「Sixteen」という曲を作る。
私は、15歳最後の日に「Fifteen」という曲を作った。
シンガーソングライターとして、いざこれから頑張っていくぞという時慣れない曲作りをしながら、あまりの自分のセンスの無さに絶望した。
というか、自分に期待しすぎていた事を知った。
歌詞、うすっぺら。
かと言って難しいことが言いたいわけじゃない。
素直を言葉にすることはとても難しかった。
飾らない自分をさらけ出すことはとても恥ずかしかった。
私が15歳という年齢で1人で歌を歌うということ。
そこにきっと責任を持たなくてはいけないと感じていた。
16歳になる前日。6/23。
今までの葛藤は果たして何だったのだろうというくらいスラスラと曲がでてきた。
慌ててメモをとる。ボイスレコーダーをまわす。
いつか大人になるんだろうか。
いつかはどこなんだろうか。
教室の自分の机でただ進路と向き合っている自分に嫌気がさす。ステージに立ちたい。歌いたい。何故こんな狭い学校という場所で自分の将来を選択肢のような形で選んでいるんだろう。
いつか大人になるのかな
いつかってどこなんだろう
今はただ机に向き合い将来と
にらめっこするだけ
いつか笑わせてみたいよ私の明日に
これから新たな道を進んで行く。
きっと、アイドルだった頃に戻りたくなる時が来る。
それでも胸を張って、私には今を生きて欲しい。そんな事をふと思った。
もし、躓いてこの道を選択した事は間違いだったと思ったとしてもこの曲というものがある以上、私の過去は無駄じゃないよと自分を常に、肯定してあげられるお守りのような物の気がした。
駆け出して歌って
少し疲れた時には
また君に会いたくなるんだろう
さよなら15の私
メロディも、歌詞と同時に、まるでどこかで聴いたことのある曲だったかのようにスラスラでてきた。
そして、はじめて自分の曲に「好きだ」と思えた。それが一番うれしかった。
翌年。いよいよ17歳が来てしまう。
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい
無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理。
普通に無理。前作を超すって怖。
どうしても、「Fifteen」を超さなければならないのだと考えていた。
何個か作ってもなかなかピンとくるものがうまれない。
そんな自分にイライラしてくる。
自分の才能とは?他の人と違う所は?
身の回りでもいろいろなことがあった。
飼っていた愛犬が亡くなった。
後悔からまた1つ自分のことが嫌いになった。
(まだ生きていた最後の夜、私はソファで寝てしまっていた。目を覚まし眠かった為、愛犬の横を通ったが頭も撫でずにリビングルームから自室へと移動した。朝起きた頃には愛犬は冷たくなっていた。何故あの時ちょっとでも頭を撫でてやらなかったのかとずっと後悔している。)
その他でも大切な人との別れ、無謀な夢は諦めたこと、心が暗くなってしまって学校に行けない日が続いたこと、常に誰かに抜かされることが怖いこと
1番は、あの頃の自分に今の自分が追い抜かされているような、そんな事が怖くて仕方無いこと。
よく知らない人に、「そんなのあなたらしくないよ(笑)」と言われ、私のらしさなんて知らない癖にと悔しくなった。
自分は自分が思っている以上に子供のようだ。
その区別が大人と子供の狭間にいる時期、分からなくなってしまう。
「背伸びしているよね(笑)」とまた笑われる。
そんなことを言うのならば、今の私には一体どんな靴が似合うのか、教えて欲しい。
制服を着ている自分にしか価値がないんじゃないかと思った。
低気圧の気分の変動の影響で色んな人を傷つけた。
シャッフルで流していた自分のプレイリストから急にあの頃の自分たちの歌が流れ始めて駅のトイレに籠って泣いた。
色んなことを考えては枕を濡らした。
とにかくそんな1年だった。
もうとっくに、自分の味方から自分は居なくなっていた。
イライラが最高潮に昇った時、「Fifteen」に登場する「いつもの坂道」を散歩していた。
そうした時、また行き詰まっていた事が嘘のようにスラスラと曲と歌詞がうまれた。
待ち合わせた時間流れるミュージック
らしくなんて分からない
君に抜かされるのが怖くって
今日も目一杯背伸びをしてみるよ
ただ1つ歳を重ねる度何故か怖くなるの
愛犬のもこもことした毛は無くなって、遺骨を納骨する際、ちいさなちいさな喉仏が綺麗にしっかりと残っていた。
「御家族の皆さんに、ありがとうと伝えたいんでしょうね。」
と言われて、あの時の後悔も救われたような気がした。
大切な君も居なくなった
さようならなんて言えなかった
それでもいつも通り地球は廻る
涙はそっと気圧のせいにして
変われずにいること
代わりなんていない
この歌は私の歌だけど、私だけのものじゃない。
私を飛び越えてあなたに届けばいいななんて思う。
だから、本当はもっともっと歌詞の意味を説明したいけれど全て説明し終わったらこれは完璧私の歌になってしまいそうなのでやめておく。
17歳。
はじめからずっとメモ帳に感じた事をまとめている。
そんなメモを見て思う。
音楽は君にとってのなんだ?
これが私の「Seventeen」のもくじとなるんだろう。
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