小遣い稼ぎの副業から本格フリーランスへ華麗に転身!シングルマザーみやの”前進を優先する”転職論 Vol.3
働き方を模索し続けたCHEWYライター・みや(Twitter:@miya11122258)が最後に流れ着いた場所、それはフリーランス。会社員や派遣社員を経験しながら、最終的にフリーランスを選んだ過程やフリーランスの働き方を紹介します。
ひとり親・フリーランスは命がけ
私はフリーランスライターとして働いていますが、シングルマザーとして働くのにベストな環境とは思っていません。その理由は、やはり「不安定さ」の一言に尽きます。特に、最初の数年間はハイリスク。これからフリーランスで働こうとしているなら、まずはしっかりと悪い面をみておかなければいけません。
とにかく不安定な収入
フリーランスは、企業などの組織に入らない働き方です。仕事は自分で獲得しなければならず、仕事がなければ収入もありません。定期的な仕事があれば最高ですが、それでも年度切り替えなどであっさりと「来月で終わりの予定です」と切られることがあります。
当然、経験や実力勝負であり、経験の浅い人は収入のよい仕事をもらうことはできません。経験を積み、取引先との信頼を築き、やっとのことで生活できるだけのお金を稼げるようになるものです。
ローンが組めない
フリーランス全員がそうではありませんが、少なくとも年数を積み重ね、毎年の年収が安定しないと大きなローンを組めません。ちょっとしたカードローンやクレジットカード程度なら大丈夫ですが、住宅ローンは難しいでしょう。また、フリーランスに転向してすぐは、アパートも借りられない恐れがあります。
福利厚生がない
フリーランスの困った面としては、福利厚生のなさも挙げたいと思います。企業に属さないため、企業の福利厚生サービスは一切なく、有給休暇もありません。保険は国民健康保険、国民年金で、退職金制度もありません。ないない尽くしとなり、「怪我したり病気したりして、長期間仕事できなかったらどうしよう」と不安です。
シングルマザーの在宅ライター転向体験談
自分に合う仕事探しに明け暮れていた私は、副業としてライターの仕事を始めました。副業ライターと会社員の二足の草鞋を履いてみて、徐々に「ライターの草鞋」の方が履きやすいことに気づき、在宅ライターを本業にしようと考えるようになったのです。
きっかけはクラウドソーシング
私がフリーランスライターとして働くことになったきっかけは、とあるクラウドソーシングのサイトでした。
初めは専業でライターをする気はなく、小遣い稼ぎのつもりでした。その頃は、経理職プラスショップ経営アシスタントが本業で、事務半分接客半分というもの。仕事量としては余裕があり、副業を考えるきっかけとなりました。
サイトでは「データ入力」や「会計ソフト入力」「データ収集」など、ネットで行う仕事から「ポスティング」、「宛名書き」「アクセサリー作成」などの昔ながらの内職っぽいものまでいろいろ扱っていました。今でいうクラウドソーシングですが、まだ当時は「副業サイト」と呼ばれていました。
私が初めに選んだのは、「データ収集」というもの。「データ収集」は(私がやったものは、ですが)テーマに沿ってネットで検索をかけて、出てきた会社名をエクセルに並べていくという作業でした。単純作業で単価が安いため、すぐに飽きてしまい、次に選んだのがライティングの仕事でした。
以前からものを書くことは好きで、小中学生の頃には小説を書いて雑誌に応募を繰り返し、高校では文芸部に入っていた私。 得意を活かしてお金が稼げる利点と「大好きな文章でお金を稼げる自分」にドハマりし、ライターを本業にしたいなあ、と思うようになっていきました。
副業で人脈と実績を作る
副業のライター業を本業にするためには、一定以上の収入を得られることが必要です。自分だけならば「多少飢えてもいいや」と思えますが、子どもがいるシングルマザーがそんなことできません。
まずは、副業の段階で仕事をもらえる人脈を増やし、いろいろな経験を積んで実績を作ることに専念しました。いきなり会社を辞めても、仕事がなくて困ることが予想できたためです。
クラウドソーシングを利用して、簡単で安い単価の仕事を片っ端から申し込み、こなしていきました。「ライティング」の仕事であればジャンルも問わず、記事のタイプもいろいろ。恋愛コラムと消費者金融の解説記事、アダルト系を並行して書くことも珍しくなかったです。
そのうちに単発の仕事で関わったクライアントから「継続でやってみる?」とお声をかけていただくことも増えてきました。長くお付き合いできるクライアントができると信頼関係が生まれ、そこから取材記事など、難しいお仕事ももらうことができるようになりました。
OLの収入が稼げるかどうかが見極めポイント
ゆっくりではあるものの、半年程度かけて副業で稼げるようになっていきました。自信もついてきたので、いよいよどこかのタイミングで本業でスタートさせるチャンスです。まずは、最低限の収入として今の本業で稼いでいる金額を目安として、本業にした時に超えられるかを見極めることにしました。
■ 1カ月の収入から概算を出す
実際に本業で働いていないので、副業をしている時間と収入から「本業になった時に稼げるであろう金額」を計算しました。私の場合、稼働日数は以下の通り。そこから月収予想を立てました。
副業スタート時には、1カ月2~3万円くらいだった副業収入は半年後には5万円へ。時給換算で1,000円以上稼げそうなイメージになったタイミングで、会社を辞める準備を始めました。
※クラウドソーシングのライティングは1文字○円の仕事が多くなります。単価の高い仕事ができるようになることも大切ですが、早く仕事を仕上げられるようになることも収入アップには重要です。
■ 在宅で減る出費もあった!
これは在宅ライターになってからあらためて気づいたことですが、福利厚生がない分、在宅だからこそ減る出費もあります。家で働いていると、おのずとお金がかからなくなるので、会社員時代よりも出費が減り、収入自体が少なかった月もなんとか乗り切れました。
特に大幅に減ったのは、洋服代や化粧品代、ランチ代です。また、飲み会や付き合いの飲食代もほとんどなくなりました。
貯金と気合でスタートダッシュ
フリーランスへ転向は準備と出だしが重要です。会社を辞めるまでにできるだけ準備をしておき、辞めた次の日からガンガン攻めていくことをおすすめします。
最初の月は、仕事もフルタイムで働けるほど仕事が詰まっていないこともありますが、その余裕の時間を使って営業にいそしむことが大切です。声をかけられるだけかけておくことで、後から仕事をもらえる可能性が増えます。
仕事の少ない初月は収入もイマイチですが、そこは貯金で乗り切りましょう。あらかじめ数ヶ月は食べていけるくらいの蓄えの準備があると安心できます。
子どもにお金がかからない時期がチャンス
不安定な収入と教育ローンなども借りられない恐れのある状況が、初心者フリーランスに降りかかる最初の試練です。その試練を乗り切るためには、収入を増やす努力をしつつ、出費を切り詰めることも必要となります。そのため、フリーランスに転向するなら、生活費や教育費が少ない時期がおすすめ。
特に向いていそうなのは、小学生の間です。義務教育の期間なら学費はかかりませんし、まだ中学生ほど食費も塾代もかかりません。ファッションにも中学生よりは興味を持たないでしょう。フリーランスになるなら、子どもが小学生の間に地盤を固めることをおすすめします。
在宅スタート初月はマイナスに
さまざまな計算や準備をしてからスタートした在宅ライターでしたが、実はスタート初月はマイナス収支になってしまいました。想定していた継続のお仕事が急に中止になってしまったり、それに動揺して安いのに手間のかかる仕事を引き受けてしまったりしたのが原因です。
退職した後で、1カ月遅れで前月のお給料が入ったので、なんとか凌げましたが、あらためて恐ろしさを実感しました。
在宅フリーランスはママと子どもに優しいかも
シングルマザーがフリーランスになるのはリスクもありますが、在宅ワーク自体にはママにうれしいメリットもあります。
フリーランスの働き方は不安定ですが、時間の余裕はメチャクチャあります。学校行事のある時も子どもの病気の時も安心です。パートアルバイト以上に仕事のコントロールがしやすく、請け負った仕事さえきちんとできれば、自由に休めます。フリーランスは、シングルマザーだけでなく、子どもが小さいうちから働きたいすべてのママに働きやすい働き方といえるでしょう。
看病しながら仕事できる
働きながら一人で子育てをする上でありがたかったのは、子どもが病気になった時も看病しながら働けることです。そもそも会社に行かなくていいので、子どもが風邪を引いた時なども、自室に寝かせておいて、自分は普通に仕事をしていました。
会社員時代には「子どもが熱出して…お休みください」と電話することが多くありましたが、在宅では一切問題ありません。多少進捗が遅れる程度で、お休みするわけではありませんし、遅れた分は自己責任で頑張ればいいだけです。他人に迷惑をかけるかも…と、くよくよしなくていい解放感と比べたら何でもありませんでした。
保育園・学校からの呼び出しにも即対応
子どもが幼いうちは、「熱を出したからお迎えをお願いします」、少し大きくなると「学校で問題を起こしました」(これはウチだけか?)などの呼び出しがあるものです。こうした呼び出しへの対応も、在宅ならスピーディーです。会社勤めだと、引継ぎや後片付けが必要ですが、在宅ならちょっと服装を整えて、靴を履くだけで駆けつけることができます。
授業参観、出放題
在宅ワークなら、授業参観や学校行事にも出放題です。シングルマザーとして働いていると、学校行事を仕事より優先することができず、「子どもに可哀そうな思いを…」と思うこともあります。しかし、在宅なら、自分がスケジュール調整さえすれば、どんな行事にも出かけられます。
夢と子育ては天秤にかけない
シングルマザーとして収入や安定した暮らしは大切です。私も収入や安定も考えつつ仕事探しをしてきました。しかし、それだけでは仕事を前向きに続ける、楽しく働くには十分ではありませんでした。最終的には、私は不安定ながらも自分が自分らしく、得意分野で勝負できる場所を選びました。
もちろん今でも不安定だし、先行きも不安ですが、とりあえず今、楽しく働いてご飯を食べています。
シングルマザーをやっていると、子育てやお金のことにばかり意識が行きがちです。そして、生活や子育てのことばかり考えると自分のやりたいことを見失うこともあります。会社に安定を求めるのも一つの選択肢ですが、会社では自分のやりたいことができない場合には、それ以外の働き方を検討してみてもいいのではないでしょうか?
守るものがあるからこそ頑張れる
シングルマザーがフリーランスになるのは勇気の要ることかもしれません。しかし、準備を重ねて生活できるめどが立ったら、一念発起して始めてみるのも一つの道です。
もちろん厳しい道なので、安易な気持で始めるのはおすすめできませんが、チャレンジしたい気持ちがあるなら一歩踏み出してみては? まずは副業として、自分の実力を試してみましょう。
子どもがいるからと守りに入る必要はありません。実力次第で稼げるフリーランスで、攻めることで安定を目指すこともできるでしょう。子どもを守るために何かを諦めるのではなく、守るために自分の力を試し、がんばってみるのも強いシングルマザーの生き方です。