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試合中の思考のためのフローチャート活用

はじめに

本記事はzyf氏によるusing the flowchart to think in-gameの日本語訳になります。翻訳にあたり掲載許可はいただいております。
日本のユーザーの反応も楽しみにしているとのことなのでコメント・Twitterなどで感想を頂けますと幸いです。
原文最終更新:2024年1月11日

前回の記事

シリーズ目次
 0 :より賢くプレイする:戦術的思考を改善するためのガイド
 
1a:盤面管理入門
 1b:物々交換、1対0、そしてリソース管理の技術
 1c:キーポジション、ボックス、その他:ポジションの取り方
 2a:ゲームの状態のフローチャート:試合の流れのメンタルモデル
→2b:フローチャートを使ってゲーム内で考える
 3 :フィードバックのループ:実験、Vodレビュー、習慣作り


復習と導入

前回のドキュメントでは、ゲーム状態のフローチャートが何であるか、試合の流れをどのように体系化し、勝利につながる状況や試合に勝つための論理的な意思決定(アクションの選択)を行うためにどのように活用できるかを説明した。

しかし、これまでに紹介した概念やフローチャートを実際に使おうとした場合、非常に厄介な問題に直面するかもしれない。
つまり、ゲームスピードが速すぎて、リアルタイムで瞬時に判断を下すことが難しいと感じる可能性が高いということだ。
また、特定の行動が「良い選択」となる理由についても、まだ深く掘り下げていない。

このドキュメントでは、試合中に考えなければならない他の様々な要素を気にかけながら、どのようにフローチャートを使った思考プロセスを展開していくか、その手順を分解して解説していく。


思考と本能のトレードオフ

フローチャートの詳細に入る前に、まずはスプラトゥーンの試合中の思考を学ぶこと全般について一歩引いて考えたい。これまでにそのような経験がないなら、考えながらプレイすることは大きなハードルに感じるだろう。
カジュアルプレイヤーや低ランクのプレイヤーたちの間で、ギアや武器、チーム編成に関する話題が最も頻繁に議論されるのは偶然ではないと思う。これらは試合が始まる前に選択して決定できるもので、十分な時間をかけて考えることができるからだ。
それに対して、実際のスプラトゥーンをプレイしていると、試合中に考える時間なんて無い、と感じることが多いだろう。
しかし実際には、試合中に思考に使える時間は、あなたが感じているよりも多くあるのだ。
また、長期的には、できるだけ少ない思考時間で行動できる方が有利だ。なぜなら、考えている時間は、相手が行動してあなたを倒すための時間になるからだ。

このセクションでは、この2つの考え方がどのように相互作用しているのかを探っていきたい。


ゲームスピードを落とし、思考の時間を活用する

スプラトゥーンの試合が非常に慌ただしいものであることは認めるし、それをどうにかしようと私たちはがんばっているのだが、実際のところ、試合中常に考える余裕がないほど速いわけではない。
最高レベルの試合、最も速く効率的なプレイでも、プレイヤーたちは互いにコミュニケーションを取り、短期・長期の計画を立ててから実行に移す時間を見つけている。

試合中に「考える時間がない」と感じる理由として、次の2つの可能性があると思う。

  • 不必要な/無駄な行動:不必要な行動とは、具体的な目的なしに、マップを走り回ったり、ランダムに塗り広げたり、無意味な戦闘を追いかけたりといった、単に慌ただしいだけの行動を指す。このフローチャートを使って学ぶ目的の一部は、こうした行動を排除することにある。遠くに敵が見えたからといって、必ずしもその敵を倒しに行く必要はないし、実際に倒せるわけでもない。また、あそこに塗れる場所があるからといって、すぐにそこを塗りに行く必要はない。

    • 習得すべき非常に重要なスキルとして、ZLを押してイカ状態になり、軽い潜伏を挟み、落ち着いて思考する時間をつくり、周囲を観察できる状態になることが上げられる。最高レベルのプレイでは、特定のブキにおいてこのような行動が使えなくなるかもしれないが、競技シーンのほとんどのプレイヤー(自分のレベルも含む)にとっては、無駄な行動が試合の中で行われている。フローチャートに基づいた具体的な目的がない行動をしているなら、高確率で誤った行動をしていることになる。その時は手を止めて、頭を使うべきである。

  • 既存のダウンタイムを活用していない:最高レベルの競技シーンにおいては無駄が少ないが、それでも彼らが計画を立てる時間を持っていると述べた。これは、最高レベルの試合でも、5分間ずっと戦闘が続くわけではないからだ。特に、何かしらの行動をしている最中でも、思考する余裕がある場面が存在する。具体的には、次のような状況では、キャラの操作だけに集中するのではなく、周囲を分析するべきである。

    • (1) 自分が倒された時(マップを開け!!! 復帰するまでの間に状況を把握し、次の行動を計画することができる)

    • (2) プレッシャーが低い状況で塗っている時(例えば、誰からも撃たれることなくスペシャルを貯めている時や、敵チームが全滅した後に前線を押し上げて塗っている時)

    • (3) 敵をキルするために潜伏している時(これは先ほどの無駄な行動のセクションで述べたものの一部であるが、この場合は、単に思考するために手を休めるのではなく、明確に敵が現れた時にキルを狙っている点が異なる)

この3つの状況においては、次の行動を計画し、状況を把握する時間を活用することが可能であり、また非常に重要である。
他にも、キャラの操作があまり要求されていない状況があれば、その場合も同様に時間を活用するべきである。

このドキュメントから一つだけ覚えておいてほしいことがあるとすれば、それは、ゲーム中にフローチャートを使いたいなら、「スピードを落として、実際に自分がしていることすべてを考える」ということだ。
結果的に、実際に行うことの量は少なくなるだろうし、最初は遅く感じるかもしれない。しかし、最終的には自分の行動の質が大幅に向上し、勝つ可能性を下げるような行動を避けられるようになる。

  • 補足:すべての行動に理由を持って動けるようになるまではこの考え方は有効だろう。そのレベルまでいくと、勝負はどれだけ素早く実行できるかにかかってくるが、私の経験上、それが当てはまるのはほぼトップレベルのプレイヤーに限られる。

まとめると、これら 2 つの一般的なカテゴリ (じっくり考え、明確に分析するために一時停止する瞬間と、キャラの操作的に要求の厳しいことをしていない時間) を組み合わせたものを「思考時間」と呼ぶことにする。
思考時間は貴重であり、賢く使うべきだ。前述の補足に触れたように、プレイヤーが上手くなるほど、その時間は減るので、より効率的に使う必要が出てくる。


本能の重要性

では、思考時間以外に何が起こるのか?
試合中にずっと考えているばかりでは、何も達成できないのは明らかだ。どこかで線を引き、試合中の意思決定を導くために直感や本能に頼らなければならない。

レベルの高いプレイヤーがあなたよりも良い決断を下せるのは、試合中に自分よりも多くのことを考えているからではない。むしろ、彼らは多くの場合、あなたよりも思考時間は少なくても積極的に判断を下しているはずだ(前のセクションの最後に述べたように、全員が常に良い決断をしていると、次は反応速度や実行の正確さの勝負になる)。
違いは、彼らが無意識に「良い」行動をより多くできることであり、それによって大局や未来に目を向ける余裕が生まれるからだ。
考えて行動することは、本能的に行動するよりも遅い。だからこそ、直感的に正しい判断ができるほど、速くプレイできるようになるのだ。

実際、あなたもすでにスプラトゥーンでこの経験をしているかもしれない。最初にプレイし始めたときは、操作そのものやキャラクターの動きに意識が向いていたはずだ。これが無意識にできるようになって初めて、マップの把握や、目の前の敵との戦闘に集中できるようになる。
フローチャートを学ぶこともこれと似ている。最初はツールがぎこちなく、混乱するかもしれないが、やがて自然に使えるようになり、より頻繁に、そして長期的にフローチャートを活用できるようになる。
これは、細かく計画を立てるのではなく、本能に頼って大きな計画を実行し、その隙間を直感的な判断で埋めることができるようになるのだ。思考時間が増えるわけでも、頭の回転が速くなるわけでもなく、ただ単に思考時間が少なくても済むようになり、代わりに直感に頼れるようになる。

ここまでの説明で、ゲーム中にフローチャートをどのように使うかを議論するための十分な基礎が整ったと思う。


フローチャートの要求を分解する

結論から言うと、良いプレーを一貫して行えるという意味で、高いレベルで上手にプレーしたいのであれば、次の 2 つが必要である。

  • (1) 安定して良い判断をし、負けに繋がる行動を避ける能力。つまり、フローチャートの観点で言えば、自分を有利なゲーム状態に持っていく行動を選び、逆に不利なゲーム状態に陥る行動を避ける能力を指す。

  • (2) 最終的に有利なゲーム状態へと持っていくための行動を確実に実行できるだけのフィジカル。どんなに良いアイデアを持っていても、実行をミスすれば無意味だからだ。

フローチャートを上手く使うためのサブスキル

(2)に関しては、このドキュメントシリーズではあまり深く掘り下げない。というのも、それは別の道のりであり、私自身まだ探求中である(もしかしたら、将来のプロジェクトになるかもしれない)。
しかし、(1)については、良い判断を安定して行うために必要なサブスキルに細分化し、それをフローチャートに基づいて解釈していくことができる。

  • (1a) 現在のゲーム状態を認識する能力、つまりフローチャート上で今どこにいるかを把握する能力。

  • (1b) ゲーム状態がどのように変化するのかを認識する能力。

  • (1c) その変化のうち、どれが良いものでどれが避けるべきものかを評価する能力。つまり、到達可能なゲーム状態の中で、実際に目指すべきものを見極める能力。

  • (1d) 自分達に有利で到達可能なゲーム状態に導くために、どの行動が最も効果的かを見つけ出す能力。つまり、現在のゲーム状態から隣接する状態に繋がる矢印を覚えておく能力。

  • (1e) そして最後に、リスクとリターンを計算する能力。具体的には、その行動を実行できる可能性と、成功した場合にゲーム状態がどれだけ良くなるか、失敗した場合にどれだけ悪くなるかを天秤にかける能力。

これらすべてのスキルを組み合わせることで、安定して適切な判断ができるようになり、負けに繋がる可能性を回避し、真の意味で「勝つためのプレイ」ができるようになる。


ゲーム内思考とゲーム外思考

しかし前述したように、ここで解決しようとしている問題は、ゲーム内で考えすぎると、試合中に起こることすべてについていけなくなる、という事実である。
したがって、これらのスキルや意志決定の種類を、試合中の1回の判断ですべて考え尽くすのは不可能ということである。 
しかし、このフローチャートの段階的に捉える視点を使えば、問題を次のように捉え直すことができる。1度の判断でこれらのサブスキルをすべて考え尽くしたとしたら、やるべきことを選び終わったときにはすでに状況は確実に変わっているはずだから、行動に移す前に再度思考時間が必要になり、その繰り返しで、何もできないまま終わってしまうだろうということだ。 

これを回避するのは簡単だ。
すべてのサブスキルについて考えることに時間を使わなければいい
重点を置いていないサブスキルについては、代わりに本能に頼ればいい。
そうすれば、思考時間のすべてを、より限定された合理的なものに割くことができる。
問題は、試合中にどのように作業を分割すべきかということだ。


試合中の思考ループ

ゲームをプレイするにあたっては、原因と結果の流れをフローチャートで理解することが最も効果的である。
つまり、特定のゲーム状態にいるときに、どの行動を選ぶかによって、その行動がゲーム状態に一定の変化を引き起こす(結果として新しいゲーム状況が自分やチームメイトに影響を与える)ということだ。
基本的には、自分が常に「分岐点」に立っていることを認識し、どちらの道を選ぶかを意識的に決めるべきだ。
それ以外のことを考える余裕は現実的にはあまりない。

その結果、ゲーム内の思考ループは、ゲーム状況を把握し、起こしたい変化を決定し、その変化を引き起こすための行動(または一連の行動)を選択する、というプロセスに絞られる。
これを上記のサブスキルとどう関連させるかを説明するために、まずそのプロセスがどのように見えるかを詳しく説明する必要がある。


ゲーム状態を把握する

フローチャートを活用する最初の基本的なステップは、現在のゲーム状態を把握することである。
これは、プレイヤーとして求められるスキルの中でも最も大きな飛躍となる部分かもしれない。
ゲーム状況を把握するためには、以下の5つの基本的な質問に答えることが必要である。おおむね以下の順序で進めるとよい。

  • 誰のスペシャルが溜まっている、またはすでに発動しているか?

  • オブジェクトはどこにあり、どこに向かっているのか?

  • 各プレイヤーはどこにいるのか?

  • オブジェクトの位置・状態に基づいて、キーポジションがどこで、境界ボックスのどこに隙間があるのか?

  • 何人のプレイヤーが生存しているのか(人数差はあるか)?

これらの質問に答えるために、画面上部のUIを見たり、カメラを回して味方や敵の位置を確認したりし、短期的にその位置を記憶しながら全体の状況を把握する必要がある。

また、(プライベートバトルなら)プレイするマップでの安定ポジションやキーポジションを覚えたり、(Xマッチなら)その時に行われている2つのマップで重要なポジションがどこなのかを把握することも重要である。
もしその場所を知らない場合は、さんぽに行って確認するか、実際にプレイ中に安全に感じる場所や、敵と戦いにくいと感じる場所に注目するのが良い。
他のプレイヤーがそのエリアでうまく戦っているのを見たら、真似をするのは恥ずかしいことではない。特に、自分の方が彼らよりもうまくそれを利用できるなら、なおさら良い。

これらの情報は、次にどのような行動を取るべきかを決定するためになくてはならない「事実」である。


動く前に計画する:何を実現したいかを選択する

行動の前に目標を掲げ、その実現の為に何を選択すればいいのか計画しよう。
最初は難しいかもしれないが、経験を積むことで上達し、未来のより遠いところまで計画できるようになる。
次に何をしたいのか、また敵が次に何をしそうかを常に考え続けることが重要なのだ。
このセクションでは、すでにゲーム状態、つまり、プレイヤーの位置、スペシャルの状態、オブジェクトに関する現状、境界ボックスやキーポジションの状況を把握できていることを前提として書いている。

これからどのように事前に計画を立てるのかのいくつかの例を挙げるが、その前に一言警告しておく。
以下のアドバイスは、私の経験上よく効果を発揮するものであるが、
普遍的なアドバイスではなく、常に適用できるものではない
この点を理解し、あまり鵜呑みにせず、自分で考えて判断してほしい。ただし、例は参考になると考えて、ここに示す。


過度に単純化した計画アドバイス

(このセクション全体は誤解を招くかもしれない)

計画を立てる際、以下のアイデアは概ね悪くない:
まず、ほとんどどんな状況でも、潜伏状態で待って、敵のミスを狙って攻撃するのは有効である。
具体的には、リソース不足にもかかわらずエリアの物々交換をもちかける敵を咎める形でコントロールを維持することが出来る。
例えば、スペシャルや塗りが不足している状態で自陣に突っ込んでくる敵や、チョークポイントを無防備に突き抜けてくる敵などだ。

■コントロールの観点から意志決定をする:

どちらのチームにもオブジェクトの周りに明確な境界ボックスがない場合:

  • スペシャルがもう少しで溜まりそうな時は、すぐに溜める(スペシャル状態の変化)。

  • スペシャルがある場合、それを使ってキーポジションを確保するか、キルのチャンスを探す(人数やキーポジションのコントロールの変化)。

  • すでにキーポジションを確保しているなら、境界ボックスを完全に維持するために立ち位置を調整する(境界ボックスの状態や質の変化)。

自チームが境界ボックスを保持している場合:

  • ガチエリアでは、境界ボックスを拡大し、敵がエリアに到達するためにより多くの時間やリソースを消費するように仕向けることができる。これには、スペシャルを使って新たなキーポジションを確保することが必要だろう(キーポジションコントロールの変化)。

  • 他のルールでは、オブジェクトが進むべき方向に境界ボックスを拡大/前進するか、オブジェクトを保持して、既存の境界ボックス内に留めることが求められる。同様に、スペシャルを使って、オブジェクトの進行方向に現れる新たなキーポジションを確保することが必要になるだろう(キーポジションコントロールの変化)。

  • どのルールでも、境界ボックスを維持し、それを強引に突破しようとする敵を阻止することができる(人数の変化)。

 敵チームが境界ボックスを保持している/オブジェクトを確保している場合: 

  • 敵の配置に隙があるなら、側面や背後から忍び寄り、境界ボックスを突破しようと試みることができる(境界ボックスの状態変化)。

  • 敵がリソース不足の状態で境界ボックスを進めようとするのを待ち、咎めることができる(敵もあなたと同じように、特にガチエリアの外側では、境界ボックスを拡張する動機や必要性があるため)(人数の変化)。

  • スペシャルを持っている、またはスペシャルが溜まりそうな時は、キーポジションのコントロールを取り戻すために物々交換を持ちかけ、再びオブジェクトを争うことができる(キーポジションコントロールの変化)。    

■リソースの優位性から意志決定をする:

リソースの優位性に基づいて戦闘を優先し、その後でコントロールを考えるという方法もある。

まず、人数やスペシャルの優位性を確認する:

  •  敵チームがスペシャルを使っている場合、またはキーポジションで味方の数が少ない場合は、無理に前に出ず、生き残ることを優先しよう

    • 「味方の数が少ない」とは、主に復帰中の味方はマップ中央に近づくまで実際には人数にカウントされないことを意味する。

    • どちらの場合も、おそらく何らかの不利な状況にある(人数が悪化しないようにする)。

  • 逆に、味方がスペシャルを使っている場合、または自分のチームの人数が多い場合は、その優位を活かして前に進み、キルを取るか、キーポジションを確保しよう(人数やキーポジションコントロールの変化)。

その後でコントロールやオブジェクトに目を向ける:   

  • 近くに無人のキーポジションや安定ポジションがある場合は、それを確保する。

  • 境界ボックスが崩れた場合は、それを再構築するか、オブジェクトを諦めて、確実にコントロールできる範囲を維持する。

  • 敵の境界ボックスを崩した場合、オブジェクトと敵チームが露出しているはずなので、1対0の状況を作り出し、敵を排除する。

■よくあるパターンから敵の行動を予測する:

  • 遠距離からキルできるスペシャル(例:ウルトラショット、カニタンク、ジェットパック)を持っている敵がいたら、すぐにそれを使ってくる可能性が高い。彼らがどこにいるのかを把握し、スペシャルを使ってくることを想定して計画を立てる必要がある。これは、「敵の視界に入らないようにする」、「敵に向かって一直線に突っ込まない」、「塗りがない場所、回避できない場所やチョークポイントに立たない」といった対策を取ることを意味する(人数の変化を防ぐ)。

  • 近距離系のスペシャル(例:グレートバリア、ウルトラチャクチ)を持った敵は、前線に出てスペシャルを使ってくる可能性が高いため、そのことを念頭に置いて計画を立てる必要がある。敵を前もって倒そうとしたり、スペシャルが出てくるときに倒そうとしたり、自信があるかどうかに応じて撤退する準備をしておくとよい(人数の変化やスペシャルを有利にする)。

  • ほぼ全てのレベルにおいて、ヤグラに乗っていたりガチホコを持っていると、相手チームがそれを奪いに突っ込んでくることが多い。自分がオブジェクトを持っている場合はその覚悟をしておこう。味方であれば、その動きを早めに予測できれば、突っ込んでくる敵は簡単にキルできる(人数の変化)。


事前に計画を立てる為の大きなポイント

前述のセクションのポイントは、ゲーム中の思考方法についてのさまざまなアプローチを紹介し、個々のゲーム状態をどのように定義できるかを具体例で示すことにある。
しかし、どのケースにおいても基本的な考え方は同じである。
つまり、(a)で観察した内容に基づいて、次に達成したい短期的な目標を設定し、そのための行動(b)を選択するということだ。
その目標は「(a)を観察したから、(b)Xの位置を制圧する/Yのプレイヤーを倒す/Zのスペシャルに対応する、または使う」などといった形になる。

重要なのは、その両方を確実にすることである。
つまり、あなたが観察し思考したことが、ゲーム状態にある変化を強制的に起こそうとするシグナルや指標となるのだ。

最後にもう一度強調するが、フローチャートを使って事前に計画を立てる際の目標は、「具体的に何をするか」ではなく、「何を実現させたいか」に焦点を当てるべきである。
この考え方は、目の前の細かい出来事にとらわれず、試合の流れをより高い視点から見るために有益である。


そして...何かを実行する

以上を踏まえると、「今自分はどこにいて、どこに行きたいのか」という論理的な思考が、試合中の内部的な議論の終着点であるべきだ。
多くの場合、短期的な計画を立てることで、どのような行動が必要かを把握できる(例:Xの場所に向かって射撃しながら移動する、Yのプレイヤーを追いかける)。
しかし、それを実現するための具体的な行動は、試行錯誤を通じて学んでいく必要がある。
例えば、味方のスペシャルのカバーの下でXの場所に向かって走ると決めても、無闇に突進して登ろうとすると失敗するかもしれない。また、慎重に忍び寄らなければYのプレイヤーを倒せないこともあるだろう。

しかし、重要なのは、ゲームの状態変化を引き起こすために何かを実行することだ。
そうしなければ、何がうまくいくか、何がうまくいかないかがわからず、目指しているゲーム状態の変化が現実的かどうかもわからない。ゲーム状態をAからBに安定して移行する方法を見つけたいなら、実際に試してみる必要がある。

いずれにせよ、「どのサブスキルを思考時間に応用し、どのサブスキルを純粋に直感で学ぶべきか」という問いに答えれば、答えは明確になる。
思考時間を使ってゲーム状態を把握し、起こりうるゲーム状態の変化を特定し、思考時間を割いて意図的にゲーム状態をどう変化させるか選択するが、どれを選ぶかは本能で決める。
そして最後に、自分の行動を選択し、リスクとリターンを純粋に直感で評価するんだ。


結論

このドキュメントは、おそらく最も内容が濃く、読むのに時間がかかるものであった。要点をまとめると、ゲーム内でフローチャートを活用する際に優先すべき3つのステップは次の通りである。

  • 現在のゲーム状態を把握する

  • 自分が実現したいゲーム状態の変化(可能だと思うもの)を考え出す

  • その変化を実現するために何かを実行する

肝心なことは、ゲームの状態に対して、発生させたい効果/結果/変化を具体的に設定することであり、それをどのように行うかという具体的な行動計画を立てることではない。
どうやってそれを実現するかについては、経験や実践を通して学び、試行錯誤しながら最適な方法を見つけていく方が良いと考える。
時間をかけることで、狙っていることが現実的かどうかの直感も身につけられるだろう。

これにより、フローチャートを活用して、試合中の意思決定をガイドする実践的なアプローチが確立された。
最終的には、うまくプレイ出来ているときは意識的にプレイが出来ているときとなるはずだ。
また、本能が速さに直結するプレイヤーとしての重要な要素であり、ある意味ではプレイヤーの熟練度を示す指標であることも説明した。

さらに、Splatoonというゲームスピードの速さ故に、ゲーム内では上記のサブスキルを適切に使ったり、直感で即座に判断しなければならない場面が多くなるため、フローチャートに完全に依存することが難しいという限界についても触れた。
これは一見問題に見えるかもしれない。
なぜなら、直感は思考と違い、簡単に置き換えたり上書きしたりすることが難しく、必ずしも正しいとは限らないためだ。
しかし、それでも直感を改善する必要がある。
ゲーム状態Aから状態Bに移行する際には、時には直感に従い、時にはランダムに試してみることも提案したが、それがうまくいかず試合に負けた場合、いくつかの疑問が生じるだろう。
行動の選択が間違っていたのか?現在のゲーム状態から自分の望む変化はそもそも不可能だったのか?それとも、狙っていたゲーム状態の変化が実は勝ちに繋がらない自分にとって不利なものだったのか?

その答えを見つけるには、進むべき道は1つしか無い。
フローチャートの可能性を完全に引き出すには、試合外でフローチャートを使用して、過去のプレイを振り返り学ぶ必要がある。
次のドキュメントでは、多くの教育コンテンツでよく見落とされている重要な要素について説明し、このドキュメント シリーズ全体で明確に説明できる以上の内容を説明する。
つまり、純粋な理論だけに頼って何をすべきかを判断するのではなく、批判的に考え、経験と実験から学ぶ方法について触れていこうと思う。

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