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アウトサイドであり続けることを意識する。

アウトサイダー‐アート(outsider art)

主流から外れた芸術活動の総称美術に関する教育を受けていない独学者や知的障害者などが、既成概念にとらわれず自由に表現するものをいう。デュビュッフェの提唱したアールブリュットに代表される。

https://kotobank.jp/word/%E3%81%82%E3%81%86%E3%81%A8%E3%81%95%E3%81%84%E3%81%A0%E3%83%BC%E3%81%82%E3%83%BC%E3%81%A8-1498196


アウトサイダーアートとは簡単に言えば「美術教育を受けていない者」です。なので僕もアウトサイダーアートと呼ばれる事もあります。その他、精神的、社会的に周縁にいる人々の表現なども含まれることもあります。


現代アート作家とか、なんかよくわからない言葉も沢山あり、特に日本では美術教育で専門的な教育を受けていない人をアウトサイダーと呼ぶことはあまりないと思います。僕も自分自身でアウトサイダーアートと語ることはありません。


アウトサイダーは字の通り"outside/外側"です。つまり"inside/内側"が既存の美術館やアートフェア、アートマーケット、美術教育機関を指します。


近年インサイドとアウトサイドという境界自体がとても揺らいでいるように思います。そして僕が運営しているギャラリーはアウトサイドであることを自覚しながら運営を続けています。


勿論ギャラリーで紹介する全ての作家がアウトサイドという訳ではありませんが、僕が運営するギャラリーは片足はインサイドに踏み込んでいても(既存のアートフェアなどに出展することはあっても)、もう片方は必ずアウトサイドに軸足を置かなければいけないという思いがあります。


何故かというとアウトサイドの視点を持ち続けることが美術の本質にとって重要だと思っているからです。


完全にインサイドに吸収されてしまうと既存の枠組みの中だけでしか評価されなくなり新しい視点や価値観が生まれにくくなると思っています。今の美術の枠組み全てがおかしいとは思いませんが僕個人としては常にアウトサイドの視点を持って独自の価値観を持つ作家を発信する場所であり続けたいと思っています。


「今の時代、美術教育の有無を含め、アーティストにレッテルを貼って区別することは、ますます意味がなくなってきています。長い間、私たちは本当の意味で作品の良し悪しを見極めるのを怠ってきました。全てはアート作品から始まります。そして、コレクターは先入観なしに収集すべきです」

https://artnewsjapan.com/article/22698

「アートを商品のように捉えないでください。投資信託ではありませんから。アウトサイダーアートのような作品は、市場に新風を吹き込んでくれるでしょう」

「アウトサイダーアートの特徴はその創造性にあります。かつ、非常にパーソナルなもので、市場で取引されることを想定して作られていません」

https://artnewsjapan.com/article/22698


上記はアウトサイダー・アート・フェアのCEOでアートディーラーのアンドリュー・エドリンという方のお話を一部引用させていただきました。


アウトサイダーアートと言っても様々なジャンル、環境の中で制作される作家がいますが、その純粋性が取り上げられることがよくあります。

そしてそれらはマーケットを意識した戦略がなされていないが故に、価格や価値が暴騰しすぎることもなく、よって投資や投機目的ではない、真のアートファンの元に届きやすいのだと思います。


近年日本ではアニメや漫画に影響を受けた二次元的なアート作品を「二次元派」と括りアートマーケットを賑わしましたが、美術的(インサイド)なアプローチをしている作家と、本来アウトサイドな表現も含めたそれらが完全に(一時的に)インサイドに吸収されてしまった結果、多くの作家達の作品がセカンダリーや転売目的に消費されてしまった事に対して危惧しています。(コロナ禍やSNSを中心に売買された特殊な時代背景もありますが)


僕のギャラリーでは10年ほど前からそうした表現の作品を多く取り扱ってきたこともあり、僕がよくコミティアを始めとするサブカルチャー的なマーケットについて話をしているのは、アートを軸足に置く必要がない作家は「もう一度アウトサイドに軸足を置き戻す必要がある」と思っているからです。

その一つがコミティアなどのサブカル的マーケットに出展することや、ファンとの直接的な交流を増やすこと、既存のアートファンではない人々をグッズ等で身近に感じてもらいやすくすることなどがとても大事だと思っています。


このような態度をもつことは全ての作家には当てはまりませんが、戦略立ててアートシーンやアートマーケットで評価を勝ち取りたいのでなければ、単純に「売れる、売れたい」という話をもう少し具体的にどのようなイメージを持って制作し、活動し続けていくべきか。

それは例えば自分の作品を作りつつイラストレーター的な側面を持つこと、ファンの方々とより身近に交流できる場所を持つこと(オンラインサロンやピクシブファンボックスなど)、僕のようにアートに携わる仕事でありながら少し視点をずらせる場所を作ることなど。


今選択肢は溢れるほどにあると思うので考えてみてください。


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原 康浩/画家・アトリエ三月主宰
大阪で絵画制作や美術活動をしつつ、ARTspace&BARアトリエ三月を運営しています。サポート頂いた分は活動費やスペース運営費として使用させて頂きます。全ての人がより良く生きていける為に 美術や表現活動を発信し続けます。