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不妊治療について体験記〜子宮外妊娠で緊急手術〜

出産時期が近づいてきました。食べる量や間食が増えたりしたわけではないのですが、体質が変わったのか体重が妊娠前より16キロくらい増えてしまいました。最初のうちは急激な体重増加にどうしよう、どうしようと焦っていましたが妊娠後期に入ってからは体重の増加も無くなったので、体が「もう大丈夫だよー」とやっとOKサインを出したのではないかな?と思っています。

さて、今まで妊娠するまでの不妊治療について書きづつっていたわけですが、今回はその続きを書きたいと思います。

前回、採卵に挑んだけれども採卵できなかったというところまで書きましたが、その後もう一度採卵に臨むことになりました。クロミッドを飲むと精神がおかしくなって辛かったので、今回も刺激が少ない薬を飲んで、採卵に挑んだのですがその結果取れた卵子は一つ。運よく成熟卵だったので、その卵子を顕微授精をして一旦凍結させ、次の月に移植することになりました。顕微授精した月に移植するという方法もあるようなのですが、通っていたクリニックでは翌月まで一旦体を休ませた方が成功率がアップするとのことだったので、次の月まで薬を飲んで待つことになりました。

受精卵にはグレードというものがあり、今回のグレードは確か2だったのが途中で3になり、まぁ悪くはないけどとてもいい!というわけではないという感じに落ち着きました。その後、数週間後に妊娠しているかどうかの検査をクリニックでするまではひたすら小さな変化に敏感になりながら過ごしていました。あれ?ちょっと胸が張ってるかな、とかちょっと体が熱いかな?とか普段と違うことが少しでもあったら妊娠と結びつけて、期待を膨らませずにはいられなかったのです。もしダメならまた一からになる。グレードも普通ということで自信があるわけではなかったのですが、子宮に何かトラブルがあるわけではなかったので、通常のデータよりも成功率が高いのでは?といろんな記事やブログを読み漁りながら心のどこかで前向きに考えている自分がいました。

そして迎えた検査当日。先生の口から出た言葉は「着床はしたっぽいですが……数値を見る限る途中で流れちゃったようですね。残念でしたね」というものでした。ほのかな期待はただの期待として散り、妊娠は勘違いで陰性のようでした。成功してるかも?自分は大丈夫かも?と密かな自信はあっけなく砕け、また一からとなってしまったのです。やるせない気持ちを抱えながらも、自分の深い感情と向き合う隙を作らないように、自分で自分を哀れんでしまえば底なしの虚無感に飲まれてしまいそうだったので、その日のうちに夫と今後どうするかについて話し合いました。

そこで、もっと成功率が高い病院に転院しようという結論に行きつき、翌週新しい病院に転院しました。新しい病院は今までかかっていた病院と違い先生が親身になってカウンセリングをしてくださり「今まで行ってた病院の治療法は古いですね。受精卵を移植した後は膣剤を使った方が成功率が上がるし、血中のビタミンDが低いと妊娠しにくいので、ビタミンDサプリを飲むようにしてください」とにこやかに語ってくださり、この先生となら頑張れそうだなと少し気持ちに余裕が持てました。

先生が丁寧にカウンセリングしてくれたところで成功率に違いが出るわけではないので、カウンセリングは重要ではない。と物分かりのいい自分でいようと前の病院の淡々とした対応を受け止めていましたが、「本当は辛い」という気持ちに歩み寄ってもらえるとこんなに楽になるんだ、と思ったのを覚えています。

ただこの病院の方針は、前回の病院よりもスパルタで、自己注射+投薬をして採卵できる卵子の数を増やすという方針を提案されました。今月からやりますか?と聞かれましたが、やっと「辛いな」という気持ちと向き合えたこともあったので一ヶ月間休んでから行うことにしました。しかし、ここで思わぬ出来事が起こります。

ある日の夕方「ピチョン!!」とお腹の中で何かが跳ねたような感覚が走りました。その後、脂汗をかくような痛みが走り、急激にお腹が張ってきたのです。突然のことだったのですが、私は寝不足だったり疲れた時に腸の動きが鈍くなってお腹が見た目にもわかるほど張ることがあるので、また腸の調子が鈍くなっているのかな?と思い大腸の動きを整える薬を飲んで休むことにしました。

しかし、お腹の痛みはどんどんひどくなっていきます。一旦寝てしまえば大丈夫かもと思い、眠りについたのですが2,3時間仮眠をとり、起きた時にはさらに痛みも腫れも強くなっていて立ち上がれなくなってしまいました。心配した猫たちがすり寄って来てくれましたが、撫でる余裕もないほどの痛みが走ります。

とりあえず一旦トイレに行こう、トイレまで夫に掴まり連れて行ってもらったのですが、トイレに入った時に立っていられなるほどの激痛が走り、そのまま倒れこんで失禁してしまいました。

その時に「ああ、これはちょっとやばいかもしれない。明日まで耐えれないし今から歩いて病院にも行けない」と悟り、急いで救急車を呼んでもらうことにしました。救急車はすぐに来てくれたのですが、この時は1回目の緊急事態宣言が発令されていてすぐに受け入れてくれる病院が見つかりませんでした。さらに、やっと受け入れてくれる病院が見つかり検査をした結果……想像もしていない事態が起こっていました。

なんと不妊治療のクリニックでは「妊娠していません」と言われていたのですが、実は妊娠していることが発覚したのです。しかも、子宮内ではなく子宮外妊娠で、成長途中で破裂したことが原因でお腹に400mlほど鮮血が溜まっており緊急手術しないといけないという事態に陥っていたのです。もう少し痛みを我慢していたり、病院に行くのが遅れていたら大量出血によるショック症状が出ていたかもしれなかったようで、今回は運よく助かりましたがニュースで聞く医療崩壊という言葉が他人事ではない範囲で起こっていたようです。

妊娠していないと思っていたのに、妊娠していることがわかっただけでも放心状態だったのですが、医師によると「子宮外妊娠の場合、卵管切開や切除をしないといけないケースが8割」とのこと。つまり、今後は左右どちらかの卵管しか使えなくなり、不妊治療するにしても片側の卵巣だけになってしまう確率が高いということ。

今までの採卵や不妊治療の失敗に続き、こんな不運にまた見舞われ「もう勘弁してほしい……」という脱力感でいっぱいでした。夫も似たような気持ちだったの泣きながら付き添ってくれました。そりゃそうだと思います。子供が欲しいという普通の欲を持ったことが、こんな大変な事態に繋がったわけですから持たなくていい罪悪感にも見舞われていたと思います。そんな混濁した思いと向き合う暇もなく、混沌とした意識のまま手術室に運ばれることになりました。続きはまた次回書こうと思います。


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