アート作品の保存について考える。
さてさて、上記のようなニュースが報道されまして、これはこれで大変残念なことではあるけれど、そもそも美術作品とはどうやって保存されるべきか、など当たり前なことではあるけれどおさらいしつつ考えてみようと思いました。
まずは個人的に美術作品を保存する場合と、公的な機関、行政や美術館などが保存する場合のざっくりと2通りあるとして、
あらゆる作品が歴史的に価値があるかどうかは今はまだわからないとしても、個人で作品を所有することはあって、多くの場合は部屋に飾るか押し入れにしまってある状態です。この量が異常になってくるとそうゆう人はアートコレクターと言われるようになり、自身で所蔵庫を持ったり、倉庫を借りたり、今ではそうしたコレクターの為のアートコレクションの所蔵庫をシェアできるサービスがあったりします。所蔵するにもコストがかかってきます。
その為に以下のようなサービスがあったりして、いやはや時代は進みますね。
大なり小なりアートコレクターは自分の生が終えるまで大事に保存する人もいればセカンダリーマーケットを使用して大きなリターンを得る場合もあります。
今回報道されていることについては大阪府という行政が所蔵していることなので、公的な機関、美術館が所蔵するべきことという事例になるでしょう。
ではそもそも、美術館が美術作品を所蔵することの役割は何かというと、これも大きく二つ、「保存」と「活用」となります。
「保存」は後生に長く作品を守り伝える為にやるべきことをやること
「活用」は広く一般社会に公開し、学習などに役立ててもらうことです。
この二つは実は互いに相反するものとなり、ただ単に作品が長く保存されることを良しとするならば、永遠に外気や紫外線に当たることなく永遠に所蔵庫の中に眠らせておけばいい訳で、
でも、それって意味あんの??ってなりますよね
作る側からしても管理する側からしても素晴らしい作品はその素晴らしさを後生に伝えることが極めて重要だと思っている訳です。
だからと言って永遠に展示室に飾っておけば良いという訳でもなく、国宝や重要文化財は一年に一目に出せる期間が決まっているそうです。
展示する為に、または保存する場合も同様で美術館は温度、湿度、照明などなどを常に一定に保たなければいけない訳です。ここにものすごいコストがかかったりします。
今回の例はそれは極めておざなりにした結果ということですね。
では現在の美術館の所蔵庫についてですが、令和元年の「日本の博物館総合調査報告書」によると日本国内の所蔵庫の割合について「9割以上(ほぼ満杯の状態)」「所蔵庫に入りきらない資料がある」この二つの合計が57.2%に及んでいる状態です。
日本の半分以上の美術館博物館の所蔵庫はすでに半分以上が満杯の状態です。今後、新しくコレクションを購入したり、寄贈や寄託さえも気軽には受けられない状態です。
こんな状態で今回僕が住む大阪府でこんなことが起きました。
1980年代からの経緯があって、それはニュースの方を見てもらいたいのですが、過去の美術作家が作った作品がバブル崩壊や財政難など、様々な要因が重なって翻弄されてきた経緯があります。作品には罪はありません。
上記の所蔵庫の例をとってもわかるように既存のシステムでは今後同じようなことが起こることは充分に予想されると思います。
ただ批判することは簡単ですが、今を生きる作家やギャラリーやアートシーンの人々がここから考えられることが何かあるんじゃないかな?と思う訳です。
まぁ、とはいえ僕もただの作家、小さなギャラリーオーナーレベルで今のところはわからないことだらけですが。
批判が多い割にもっとこうすべきみたいな具体案もないのが悲しいところです。
僕たちにとっては他人事ではないわけで、何か考えられるべきことがあるんじゃないかなーと思いつつ、引き続き考えていこうと思います。
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