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【厚利少売】1人のお客さんから5つの仕事が入った件
先日、何度も足を運んでもらっているお客さんから、オーダーメイドの依頼を5件もらいました。ちょうど今月、木下斉さんがVoicyで放送されている『厚利少売』にも親和性が高い内容だったので、そのことについて書こうと思います。
【厚利少売:こうり-しょうばい】
「少なくつくって高く売る」というスタイル。「薄利多売」とは対照的に、自分もお客さんも、社会も豊かになれる、商売の「基本」にして「奥義である」。 ⇔対義語 薄利多売 :はくり-たばい
菅原健一 著:厚利少売より抜粋
結論をサラッと伝えますと、
生まれ育った家には、沢山のストーリーがあり、それを商品化する
ぜひ、読み進めてみください☀️皆さんの仕事の、参考になれば幸いです☀️😊
⚪︎仕事が来た経緯
今回のお客さんは、元々は、定期出店しているマルシェに毎月来て買って行ってくれていた方でした。確か4回ほど来ていただいたので、4ヶ月間毎回来てくれて、流石に顔も名前も覚えて、親しく色々と話していました☀️
そんな中、マルシェでの立ち話の流れからお客さんから
「今度、実家を解体して新築に建て直すんです。。。でも、できれば生まれ育った家だし、何か形に残したい。。。」
という話になり、「そしたら、家の建具を使って額縁を作るのはどうでしょう?」と提案し、実際に作っているサンプル写真を見てもらいました。
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「これ作りたいです!」とその場でお客さんからオーダーをもらいまして、
後日、うちのお店に妹さんと一緒に来てくいただき、家で使っていた建具も一緒に持ってきてもらいました。
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マルシェで立ち話をしていた当初は、ハガキサイズの写真たてを1つ作成するという話だったのですが、お客さん自身が今年、小さなコーヒー焙煎所をオープンするということで、お店のメニュー表。そして、ご両親へのプレゼントとして、ご両親の当時の結婚式の写真を飾る写真立てもオーダーをいただきました。
▼以前、友人のカフェのメニュー表を作った話し▼
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そして、お店でゆっくり話をしながら、店内のものを色々と見てもらってるうちに、あと2つ追加でオーダーをいただきまして(本当に有り難い)。
以前、桐箪笥の余った材料を製材して作ったコーヒーカップ収納。
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このタイプの収納棚の背面に、今回持ち込んでもらった建具のガラスを入れ込んで、オリジナルのコーヒーカップ棚を作ることになりました。
そして、最後の一つが建具のガラスを使ったパーテーションです。古民家のカフェとかで時折見かけるやつです↓
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まとめると、下の5つですね。
①ハガキサイズの写真たて
②ご両親の結婚式の写真を飾る写真たて(プレゼント用)
③焙煎所のメニュー表
④コーヒーカップ収納棚(焙煎所用)
⑤パーテーション
いや、もう、、、本当に有り難いです✨
⚪︎オーダーメイドは基本断っている。
これだけ、オーダーメイドの依頼をもらっていてなんですが、実は表立って『オーダーメイド受け付けてます!』とはアナウンスしていません。何なら、一見さんからの依頼は全てお断りしています。お店に何回か来たことがある方だったり、友人だったり。信頼関係が既に構築されている人たちからしか受け付けていません。
「どうしても家との思い出を残したい」「家の整理をしていて、両親の結婚式の写真が出てきたから、せっかくなら何か形に残してあげたい。。。」と、お客さんの情熱に当てられました。「この人には全力で応えて、作ってあげたい」と思って、「それならこういうのはどうでしょう??」と、建具を使った写真たてを提案させてもらった感じです。
オーダーメイドとなると、当然単価は上がりますし、「この金額なら作りますけど大丈夫??」と事前に伝えてはいます。
⚪︎生まれ育った家には、既にストーリーが沢山詰まっている
今回のお客さんの場合、生まれ育った家に対しての想いが強いんだなぁと伝わってきました。
例えば今回の建具。生まれ育った家に、ずーーっと目に留まるところにあった。小さい頃、昼寝をしていて、ふと見たら、建具のガラスから日差しが差し込んでいたり。貼ってあった障子を、小さい頃に破いて両親に怒られたりw。
建具に限らず、柱や梁、壁。構造物じゃなくたって、ちゃぶ台や座卓、色んなもの、部屋に、場所に、本人たちにしかわからない、大事な思い出があるわけです。
これは実は、大きな価値なんだなと気付かされました。
今回の写真たてに限らず、現実問題、ホームセンターで売っているような新しい木材で作る方が、圧倒的に作るのは楽です。厚みも、幅も全て揃っているから製材する必要がない。
引き取ってきた古材や建具を分解、製材して作る写真立てには、新しい材には無い、深みというかオリジナリティがあります。引き取らせていただいた古民家はどんなところで、どんな家族が使われていたのか、どんな想いが込められているのか、店内にあるものは全て把握しています。
でも、これをさらに超えてくるのが「生まれ育った家のものを使う」ということ。
それは、ホームセンターに売られている新材でも出せないし、別の古民家から引き取ってきた古材にも出せない。依頼してくれたお客さんに「対してのみ」大きな価値になる。本当に気付かされました。
まとめ
古家具・古道具というのは性質上、どうしても「多売」が不可能なものになります。今この瞬間に、100年前の家具を生み出すことはできません。どうしても「100年の時間」が必要になります。
それでも古家具・古道具を扱ったお店は山梨県内でもどんどん増えていて、
「他のお店にはできない、自分にしかできないことは何なのか」
「自分の気質や性分を活かしたやり方は、何なのか」
を考える日々です。そんな中、今回のお客さんとの出来事は、一つの答えが出た気がします。