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キーポジション、ボックス、その他:ポジションの取り方

はじめに

本記事はzyf氏によるkey areas, boxes, and more: how to positionの日本語訳になります。翻訳にあたり掲載許可はいただいております。
日本のユーザーの反応も楽しみにしているとのことなのでコメント・Twitterなどで感想を頂けますと幸いです。
原文最終更新:2023年12月12日

前回の記事

シリーズ目次
 0 :より賢くプレイする:戦術的思考を改善するためのガイド
 
1a:盤面管理入門
 1b:物々交換、1対0、そしてリソース管理の技術
→1c:キーポジション、ボックス、その他:ポジションの取り方
 2a:ゲームの状態のフローチャート:試合の流れのメンタルモデル
 2b:フローチャートを使ってゲーム内で考える
 3 :フィードバックのループ:実験、Vodレビュー、習慣作り


なぜポジショニングが重要なのか?

ここまでで、ポジション (チョークポイントで区切られた領域) を構成する要素を大まかに定義し、ポジションによって獲得コストが異なるという考え方も紹介してきた。しかし、実際にどのポジションを目指すべきかについては、ほとんど説明していない。

しかし、その質問に答える前に、そもそもその質問が難しい理由を理解することが重要だ。
根本的に、Splatoonのマップには多くのポジションが存在する一方で、プレイヤーは4人しかおらず、それぞれが自分の意志で行動しているという、より一般的な事実を認識することが大切である。

したがって、勝利を目指すという基本目標、つまりこちらのカウントを進めるか、敵の進行を止めるという目標、に戻ると、オブジェクトの一般的な定位置には、そこを攻撃(または防衛)できるさまざまな場所が存在するという問題に直面する。
さらに厄介なことに、ガチエリア以外のルールでは、オブジェクトが進む際に多くの領域を通過することになる。いずれにしても、オブジェクトを安定してコントロールするためには、4つ以上のポジションをコントロールする必要があるのは間違いない。

つまり、オブジェクトを確実に進めるためには、敵がオブジェクトに干渉する能力を最小限に抑える必要があり、そのためにはどうにかして4人で同時に4つ以上の場所を同時にコントロールする方法が必要なのだ。

これを踏まえて、その問題に取り組むための2つの概念、「ポジションコントロールの種類」と「ポジションの種類」について紹介したい。


ポジションコントロールの種類

最初に紹介したいのは、ポジションコントロールの種類だ。
そのために、まず「コントロール」とは何かを定義する必要がある。これについては、必ずしも全員が同じ意味で使っているわけではないだろう。このドキュメントにおいては、敵が何らかの理由でそのポジションに立つことができない場合、そのポジションをコントロールしていると定義する。

コントロールの強制

上記の定義は少し曖昧であり、敵がマップ上の特定のポジションに立つことが出来ない理由はいくつか存在する。そこで、コントロールの強制力という考え方も紹介したい。つまり、エリアコントロールの種類によって、強制力のレベルが異なるのである。

強制力が発生するのは、敵がポジションに入ろうとしたり、すでにそのポジションに立っている場合に、それを排除するための行動を取るときである。最も強力な強制力は、確実に敵を倒せる能力だ。
その次に強いのが、敵をポジションから強制的に追い出す能力である。
最も弱いコントロールの形では、ポジションそのものを実際にコントロールする力はなく、敵がそのポジションに近づけないようにする程度のものである。

これを念頭に置いた上で、コントロールにはいくつかの種類があり、それは必然的にそのポジションをどのようにしてコントロールするかに結びついている。

直接的コントロール

まず最初に、直接的コントロールがある。
自分があるポジションに直接立っていて、近づいてくる敵に対して攻撃ができ、倒したり近づけさせないことができる場合、それは直接的にポジションをコントロールしていることになる。

このタイプのコントロールは、ほとんどの武器にとって最も強制力のあるコントロール方法だが、例外もある(たとえば、チャージャーは直接的コントロールを強制するのが苦手である)。

間接的コントロール

次に、間接的コントロールがある。
これは、たとえばポジションAに自分が立っているが、その位置にいることでポジションBにいる敵を排除したり、ポジションBに入ろうとする敵を倒したりすることを意味する。

間接的コントロールの強さや範囲は、主に使用している武器の射程やサブスペによって決まることが多い(射程が長ければ長いほど、より強力な間接的コントロールが可能になり、自分が立っているポジション以外のポジションもコントロールできる)。
たとえば、カニタンクやジェットスイーパーは非常に強力な間接的コントロールが可能だ。

暗黙的コントロール

次に、暗黙的コントロールがある。
暗黙的にコントロールしているポジションとは、敵がそこにアクセスするのが難しいという意味でのみコントロールしているポジションのことだ。
敵がそのポジションに入ってしまった場合、実際にそのポジションをコントロールするのは難しい。

たとえば、中央のエリアをめぐる戦いでは、自分たちのリスポーン地点に近いポジションは暗黙的にコントロールされていることが多い。これは、敵がそこに立った場合、簡単に倒せるわけではなく、チームが適切に配置されていれば、敵はそのポジションに侵入してリスポーン地点に到達することができない、という意味でのコントロールだ。

これらのアイデアを踏まえると、4人のプレイヤーで4つ以上のポジションをどのようにコントロールするかについて、少しずつ考え始めることができるだろう。

ただ、その前にもう一つ議論し、分類すべきことがある。


ポジションの種類

コントロールについて議論したところで、ポジションの種類についても重要な区別を示し、いくつかの重要な用語を設定したい。

必須ポジション

最初に理解しやすいのは必須ポジションである。これは、オブジェクトが存在するポジションや、ガチエリア以外のルールではオブジェクトの進行に必要なルートに関連する領域を指す。

  • たとえば、ヤグラの現在位置から次のカンモンまでの道や、ガチホコの現在位置から見て次の10〜20カウントの進行可能なルートは必須ポジションである。これらは、両チームのカウントに直接影響を与えるポジションであり、コントロールしなければならないポジションだからだ。

安定ポジション

次に紹介するのは、安定ポジションと呼ばれるカテゴリーである。これらは、物々交換システムにおいて最も高コストとなるマップ上の領域である。

理論上、物々交換システムはマップ上において連続的に機能しており、明確な境界線を引くのは必ずしも適切ではない。状況によって(使用する武器や対戦相手の武器に応じて)、あるポジションが取りやすくなったり難しくなったりするため、これは厳密な法則ではない。
しかし、時間の概念を思い出してほしい。基本的な目安として、ポジションをコントロールするのにスペシャルやそれに匹敵する有利な要素が必要な場合、そのポジションは「安定ポジション」と見なせるだろう。(もちろん、敵チームを全滅させれば理論上どのポジションも取れるが、スペシャルを貯めるよりも全滅を狙うほうが難しいと言えるだろう。)

いずれにせよ、スペシャルを少なくとも1つ消費しなければ取れないポジションであれば、それは安定ポジションだと考えられる。
なぜなら、スペシャルは時間をかけて貯めなければならないため、そのポジションをコントロールする時間が比較的長く続くことが多いからだ。

典型的な安定ポジションの特徴としては、一般的に視界の広い高台で、限られた進入ポイントがあり、そこにたどり着くための動きを読まれやすい場所が挙げられる。
こうした条件により、スペシャルのような強力な手段を使われない限り、ポジションを守ることが容易となるからだ。

開けた場所や高台から見られているような動きが読まれやすい場所は、こっそり侵入するのが難しい。
例えば、非常に高い壁を登らなければならなかったり、相手のリスポーン地点や暗黙的コントロール下にあるポジションを通過しなければそのポジションに到達できない長いルートがある場合などだ。

限られた進入ポイントとは、守るべき場所が1つか2つしかないという意味であり、スペシャルなしでは強引に突破するのが難しい場所だ。
なぜなら、強引に突入しようとしても、複数のプレイヤーを送り込んで1対0の状況を作るのが難しいからだ(前に述べたように、1対0を作るためには、敵が大きく異なる方向を向くようにしなければならない)。

図1:ユノハナ大渓谷のアサリのいくつかの安定したポジション

安定ポジションの例としては、ユノハナ大渓谷の中央のタワーや、敵リスポーン地点右上の廊下が挙げられる。タワー[1]は、タワーに立っている全体を見渡せる位置にいる敵に対して、それを倒すには目立つ壁を登らなければならない。
右上の高台通路[2]は、敵がリスポーン地点全体を見渡せる位置であり、自分が右上に登るためには、完全に敵のリスポーン地点に入り込む必要がある([2]のケースでは、ポジションが非常に安定しているため、自分達が入り込んでの直接的コントロールはほぼ不可能であり、別地点から間接的コントロールをすることが最適な選択肢となるだろう。敵のリスポーン地点を通り抜けてそこに到達する機会は滅多にない)。

実際のプレイでマップをよく観察してみると、直感的に「敵がそこに立っていると動かすのが非常に厄介で難しい場所」がいくつかあることに気付くだろう。安定ポジションを覚えるのは、そう難しいことではないはずだ。

キーポジション

最後に、キーポジションがある。 必須ポジションを何らかの形でコントロールできる安定ポジションだ。
いくつか例を挙げてみよう:

図2:ヒラメヶ丘団地のガチエリアは重要なポジションである

ヒラメヶ丘団地のガチエリアそのものも重要なポジションであると言える。
エリア内、またはエリアのすぐ隣に立つことで、そのエリアを直接コントロールすることができる。
そして、ガチエリアはその定義上、必ずコントロールしなければならないポジションである。

図3:ユノハナ大渓谷のガチホコのマスト(狙撃位置)は重要なポジションとなる可能性がある
  • 敵チームがユノハナ大渓谷の中央でガチホコを保持している場合、自陣のマスト(狙撃位置)が重要なポジションになる。理由としては、この地点が左側のスロープへの間接的コントロールを提供できるためであり、さらに右側の金網にも間接的コントロールが及ぶからだ。これらの場所は、ガチホコを進めるために通らなければならない2つの領域である。(ただし、もし君がボールド4枚編成のようなことをしているのであればマストに立っていても間接的コントロールはできないが、その場合は......君はもっと大きな問題か、もっと大きな頭脳を持った解決策を持っているのだろう笑)

  • もし仮にこちらがリスキルを始めた場合、敵のリスポーン地点が重要なポジションになる。なぜなら、この時点でガチホコのルート全体を暗黙的にコントロールしていることになり、敵はガチホコにたどり着くことができないからだ。また、リスポーン地点前は安定ポジションであり、敵は着地した瞬間に倒される可能性が高い。

仮に、両チームがそれぞれコントロールすべきポジションを確実にコントロールできるとするなら(通常は単にプレイヤーの技術と、緊張しすぎないことで実現できる)、ゲームの状態は常に変化し続け、どこがキーポジションかということを中心にプレイヤーが動いていることが分かる。
そして、ルートを開いたりガチエリアを塗ったりするために必要なキーポジションを保持しているチームが、オブジェクトを確保し、進めることが出来るのである。

学んだことを応用する:良いポジショニング

基本的に「どこに立つべきか?」や「何をすべきか?」という質問をした際の答えは、状況に応じてオブジェクトの安定したコントロールを確保するために、直接的、間接的、または暗黙的コントロールでその進路を囲むことだ。
言い換えれば、オブジェクトの周囲に境界ボックスで枠を描くようなイメージだ。
そして、これを4人だけで確実に行うためには、マップ上のキーポジションをコントロールするための争いに多くの時間を費やす必要がある。
これらのポジションをコントロールすることで、一度に大きな部分を枠内に収めることができるからだ。

境界ボックス

この境界ボックスのアイデアを説明するために、スプラトゥーンの定番マップである海女美術大学のガチヤグラに戻ってみよう。

ヤグラが中央の中立状態にあり、あなたのチームがオブジェクトに対してある程度のコントロールを確保している状況を想定してみよう。たとえば、あなたのチームが中央のコントロールに成功し、敵は敵陣広場や高台か、さらに奥のリスポーン地点にいるか、マップの左右に追いやられている状況だとする(緑が自チーム、赤が敵チーム):

図4:海女美術大学のガチヤグラにおけるコントロールの例

ヤグラを実際に第2カンモンまで進めるためには、中央から第2カンモンまでのヤグラのルート全体をコントロールする必要がある。
難しいのは、現在の敵の配置だと、そのルート全体が相手の間接的コントロールの状態に置かれていることだ。
オブジェクトを進めるには、まずこれらのポジションにいる敵を排除し、間接的コントロールを無効化する必要がある(x = 敵の立つ可能性のあるポジション、赤い枠 = 間接的コントロールされている可能性のあるポジション)。
その後、ヤグラへの他のルートも引き続きコントロールしなければならない。

図5:海女美術大学のヤグラルートに対する敵から圧力

したがって、ヤグラを押し進めるためには、いくつかの要素が必要になる:

  • チームが左上の高台ポジションを直接的または間接的にコントロールすること

  • チームが敵の広場前方(右側のx付近のポジション)を直接的または間接的にコントロールすること

  • チームがサイドルート(黄色で示されている)の間接的または暗黙的コントロールを維持し、誰も横から侵入できないようにすること

ここですでに多くのタスクがあることが分かるだろう。そして、チームメイトが何をできるか、または何をしているかによって、自分がその場で適応し、ヤグラを進めるために必要な境界ボックスを作成し、維持するために、個別に臨機応変に対応していく必要がある。その結果、以下のような配置になる可能性がある。

図6:海女美術大学でのガチヤグラ攻めの前半における境界ボックスの例

無限の可能性

実際に境界ボックスを作成する際には、多くの有効なアプローチが存在する。
もちろん、キーポジションに堂々と立ち、そのポジションを使って必須ポジションを直接コントロールしようとするブキもあるはずだし、スペシャルを溜めてキーポジションをコントロールしようとするブキも存在する。そして、スペシャルをためている相手を狙い撃つプレイヤーもいる。あるいは、スペシャル使用後にキーポジションでの長期的なコントロールを確保するために前線を押し上げるプレイヤーもいる。さらに、それらのプレイヤーを油断した隙に狙う者もいる。

上記の海女美術大学のガチヤグラの場合、一人がヤグラに乗り、左側のブロックからカニタンクを使用して赤で示されたポジションに間接的な圧力をかけて敵を寄せ付けないようにする。
また、もう一人は中央付近にいて、左・右の挟撃ルート(黄色)を監視しつつ、カニタンクを守る。そして、最後の一人が敵広場を安定して確保しようと、隠れて侵入を試みるかもしれない。

図7:海女美術大学のガチヤグラで境界ボックスを作成するための具体的な配置例

あるいは、ウルトラショットを使って高台にいる相手を倒し、そのまま駆け上がって直接コントロールすることもできる。そうすれば、敵を遠ざけるためにカニタンクを使う必要がなくなる。ポジションを直接コントロールしているので、敵に対して直接攻撃できるからだ。

ここからが本当に面白い部分だ。敵が何をしてくるかを予測し、それを妨害するという無限の駆け引きや、敵チームがこちらのオブジェクトを妨害しようとしている状況下で自分たちのオブジェクトをさらに進めようとする戦略が始まる。これから先、駆け引きの細かいニュアンスや複雑さは急速に増していくが、物事を進める方法は1つだけではないのだ。

・・・シンプルな基本を抑えて

正直なところ、複雑な戦術に埋もれないことが重要だ。

ここでの大事なポイントは、敵が何をしているかは、チームのキーポジションのコントロールと絡んできたときにのみ意味を持つということだ。
したがって、キーポジションのコントロールを確保することに集中する必要がある。

ゲームの多くのレベルでは、不必要な行動や非効率、ミスが多く見られるため、次のような基本的な理解や論理を持つことが重要である。

  • オブジェクトをコントロールするためには、その周囲に敵を入らせない必要があると理解している

  • キーポジションがどこかを知っていて、そのポジションをコントロールすることで少人数でも大部分をカバーすることができることを理解している

  • オブジェクトのコントロールを維持したい場合、スペシャルを貯めたり、味方と連携したりするなど、キーポジションへのアクセスを確保または維持するためにできることがある

これらの基本的な思考フレームは、大多数のプレイヤーに対して良いプレイをするための心構えにもなってくれる。

「では、自分は何をすべきか?」(チームゲームである)

ただし、ゲーム中に何をすべきかを見極めるのは、さまざまな要素に依存する。自分の使うブキ、両チームの編成、味方や敵が実際にやっていること(やるべきことは別として。たとえば、味方がそもそもキーポジションに入るべきだと理解していなければ、トリプルトルネードを使っても意味がない)、自分の現在の技術的なスキルレベルなどだ。

最も重要なのは、これはチーム戦であるということを常に忘れないことだ。自分がすべきことは、チームがオブジェクトのコントロールのために既にやっていること、またはやっていないことによって大きく左右される。
オブジェクトを動かすためには、隙間のない境界ボックスを作るか、少なくとも、敵からの攻撃がどこから来るか予測し、隙間からの攻撃に対応できる準備が必要である。
オブジェクトが思い通りに進まないときは、キーポジションを奪い返し、自分たちに有利な状況に持ち込む方法を見つける必要があるだろう。

とはいえ、実際にどんな状況で何をすべきかをフローチャートのように整理するのは非常に個人的でカスタマイズされたプロセスであり、それこそ最終的な自分の「プレイスタイル」に繋がるのだ。
これは時折話題にされる単純化された意味ではなく、ゲーム中に自分に最も適していると感じる戦い方という意味だ。

自分に合ったプレイスタイルを見つけるにはどうすれば良いか?それは次回に話そう。


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