そうだったのか〜。上海焼きそばの意外なコツ。
食べたら当然おいしいけど、何となくあえて挑戦しないメニュー。
お店で自発的に注文することもないし、ましてや家庭でもめったに作らないのに、嫌いかと言われれば好きと答える。そんな天邪鬼な相手のひとつが自分にとっては上海焼きそばだ、という話を以前に書いた。いつのことだろうと調べて自分でも驚いたのだが、あれからもう3年近く経っていた。
月日の経つのは早いですね。とくに2019年からこっちは時間の流れが世界的にバグった気がする(それとも単に自分が歳をとっただけ?)。
で、上海焼きそばとはその後仲良くなれたかというと実は、相変わらず微妙な距離感を保っている。やっぱりグイグイ作る気にはなってない。
だってソース焼きそばが好きなんやもん。いざキッチンに向かうとソース焼きそばに気持ちが行っちゃうのよね。
しかし最近農家さんも困っているらしいけどチンゲン菜が安い。いきおい我が家にもチンゲン菜が気軽にやってくる。それを消費するレシピとなると担々麺か、海老と炒めるか、などなど考えているうちにまたふと「そういえば上海焼きそば最近食べていないな」と思い至った。
もしかして自分がわかった気になっているだけで実は上海焼きそばをおいしく作るコツがあるんじゃなかろうか、そう思ってインターネットの大海に小さな筏を漕ぎ出したら、目からウロコの秘訣を目にしてしまった。
秘訣は、下味をつけた麺を先に一度炒めてから、具材と合わせること。
他にもいくつかレシピが見つかり、どうやらこの「麺先炒め法(勝手に命名)」が上海焼きそば界ではかなり支持されているようなのだ。
これは……試してみたい! 私はグッと拳を握りしめた。
レシピを忠実に守らないのが悪いクセ?
まずはチンゲンさんをはじめ冷蔵庫にいらっしゃった野菜の面々を召集。ニンジンのかたちが不揃いなのはそういうブサイク詰め合わせパックを買ったから。野菜は不恰好でも味は一緒。むしろ根菜なんてねじ曲がっている方が甘みがあることも多いくらいです。
ついで、冷凍ストックの海老(業務スーパー系)、豚切り落としを準備。
そして麺。いろいろレシピを見ると醤油・ごま油等をからめた後に麺だけ先に炒めることで、上海焼きそばの最大の懸案である「あんまり味しない」問題を回避できるらしい。しかしあれこれ目を通すと下味もそうだが炒め方もいろいろあって、ほぐさずに両面焼き色をつけて堅焼きそばっぽくするというような提案もあった。今回はシンプルに、ただ先に炒める方法を採ることにした。
ほぐした麺に醤油とごま油をからめたら、ほどよく焼き色をつけて取り出す。この「ほどよく」という匙加減が曲者で、ガサツなわりに小心者でイラチの自分はわりとすぐ取り出してしまう。
あとは刻みニンニクひとかけと炒め油を熱し、具材を順次入れて炒める。よきところで麺を戻し入れ、合わせ調味料を回しかけてひと炒め。
最後にニラを放り込んでしんなりさせたら、もう一度ごま油を香りづけに鍋肌から回しかけて……。
再びの上海焼きそば、またしても見よう見まねで出来上がり!
食べてみると……。おおお、なるほど! たしかに、この「麺先炒め法」だと、麺の中身までしっかり味がついているから、全体的な風味がボケずにまとまり、より本格的な味わいに仕上がっている。そうか〜、こうやって作るのか、上海焼きそば。知らなかったなあ〜。
上のキャプションにも書いたけど、反省点を挙げるならエビはいっそ下茹でしてしまってから投入したほうがいい。おそらくエビの水分で麺が目標よりもべちゃっとしてしまったし、何ならちょっと焦げついた。この程度の大きさのエビなら出汁が味わいにプラスされることもほぼ期待できないし、海鮮の味わいはオイスターソースが担ってくれるので、もったいながらずにエビだけ別でレンチンしとけばよかった。
あとは今回ゆで麺を使ったので、通常の焼きそば用の蒸し麺ならまた仕上がりは違ったと思う。もう少しパサッとして、よりお店っぽくなったはず。
しかし全体的な味わいとしては前回の記事よりも大いに躍進。今後もう一度(奥さんが「また上海焼きそばなん?」と不平を言わないぐらい間隔をあけて)チャレンジするときは以下のふたつを変更して、よりクオリティの向上に努めたい。
・焼きそば麺を「ゆで」から「蒸し」に変更、食感の向上を図る。
・エビは別に火を通して水分を飛ばしておく。
あとは、若い頃本場上海で食べて慄いた牛肉炒麺の、食後の皿が光るぐらいの思いきった油の量がもしかしたら鍵かもしれない。怖くてできないけど。
ともかく、何にでも学びと向上の余地があるなあと実感した食卓でした。だから料理は面白い。コツを知って上手くいったときの達成感がおいしさと共にやってくる。こんなお得な趣味はないとつくづく思う。
ごちそうさまでした!