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Vol.36 原田隆史の人生クレド⑫「感謝は先取りする」(2009/7/28)

「原田隆史の人生クレド」と題して、私の「理念・ミッション」を短い言葉で端的に表している「クレド」をご紹介しています。
   
今回は、「ありがとう」の気持ちについてお話させていただきます。

【感謝は先取りする】
何かをしてもらったら「ありがとう」と言いなさい。
小さいころに厳しく親に教えてもらったものです。
近所のおばちゃんがお菓子をくれました。嬉しくて手を伸ばすと、私の母親がすかさずに言います。「こんな時は、なんて言うの?」
私はなぜか少し恥ずかしいような気持ちになりながら、小さな声で「ありがとう」と言いました。
大きくなるにつれ、「ありがとう」は当たり前になっていきます。
今では、何かをしてもらった時には「ありがとう」という言葉が自然と出ますし、また期待していなくても誰かから「ありがとう」と言ってもらうと、爽快な気持ちになります。
それは、誰かの喜びに協力でき、その喜びを「おすそわけ」してもらえるからかも知れません。

私は中学校の教師だったころ、陸上競技で結果を出したい、生徒を何としても目標達成させたい、と常に考えていました。
当初、私は何でも一人でやろうと考えていました。強い責任感の現れ、というよりもむしろ、誰の助けも借りない、俺は一人でなんでもできる、そういった気持ちでした。
これは、「自分一人でやります」という上辺の謙虚さの裏にある、「誰の助けもいらない」という傲慢な気持ちの現れであったと、後々気付きました。

日常生活のほんの些細な瞬間にも、私たちは誰かの「おかげ」という感覚を持つことがあります。目標達成の過程においては尚更のことです。
何かをしてもらって、苦しい時に助けてもらって「ありがとう」というとき、「ああ、やっぱりこの人が助けてくれたか」と改めて思うことはありませんか。
意外な人が助けてくれた、ということはほとんどないはずです。人生とは、人と人との関わりの集大成にほかなりません。誰かに助けてもらったからこそ、目標は達成されるのです。

このことから、私は目標に向けて行動予定を考える時に、
「誰に助けてもらいたいか」
「その人に何をしてほしいか」

ということも一緒に考えるようになりました。
例えば、生徒に陸上競技で日本一を達成させたい。そのためには生徒の家族の力が必要だ。母親には、栄養バランスのとれたお弁当を作ってあげてほしい。学校にも協力してくれる人が必要だ。保健室の先生には、生徒の話をきいてあげてほしい。担任の先生には、進路の相談にのってあげてほしい。

このようにして、目標達成の過程で力をお借りすることになるであろう人々を予測し、「何かをしてもらうことを待つ」のではなく、「何かをしてもらう前にお願いをして先にお礼を言う」という取り組みをしました。
生徒はそれぞれの人のところに行き、自分の達成したい目標と、その理由(何のために)をスピーチします。そして、こういいます。
「この目標を達成するために、○○先生に助けて頂きたいことがあります。僕は、高校でも陸上競技を頑張りたいと考えています。わからないことがあった時には、アドバイスをよろしくお願いします。」

担任の先生が、「わかったよ。先生も力になるから頑張ってね。」と言ってくださると生徒は「ありがとうございます」と感謝を伝えます。
  
これが、「感謝は先取りする」ということです。
助けてもらえるのをじっと待つのではなく、未来を予測し、自ら動き力をもらいにいく積極的な姿勢が大切です。そして、未来を予測して自分の行動を決めるだけでなく、他者との関わりを意識し、感謝の気持ちを考えることで、社会性を育てることができます。

あなたの目標達成の道のりには、どのような人たちとの関わりがあるでしょうか。
あなたの成功のシナリオの脚本家はあなた自身です。
そのシナリオのキャスト=登場人物になってくださる人々に、シナリオの中での役割と重要性を伝え、より良い演技をしてもらうのです。
そして何より大切なことは、あなた自身も、いつでも誰かの成功のシナリオのキャストになって、誰かの成功ストーリーを完成させる素晴らしい演技を披露するという姿勢です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
                                                                                      (感謝・原田 隆史)2009年7月28日発行

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