『梅切らぬバカ』を観てきました。
大好きな作家さん、岸田奈美さんのツイートを見て、この映画のことを知った。
観に行きたいと思い、公式ホームページを見た。
加賀まりこさんが母親役かぁ
加賀さんの私の勝手なイメージと、障害者の母親像が乖離していた。
ある日、NHKの朝の連続テレビ小説が終わり、そのまま「あさイチ」が始まると、ゲストが加賀まりこさんだった。
映画『梅切らぬバカ』の撮影話などを語っていた。
そして、加賀さんのパートナーの息子さんが自閉症だと話された。
一緒に出掛けると、周りからジロジロ見られることがあることなど体験談も語られ、とても温かい言葉が続いた。
私は嗚咽に近いくらい泣いていた。加賀さんに「頑張ってきたね」と言われているように感じたのだ。
私の弟も知的障害者だ。軽度とされるが、軽度ゆえ、周りからの理解を得られなかったり、イジメにもあったし、職場ではひどい扱いも受けてきた。
興奮すれば大声をあげるし、警察を呼んでしまうことも多々あった。
もう40歳を越え、見た目は立派なおじさん。
可愛がっていただくこともあったが、今はおじさんだからね。
母も70歳を越え、映画の中の加賀さんと塚地さんの後ろ姿が、そのまま、うちの母と弟に見えた。
加賀さんは、映画の中で、この役は加賀さんしかいない!と思うほど、忠さんの母だった。
グループホームの場面では、分かる、分かる!の連続。
弟は高校から養護学校(現在は特別支援学校)に通ったが、あの学校での弟の同級生の顔とかも浮かんできて、みんな元気かな、どんな暮らしをしているかなと思いながら観ていた。
物語は、起伏が激しい、いわゆるお涙頂戴ものではなく、親子、ご近所、地域の中での日常を描いている。
あたたかく見守ってもらえる社会が理想だが、気付いてもらうきっかけに、この映画を観ていただけたら嬉しい。
私は自分を投影してしまい、泣きながら観ていたが、皆さんはもっと気楽に観てください。
塚地さんはじめ、役者さんの演技が、知的障害の人たちのことをよく演じられています。
塚地さんの指の動きがすごい。弟もよくその動きするよ。
映画の中の親子だけれど
あの二人が今も梅の木とともに、生きていてほしいと願っている自分がいます。
おまけ
桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿
ことわざって素晴らしいコピーだなと、改めて思いました。