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残された僕たちが1日1日を噛み締めて生きること。


絵を描き続けることや作品を作ること、作品のクオリティが高いことは大前提だとして、その作品の背景、作家のバックホーンをどう伝えるのかが大事だと思っています。



今回開催中の志賀龍太は数ヶ月前にこれからの若手アーティストを紹介するBSフジで放送中の『 ブレイク前夜 ~次世代の芸術家たち~』に出演された際に面白いことを仰っていました。



夢のとりあいっこ



一見、絵本のようなシンプルな日常の些細な出来事が描かれていますが、描かれているのは自分自身と奥さんだそうです。


そんな些細な日常が淡々と描かれている訳ですが、動画内でも語られているように身近な友人の死を経験したことをきっかけに納棺師という職業についていた時期があったようです。


**納棺師**(のうかんし)は、亡くなった方の遺体を棺に納める際に、その準備や儀式を行う専門職です。納棺師は、故人に最後のお別れをするために、遺体の清拭(せいしき:身体を清めること)、着替え、化粧、さらには棺に納めるための一連の作業を行います。この過程は、家族や親しい人々が故人を偲びながら、尊厳を持って送り出すための大切な儀式とされています。

納棺師の仕事には、技術的な側面だけでなく、遺族の悲しみや感情に寄り添い、心を込めたケアを提供するという重要な役割も含まれています。特に、日本では古くから死に対する敬意が重要視されており、納棺師はそうした文化や信仰に基づいた重要な役割を担っています。

映画『おくりびと』(2008年)は、この職業を描いた作品として広く知られており、納棺師という仕事への理解を深めるきっかけとなりました。


そうした職業を経て、生きて過ごす1日1日の大切さを思い直して絵を描き始めたと言います。


僕も少し前に父親の死を目の当たりにしましたが、人が突然この世からいなくなる喪失感は多くの人が共感できることだろうと思います。人の死を目の当たりにしたからこそ、残された自分がこれからどう生きるのかを改めて考えるきっかけになるだろうと思います。


彼はものすごく多作なアーティストですが、そんな彼が経験した日常の些細な幸せや出来事が、作られた大量の作品の数だけあるって本当に素晴らしいことだなぁと思います。


でもきっとそれは僕や誰にでもある筈で、そんな些細な出来事を忘れないように作品にしているのかなと考えると、僕たちも同じように1日1日を噛み締めて生きていかないとな、と思います。


もちろんそれ以上に作品のコンセプトや構図についてのこだわりもあり作品が作品として成立している訳ですね。


アトリエ三月での個展は明日10/22までとなっておりますが、是非。


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原 康浩/画家・アトリエ三月主宰
大阪で絵画制作や美術活動をしつつ、ARTspace&BARアトリエ三月を運営しています。サポート頂いた分は活動費やスペース運営費として使用させて頂きます。全ての人がより良く生きていける為に 美術や表現活動を発信し続けます。