミナー)については、目標を大きく超える410名卒塾を達成することができた。これは、弊社が主催する全5回のセミナーに加えて、原田メソッドを全社・支店・部署などで導入し、社内講師を育ててくださった企業が複数あったからである。取り組みには、クイックヒット(速効性のある学び)とスローヒット(時間をかけて成果を生み出す学び)がある。そのことをよく理解しておられる経営者の方々は、息長く継続し成果を出すために全社員が原田メソッドを実践し指導できるように、育成計画を立てておられる。
7)については、アメリカとヨーロッパを訪問し、多くの知識と示唆を得ることが出来た。アメリカはすごい、ヨーロッパが進んでる、ではない。私が掴んだのは、日本も本気で改革したらまだまだ行ける、という確固たる自信と勇気である。
もちろん、例えばアメリカで見た、児童・生徒が自身の課題をすべて自分で決定し、自分で成果を上げていく学習・PBLの取り組みには、目から鱗が落ちるほどの驚きと学びがあった。児童・生徒が主体的に学んでいたのだ。日本の公立学校とは比べ物にならないほど恵まれたICT環境と、それを実現している著名経済人や、経営者からの寄付文化。しかし、アメリカ全体の学力向上や大学受験といった点については、課題を抱えていることもまた事実であることがわかった。
日本には、学力向上のノウハウを持っている優秀プロ教師が数多く存在している。授業が面白い。児童・生徒が思わず身を乗り出して聞く。イキイキと活動している。また「学力の底上げ」という点においても、日本の教師は世界有数の力を持っている。更には、定期テストや実力テストなど、テスト作成において、「平均点50点のテスト」「平均点75点のテスト」などを作る力、つまり作問力は日本の教師が世界一である、という話を専門家から教えていただいた。
その一方で、人と違う意見を言う場面や、意見の相違を認め合う機会を作ることなどは、日本の教師は苦手であると言われている。コミュニケーション力や、社会人基礎力の「考える力=シンキング」を鍛えることにおいては、日本の教育現場はまだまだ「伸びしろ」を持っている。
つまり、日本に足らないものがアメリカにあり、アメリカが持っていないものが日本にはある。お互いの長所や強みを合わせた教育システムを構築できれば、日本の教育は、世界に誇るインパクトを持つことになる。日本の教育システムが再び世界のお手本となり、本当の意味で世界を牽引し平和へと導くグローバルリーダーが、日本から育つ。私は海外視察でその確信を得た。
震災から1年半が経った。大津のいじめ事件もまだ記憶に新しい。
政治も再び転換期を迎えている。教育の持つ本質的な力と抱える課題について、何度も考えさせられた一年であった。
2013年、私は教師になった30年前の「初心」を胸に刻み、あらゆるフィールドの教育活動に真摯に取り組む覚悟である。
早くも師走である。皆さんも是非、今年一年を振り返り、新しい一年に向けて、希望を持ってアクションプランを描いていただきたい。
私たちの2013年アクションプランは、新年号でまたお伝えしたいと思う。
最後になりましが、本メールマガジンは200号を達成することが出来ました。毎週、熱心にお読みくださる読者の皆様を始め、弊社をご愛顧くださるお客様、そして日々私たちを支えてくださる関係者の皆様のおかげです。
本当にありがとうございます。
4年間毎週書き下ろし、大変じゃないですか。と、よく声をかけていただきます。実は、皆さんにお伝えしたいことが本当にたくさんあり、書いても書いてもまだ足りない、というのが正直なところです(笑)
300号、400号、そして500号を目指し、筋の通った日本、自立した日本社会と、それを支える子どもと大人、全ての人の自立の為に、頑張っていきます。引き続きのご支援、どうぞよろしくお願い致します。感謝。
今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
(感謝・原田隆史)2012年12月6日発行
*発行当時の文章から一部を変更している場合があります。